「通信文化新報」特集記事詳細

 年/月

第6836号

【主な記事】

全簡協 全簡連 総会
地域支える気概を
ユニバーサルサービスの最後の砦


全国簡易郵便局協会と全国簡易郵便局連合会(小山洋会長/鹿児島・東原)の平成28年度総会が、来賓に日本郵便の福田聖輝副社長、柘植芳文参院議員(全簡連顧問)、徳茂雅之全特相談役を迎え、全国から代表140人が出席し、6月3日、東京・芝公園のメルパルク東京で開催された。また、懇親会には日本郵政の長門正貢社長ら多くの幹部をはじめ、福田副社長、全特の青木進会長、小野寺武専務理事らが参加した。今回は正・副会長の役員が再任され、熊本地震によって被災しながらも奮闘する簡易郵便局の仲間の状況がDVDで報告され、1日も早い復旧・復興を期待する総会となった。

 総会は早川啓二副会長(北海道・稲美)の司会で、川村陽一郎議長(大分・都留)、小野寺伸王副議長(北海道・芦別渓水)を選出し議事を進行した。
 全簡協総会では、小山会長が「熊本地震によって被災された多くの方々にお見舞いを申し上げるとともに、全国から寄せられた多くの支援金などに対して感謝したい。一時閉鎖の簡易局もあり、引き続きの支援をお願いしたい。熊本城をライトアップするという情報が流れ、まさに希望の光となるだろう。1日も早い復旧・復興を願っている」と述べた。
 また「一般社団法人としてスタートして、3年目を迎え、28年度も防犯取り組みなどを展開するので、信念と気概を持って今まで以上に取り組んでもらいたい」と要請。「簡易郵便局はユニバーサルサービスを提供する最後の砦だとの自負を持って、国民生活に深く溶け込み、地域住民の日常生活に欠かすことのできない存在を目指す」と語った。
 さらに「日本郵政グループは株式上場によって新たなステージを迎え、今まで以上の収益性の追求や生産性の向上を通じて、経営基盤の強化やグループ企業の価値向上を図ることが必要。そのためには犯罪ゼロの継続と業務能力の向上に努めてほしい」と強調した。
 そして「地域のお客さまからよくやっている、なくてはならない、なくては困るとの高い評価や強い支持をもらえるよう、簡易局で働く一人ひとりが地域を支えているという誇りと気概を持って、郵便局づくりに精進しよう」と呼びかけた。
 日本郵便の福田副社長は「熊本地震で被災された方々の苦労に心からお見舞いを申し上げる。一時閉鎖の簡易局については、営業再開に向け最大限のサポートをしたい」と述べた。
 また「日本郵政グループは昨年度の決算では、日本郵便は増収増益となった。これも収益を上げるためのゆうパックの営業活動の展開、金融の関係では営業の浸透、保険新契約の拡大、がん保険の取り扱い拡大などに取り組んできたことや、費用の削減に力を入れたことが成果につながった」とした。
 「会社を取り巻く環境は厳しいが、郵政グループの中核を担う日本郵便の業績はお客さま、投資家の皆さんから注目されている。期待に応えられるよう一緒になって取り組んでいきたい、本年度、郵便事業はゆうパックの拡大、ゆうちょでは集中満期の取組み、かんぽは100周年を活用した取組みで、郵便局ネットワークの最大限の活用を図り、知恵を絞って地域のより多くのお客さまに評価され、利用してもらえるよう頑張ろう」と激励した。

