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第6777・6778合併号

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前島密翁墓前祭
没後96年 偉業を称え250人が参列

 「前島密翁墓前祭」が4月25日、神奈川県横須賀市芦名の浄楽寺で挙行された。「日本文明の一大恩人前島密翁を称える会」(吉﨑庄司会長/元・鎌倉材木座局長)が主催、毎年行われている。今年は生誕180年に当たり、曾孫の前島欣二さん、日本郵便の髙橋亨社長をはじめ多くの郵便局長、OBら約250人が参列、前島スピリッツの継承を改めて誓った。

 晴天に恵まれ、浄楽寺本堂の前で吉﨑会長が「今年は生誕180年、新潟県上越市から村山秀幸市長、佐藤敏市議会議長、田中弘邦上越市商工会議所会頭をはじめ、多くの皆さまに参列いただき感謝。4年後には没後100周年になる。これからも意義ある行事にしていきたい」とあいさつ。
 横須賀市の吉田雄人市長は「前島密翁は郵政事業のみならず鉄道、海運、電信電話など近代日本の建設に偉大な功績を残した。横須賀の地に眠られており、遺徳を継承していかなければならない」と語った。
 田中会頭(全特顧問)は、上越市が進めている「前島密生誕180年記念祭」の実行委員長でもある。「秋には記念式典や講演会を企画、郵政博物館と上越市の前島記念館が協力し記念展も計画している。生誕の地の上越市を挙げて業績を改めて紹介する。翁の偉大さは地域、国のために偉大な業績を残しているが、決して自分の手柄としなかったことだ。まさに縁の下の力持ち。前島精神の継承は、今の時代にとってもたいへん重要」と称えた。
 また、前島家を代表して参列した曾孫の欣二さんは「多くの人に参列いただき曾祖父も喜んでいるだろう。世のため人のために、自分ができることを行っていくことが前島精神。墓前に1年間行ったことを報告、そして、これからの1年の新たな取り組みを誓っていただければ密も本望と思う」と期待を述べた。
 参列者は本堂前での記念撮影に続き、高台にある墓前へ。偉業に思いを馳せながら前島密・なか夫人の墓に手を合わせていた。
 佐島マリーナに場所を移した午さん会では、上越市の村山市長が「改めて翁の偉大さを強く感じる。地域の誇りとして後の世代に伝えていきたい。秋には生誕180年の企画展も開催する。北陸新幹線も開業したことから、ぜひ多くの皆さんに訪れていただきたい」と強調した。
 佐藤市議会議長は「日本の礎を築いた郷土の大先輩。小中学校の教育の場でも翁の業績を取り上げることになった。誇りを持って次代に継承していきたい」と述べた。
 日本郵便の髙橋社長は「今年、日本郵政グループは上場という新たな段階に入る。この時代にこそ翁の広い見識、将来を見通す眼、決断する時は果敢にということが我々にも求められる。今年は郵貯創業100年、来年は簡保創業100年、さらに2019年が没後100年、20年は東京オリンピック、そして21年は郵便創業150年と大きな節目の年を切れ目なく迎える。まずは上場を成し遂げ、21年へ向けてまい進したい」とあいさつした。
 日本郵政の勝野成治専務執行役が「前島精神を広めていかなければならい。社員研修にも取り上げることにしている。郵便のネットワークの上に送金、貯金、保険のネットワークを載せた。郵便局ネットワークを有効活用する発想が貫かれている。今後は、さらにITを活用したバーチャルネットワークとの結合も考えていきたい」と語った。
 南関東支社の木下範子支社長は「偉大な先達に恥じぬよう郵便局を守り、発展させることが最大の恩返し」と意欲を示した。
 通信文化協会の團宏明理事長が「翁の偉大さは先見性、国際性、それと説得力だと思う。アイデアだけでなく現実に相手を説得して組織をつくり行動していく。現代においてもそれを如何に実践するかだ。郵政事業は大事な時期を迎えている。翁の精神に沿った新展開をOBも協力していきたい」と述べた。
 吉﨑会長の「前島精神を踏襲して郵政の発展を」との発声で献杯、参列者は改めて前島密の業績を偲んだ。最後に称える会の北風雄副会長(前・神奈川県南部地区郵便局長会会長)が「進取の気性に富む前島精神を受け継ごう」と閉会の言葉を述べ、来年の再会を誓った。


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