「通信文化新報」特集記事詳細

 年/月

第6788・6789合併号

【主な記事】

グループ全体で考慮を
[増田民営化委員長]郵便局ネットの活用

 郵政民営化委員会の増田寛也委員長は7月9日に行われた委員会後の記者会見で、「郵便局ネットワークの活かし方を日本郵便だけでなく、日本郵政グループ全体で考えなければならない」と強調した。135回目を迎えた委員会では、かんぽ生命の法人向け商品受託販売の認可申請とかんぽプラチナライフサービス、今後の郵政民営化の推進の在り方という3点をテーマにしていたが、記者団からの質問は、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の限度額引上げとの関連性などに集中した。増田委員長は政府からの要請を受け、郵政民営化の進ちょくについて幅広い意見を聞くために、3週間のパブリックコメントを実施することを明らかにした。14日からスタートしている。

 記者団からは「ゆうちょ銀行とかんぽ生命の限度額引上げが盛り込まれた自民党の郵政事業に関する特命委員会(細田博之委員長)の提言をどう見るか。ユニバーサルサービスコストは限度額引上げにどのように関わってくるか」との質問があった。
 増田委員長は「今回、政府から幅広い調査審議を求められているため、それに対応していく。総務省が先般まとめたユニバーサルサービスコストの実態を見ると、ユニバーサルサービスを維持する上で都市部と地方部で違いがある。ユニバーサル維持が実現可能なネットワークは郵便局くらいしかない。どう活かしていくか、これまで蓄積したノウハウを伸ばす余地もあるだろうし、より大切な資産として使う考え方があるのではないか。ネットワークを保ち続けるために、その活かし方は日本郵便だけではなく、日本郵政グループ全体で考えていかなければならない」と強調した。
 「調査審議はどのような形で行われるか」との質問には、「本日は金融庁審議官と総務省郵政行政局長が来て、要請文をなぞる形で調査審議の要請があった。上場すれば、国の一人株主にとどまらず新たな株主が登場する。市場規律を浸透させ、上場を成功に導くためにはどういうことが必要なのか、所見を民営化委員会から提示してほしいとの要請があった」と語った。
 また「パブリックコメントの進め方について」は「幅広く意見を聞く」と述べ、「民営化委員会の所見は、法的な手続きがあるとすると、今後また別にあるのか」には、「政令を改正する際に、委員会の意見を必ず聞かなければならないとの法的手続きが必要になる」と説明した。
 「自民党の郵政事業に関する特命委員会(細田博之委員長)の提言は、9月末までの結論を目指しているが」には、「調査審議の要請時も両省庁からいつまでに結論を欲しいとは言っていなかった」と答えた。
 「菅官房長官も自民党の提言は、民営化委員会で対応すると繰り返し述べている。要請文を見ると“幅広く”となっているが、政府からの調査審議要請は限度額も含んでいるのか」には、「政府に聞いた方がよいと思う。意見の結果を見なければ何ともいえない。ともかく要請があったので、意見を見ながら考えていく」と語った。
 「限度額引上げの政令案が出された後に、(再度)パブリックコメントを行うのか」には「政令案が出てくれば、行政手続法に基づいて進められる。その時は30日間行う」との方針を示した。
 「今回のパブコメは限度額引き上げを意味する内容になるのか」には「あくまで“幅広く”という範囲。それをどう受け止めるかは委員会で相談しなければならない」と述べた。
 「今回の調査審議は政府が政令案を作る前提となっているのか」には「そういうことは申し上げられない。政府がどのような要請をするかにかかっている」との考えを示した。
 「政令案をいつまでにというスケジュールは決まっていないというが、遅くとも日本郵政の上場までになどの目標はあるか」には、「特にはない」と答えた。
 「地域金融機関との連携が求められる中、限度額を引き上げるのであれば協力はできない、と言っているようだが」には「どうしていくかはそれぞれの考えのため、委員会の方で申し上げることはできない」とした。「所見は上場前に出す方針か」には「これから相談する」と説明した。
 「民営化委員会の役割は民営化の進ちょくを検証して意見を述べるものと認識しているが、そこに今後の民営化の在り方の調査審議を要請するというのはなぜなのか」には、「政府に聞いていただきたい。上場は新たな局面を迎える。民営化されたとはいえ、上場されていないために市場の規律にはさらされていなかった。法律は変わり、期限はなくなったが、上場をつつがなく行うことは法律の趣旨にある。今後は膨大な株主が関わってくる。会社としての規律もそれに対応できるようなことにしなければならない。次のステージに持っていく大切な時期という意味がある。委員会は3月に3年間の検証を行い、意見を申し上げたが、政府からさらに新たに所見が欲しいと言ってきたものと理解している。リクエストに対して幅広く意見を聞く必要がある。後の日程は相談していく」と語った。
 「民営化委員会では引上げ派と反対派の意見の両方を聞くのか」には「パブコメでどのような意見が出てくるかによる」と述べた。
 通信文化新報の「限度額引上げについて、地域金融機関は預け替えを嫌がっていると思われるが、自民党の提言はそれをけん制している。委員長は預け替えなどが起きるか否かなどに対する考えは」には、「今日のところは特段ない。今後、どうなっていくかは今のところまだ分からない」との見方を示した。


>戻る

ページTOPへ