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第6794号

【主な記事】

東京オリンピック・パラリンピック
「郵便」でスポンサーに

 日本郵政は8月20日、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(東京2020)と「東京2020スポンサーシッププログラム」における「東京2020オフィシャルパートナー」契約を締結した。「郵便」というカテゴリーを新設し、手紙やはがきなどにオリンピックロゴなどを活用するほか、選手村に郵便局の開設を検討する。今後、郵便局ネットワークを活かしながらさらなる施策について知恵を絞っていく。記者会見には、東京2020の森喜朗会長、日本オリンピック委員会の竹田恆和会長、日本パラリンピック委員会の鳥原光憲会長が勢揃いし、日本郵政と日本郵便に期待を寄せた。日本郵政の西室泰三社長と日本郵便の髙橋亨社長は契約内容や抱負などを説明し、会見に駆けつけた日本郵政グループ女子陸上部の鈴木亜由子選手と関根花観選手はオリンピックへの夢を語った。

 東京2020スポンサーシッププログラムは国内限定の契約で、3階層ある。1番目はゴールドパートナーとして、NTTや富士通、キヤノンなど13社、2番目のオフィシャルパートナーはANA、JAL、東京ガス、ヤマト運輸が契約しており、日本郵便は「郵便」という全く新しいカテゴリーを新設することで5社目のオフィシャルパートナーとして参加することとなった。
 国内スポンサーのさらに上位として、IOCのTOPパートナープログラムがあり、コカコーラやブリヂストン、パナソニック、トヨタなど現在は12社が契約している。全国津々浦々に存在し、“そばにいるから、できることがある”をスローガンに掲げる日本郵政は、スポンサーとしてマーク類、関連素材使用権、関連プログラム協賛権などを活用できることとなった。
 西室社長は「約2万4000の郵便局と約40万人の社員が一体となって東京2020大会の成功に貢献したい。オフィシャルパートナーとして得られる権利の活用にとどまらず、寄附金付記念切手の発行、臨時の郵便局開設なども予定している。我々は2014年に女子陸上部を創設しており、スポーツを通じた地域や社会の貢献にも引き続き力を入れていく」と強調した。
 組織委員会の森会長は「全国津々浦々まで網の目のように手を広げる郵便局から協力いただけるのはありがたい。世界中から集う選手の皆さんが思いを綴るのは手紙やはがき。人と人の心と心をつなぐ意味で、五つの輪を郵便によってつないでいただけるのは誠に素晴らしい」と期待感を示した。
 日本オリンピック委員会の竹田会長は「1964(昭和39)年の東京、72年の札幌、98年(平成10)年の長野の各オリンピック大会、2010年のバンクーバー冬季大会、12年のロンドン大会で活躍した選手たちのオリジナルフレーム切手の販売に協力いただき、オリンピックムーブメントを推進いただいた日本郵政グループをパートナーに迎えることを大変心強く思っている。アスリートの活躍は多くのドラマを生み出し、国民に夢、希望、勇気を巻き起こし、活力ある社会の実現と国際社会への調和に大きく寄与する」と述べた。
 日本パラリンピック委員会の鳥原会長は「2020年のパラリンピックは、同都市での2回目の夏季大会として世界から注目されている。限界に挑戦するアスリートたちに多くの人が感銘を受け、勇気を抱くきっかけとなる。日本郵政グループにはアテネ、北京、ロンドンと3大会連続で出場を果たし、現在も活躍中の卓球の別所キミヱ選手も在籍していた。若い人たちにパラリンピックへの理解を促し、ファンを増やす活動をオールジャパンで推進する必要があるが、全国にネットワークを形成する郵便局がパートナーとして参加されることは非常に心強い」と強調した。
 記者団からは「ビジネス内容などについて」「郵便のカテゴリーには、ゆうパックやATMも想定しているのか」などの質問があった。西室社長は「他企業の邪魔になるようなことはせずに、郵便というカテゴリーでオリンピックとパラリンピックムーブメントを広げていく。各社員が全力を挙げてオリンピックとパラリンピックの成功をお手伝いしたい」と意欲を示した。
 「カテゴリー新設に至った理由などは」には、森会長が「互いに抵触しないように良い方向に持っていってほしい。新しいカテゴリーを創ったのだから、円満にオリンピックの輪を拡げていただきたい」と説明した。
 通信文化新報の「日本郵便から見たパートナー契約の感想とは」には、髙橋社長が「全国各地の郵便局が世界的な行事のオリンピックとパラリンピックに協力できること自体が光栄で、様々な知恵を使って貢献できると思う。郵便局、郵便事業に携わるメンバーの士気高揚という効果もある」と語った。



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