未来志向の簡易局づくり

 全簡協総会では27年度事業報告、同収支決算報告、役員の選任、申し合わせを承認。また①簡易郵便局の円滑な設置への支援②簡易郵便局における特殊詐欺・認知症事故防止に関する実態調査③簡易郵便局受託業務従事者の指導・育成④保証事業の普及・充実を骨子とする28年度事業計画などが報告された。
 全簡連総会に入り、小山洋会長は「仲間を孤立させない、小グループによるお互いの顔が見える取り組みを継続して、犯罪ゼロの実現を図りたい。処遇の改善では引き続き日本郵便に要請書を提出して、諸課題の解決に努めたい。最重要課題であるATM設置については設置できるように議論を進めている段階」と述べた。
 そして「本年度は情報の共有と仲間の孤立を許さない共助の環境を作り、行動憲章を確認しながら、未来志向の簡易局づくりに最大限努力したい」と決意を込めた。
 来賓の柘植芳文参院議員が「熊本地震により被災された熊本県、大分県の簡易局の皆さんの奮闘に心からお見舞いを申し上げる」と述べ、「ゆうちょ・かんぽの限度額引上げでは、満額回答は得られなかったが、貯金では25年、かんぽでは30年間の懸案であった課題に風穴を開けることができた」と強調した。
 「自民党でも郵政問題に関心が高くなっているのは、皆さんの支援で自民党の比例でトップ当選したことが大きく影響している。もう一度、参院選で私の得票をはるかに超える強い力を徳茂雅之相談役に与えてもらい、郵政事業が末永く、地域を支え、国民に応える事業となるようにしていくことが必要」と訴えた。
 徳茂雅之相談役は「熊本地震で被災された方々には心からお見舞いを申し上げる。簡易局は郵便局ネットワークの最前線で働いている。皆さんのこれまでの努力が郵便局全体の安心につながっている」と日常の活動に敬意を表した。
 そして「今回の参院選挙は地域の皆さんに信を問う選挙になると思う。郵政グループの株式上場など大きな出来事があり、地域の皆さまに安心して幸せに暮らせるような社会、国づくりに前向きに取り組んでいくため、多くの皆様の支援をいただき、参院選では大きな花を咲かせてもらいたい」と支援を呼びかけた。
 全簡連総会議事では27年度事業報告、同収支決算報告や①簡易郵便局制度の維持発展②処遇改善・業務改善に関する要望の実現③防犯の取組み④業務処理能力の向上と営業環境の改善⑤情報の共有化⑥会員の共済・福祉の増進を骨子とする28年度事業計画等、全国簡易郵便局連合会会則の一部改正、役員の選任、申し合わせを承認した。
 役員では正・副会長を再任、石川県の吉田好美山島局長が理事に、監事に山口県の上田知嘉子小野田郷局長がそれぞれ選任された。
 表彰が行われ、会務運営と組織強化に貢献した大分・山梨・富山・沖縄の4県簡連、10年連続犯罪ゼロの三重・福岡・沖縄の3県簡連、グループ共済制度加入増強運動で成果を上げた最優秀賞の青森・宮城の2県簡連、優秀賞の北海道・岩手ら21道県簡連(代表受領は青森県簡連)、業績成績優秀の53人(代表受領は富山県の森昭代・福岡小野局長)、特別表彰の長野県の水野雄太・飯山新町局長に、小山会長から表彰状と記念品が贈られた。
 会場の入口では熊本地震による被災地を支援するために福岡県簡易郵便局連合会青年部(山田秀雄部長/福岡和田)による「博多華味鳥手羽元カレー」の販売が行われ、多くの会員が注文していた。
 懇親会は長谷敬子女性部長(鹿児島県・姶良野)の司会で、日本郵政から長門正貢社長、日本郵便から福田聖輝副社長、全特から青木進会長、小野寺武専務理事ら多数の来賓が招かれた。
 小山会長が「大きくなると小さく見える、小さくなると大きく見える」との言葉を引用し、「大きな会社の中で簡易局は小さな会社であるが、大きくなるように育てていきたい」とあいさつした。
 長門日本郵政社長は「郵政グループ3社が株式上場して、勇ましく大きな錨を上げて大海原に出ていくことになった。先般の昨年度の決算では主に低金利が影響して、対前年比で連結ベースでは純利益がマイナスとなった。マイナス金利の影響もあり、厳しい環境が続いている」と述べた。
 一方「本年度は、ゆうちょ銀行は25年振り、かんぽ生命は30年振りに限度額の引上げが行われた。こうした大きな好材料を基にゆうちょ銀行は新しい運用を行い、かんぽ生命も工夫を凝らして、2万4000局のネットワークを活かし、皆さんと共に逆境を跳ね返していこう」と激励した。

 青木全特会長が「2万4000の郵便局ネットワークは、郵便局と簡易局で構成され、一緒になってユニバーサルサービスを提供している。今後もお互いの持ち味を生かして、郵政事業の発展のために寄与していきたい」と強調。
 「長年の懸案であった限度額の引上げが行われたが、まだ、政治課題は多く、この夏の参院選では、徳茂雅之全特相談役を高い成績で国会に送ることが重要。絶大なる支援をお願いしたい」と呼びかけて乾杯を行った。
 交流の輪が広がる中、熊本地震によって被災した地元の仲間の現状がDVDで報告され、全員が祈るように映像を見た。そのあと、青年部、女性部が中心となり、1日も早い復旧・復興を願って、全員で“フレーフレーくまもと”の支援コールを行った。続いて全簡連と徳茂相談役への応援コールも行われた。
 小山会長の下、簡易局はユニバーサルサービスを提供する最後の砦との自負を持って、国民生活に深く溶け込み、地域住民の日常生活に欠かすことのできない存在を目指し、防犯と業務向上を図り、未来志向の簡易局づくりにまい進することを誓った。


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