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第6832号

【主な記事】

日本郵政グループ3月期決算
純利益4259億円

 日本郵政グループは5月13日、2016年3月期決算を発表した。グループの連結の経常収益(売上)は13億円減の14兆2575億円でほぼ前年並み、経常利益は前期比13.4%(1495億円)減の9662億円、当期純利益は同11.7%(567億円)減の4259億円で、減収減益となった。日本郵便とかんぽ生命の当期純利益は増益になったものの、稼ぎ頭のゆうちょ銀行が低金利やマイナス金利の影響により、前期比12%減に当たる443億円の減益となったためだ。長門正貢社長は「歴史的な低金利の影響で減益となったが、目標達成率は115.1%となった」と当初の見通しを上回ったことを強調した。

日本郵便は増収増益
 日本郵政の当期純利益は前期比28.1%減の943億円(連結には昨年11月の上場時に持株が保有するゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式、それぞれ11%分を売却したため、昨年11月から3月までの両社については89%分が反映されている)。日本郵便は、ゆうパックや金融窓口手数料の増加などで同13.1%増の472億円、ゆうちょ銀行は低金利やマイナス金利の影響で同12%減の3250億円、かんぽ生命は同4.4%増の848億円。
 経常利益(売上)は日本郵便が前年比85.1%増の423億円、ゆうちょ銀行は同15.3%減の4819億円、かんぽ生命は同16.5%減の4115億円。
 日本郵政は減収減益、日本郵便は増収増益、ゆうちょ銀行は減収減益、かんぽ生命は減収増益となった。当初の業績見通しに対する達成率は日本郵政は115.1%、ゆうちょ銀行は101.5%、かんぽ生命は101.1%と各社とも当初の見込みを上回った。
 決算の評価について、日本郵政の市倉昇常務執行役は「好調な決算」、ゆうちょ銀の池田憲人社長は「厳しい環境下で、計画に対する進捗としてはまあまあの水準」、かんぽ生命の石井雅実社長は「計画も達成しておりマイナス金利の影響は限定的。新契約月額保険料500億円は1年前倒しで達成するなど実りある1年だった」と評価している。
 日本郵政単体では経常利益が前年度より839億円増えて2329億円となったものの、特別損失が昨年度より、1092億円増えて1424億円となり、当期純利益の伸びを圧迫した。特別損失の内訳は、郵便局舎の老朽化工事の負担金として388億円、ゆうちょ銀行株式売却損が1262億円、かんぽ生命の売却益が327億円となっている。株式の売却損益は簿価からの評価。両社は子会社であるため、売却損の935億円(両社の合算の評価損益)は連結には含まれていない。
 日本郵政では2017年3月期の通期見通しについて、連結の当期純利益は1059億円の減少が見込まれることから3200億円とした。
 各社の当期純利益の見込みは、日本郵便は年金保険料率の引き上げや外形標準課税の拡大、期間雇用社員の単価引き上げなどの経費増で352億円の減収が見込まれ、120億円、ゆうちょ銀行は低金利が続くことで250億円減少し3000億円、かんぽ生命は11億円の微増で860億円を見込んでいる。
 長門社長は「サテライト運用を増やしてきたおかげで、ゆうちょ銀行が保有する有価証券の含み益は3月末現在で約4兆3000億円あり、来年度満期を迎える。来年度見込まれる中期計画の連結純利益4500億円について大きなサポートになる。郵便局舎の老朽化対策費は2017年3月期の440億円をピークに減少に向かう(2015年3月期が240億円、2016年3月期が388億円)」とゆうちょ銀行の増益と特別損失の減少など来年度以降の明るい見通しを語った。



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