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第6793号

【主な記事】

[日本郵便]初の女性管理者向け研修
体験型でマネジメント学ぶ

 昨年9月に立ち上がった日本郵便の女性活躍室(一木美穂室長)が女性のキャリア意識醸成に向けた研修を強化している。“人”で選ばれる郵便局を目指し、お客さま目線の“おもてなし”ができる人材のすそ野を広げるため、新入社員から局長などの管理者まで各段階に応じた育成の仕組みを構築。7月23日には星野リゾート(星野佳路代表)のリゾナーレ八ヶ岳(山梨県)で女性管理者代表28人が集い、初の「ステップアップセミナー」を開催した。リーダーシップやセルフコントロールをユニークな体験型メニューで学ぶことで、自らのマネジメントを軌道修正し、社員の力を大きく引き出すリーダーに成長するために新設されたもので、女性管理者の幅を広げる研修を目指していく。

 日本郵便初の女性管理者向け研修「ステップアップセミナー」は、13支社それぞれから推薦された単独マネジメント局の女性局長・部長クラス、エリアマネジメント局の女性局長各2~3人ずつの代表28人が参加。斬新なアイデアや独自のサービスで観光業に旋風を巻き起こしている星野リゾートに一泊する形で、「おもてなし局に求められるリーダー」をテーマに開催された。
 新入社員の頃は様々な研修に参加できても、管理者になるとキャリアアップのための研修が少なくなるとの問題意識から、ステップアップセミナーは自己を客観的に見つめるリーダーシップ改善講座や心と体の自己コントロール、体調管理と習慣改善、異業種交流や印象分析を通じた自己流おもてなしの振り返り、グループワークなどが行われた。
 参加者から好評だったのは、五感が優れる馬の手綱を引き、コントロールする「引き馬」だったという。馬は、リーダーシップが確立されていない引手と見抜くと言うことを聞かなかったり、ほめる時としかる時の手の触り方が曖昧だと意図が伝わらず混乱してしまうなどの微妙な接し方が難しく、参加者の多くから「馬を引く実践と社員のマネジメントは共通する部分が多く、大いに気づきがあった」などの声が挙がった。
 セミナーでは、睡眠や食生活など日常生活の改善、姿勢や歩き方の癖を直して自分のあり方への意識を高める研修も実施されたほか、ディナーではリゾナーレ八ヶ岳の長屋晃史総支配人によるおもてなし講話も行われた。
 また、年齢や役職が変わっているにもかかわらず、メイクやファッションが若い頃のままだったり、お客さまの好印象よりも自らの好みを優先していないかを「おもてなし」の観点から見直すため、客観的な印象分析が行われた。参加者が互いの第一印象を「可愛らしい」「クール」などと書き込むことで、自分が他人からどのように見られるかも改めて検証した。
 装いを社員にもお客さまにも心地よさや安心感を与えるバランスの美しいものに改善するため、資生堂から専門的な講師を招いて口紅やほほ紅の色彩、眉などの描き方なども含めた管理者メイク講座も行われた。
 それらの客観性は、サービスをお客さま視点で見直すことにも通じるとし、「もっとお客さまに寄り添う郵便局へ」をテーマに行われたグループワークでは、「社員が良いと考えるサービスとお客さまから期待されるサービスのギャップ」なども話し合われた。
 「郵便局に用がない人も足を運びたくなる郵便局にするためには」「行列ができる郵便局で待ちたくない人のイライラ解消術」「郵便局におけるシニアビジネスの展開」「セールスの話は聞きたくないが、お金との付き合い方の話なら聞きたいと言うお客さまへのアプローチ」「手紙を書かなくなった人の面倒さの解消」などが話し合われ、「気の利くギフト術として、お礼、お祝い、お見舞いなどシーン別の宛名シールやメッセージカードとシンプルな箱の組合せで、楽々おしゃれギフトパッケージを」などの意見が出ていた。
 女性活躍室では、全新入社員向けの研修強化の一環として「働き甲斐」発見・実感のための“おもてなし”マインド醸成冊子「One to One」(1対1=社員と社員、社員とお客さま、郵便局と地域)を作成しているが、ステップアップセミナーの内容を第2版として全女性社員と全局に10月にも配布する方針だ。
 一木室長は「女性社員にとって管理者が魅力的と思える憧れ感を醸成するためには、身近な女性管理者が、時に悩んだり励まし合ったりしながら、前向きに活き活き輝いていることが重要。社内SNSでのステップアップセミナー第1期生のグループ立ち上げなど、継続的に情報交換などができる場づくりも後押しして、セミナーを女性管理者のさらなる成長の登竜門的な位置付けにしていきたい」と意欲を示している。



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