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 年/月

第6775号

【主な記事】

地域を元気に! 柘植芳文参院議員
個性を重視した評価を

■郵便局長の皆さんは地域に根ざし、様々な地域貢献活動を行っているが、適切な評価の仕組みが確立されていない。
 確かに人事評価は表向きの数字のみが判断材料となり、そうした部分に目がいっていないように思える。局長時代にも強く求めてきたが、そうした評価も高めるべきだ。モチベーションの向上になる。
■郵便局は都市部と過疎地などでは役割も自ずと異なる。約2万局一律の営業方針や評価基準ではなく、地域の特色に見合った役割が求められているのではないか。
 本当にそう思う。端的に言えば、2万局が同じ業務をしなければならないという考え方は民営化された事業体としておかしい。各地域で特色を活かした事業展開をする方がむしろ正当だ。
 三事業を提供する郵便局はもちろん大切だが、部会に10局あるとすると例えば3局は三事業以外で頑張るなど色分けし、自由度を持たせるとよい。平等にできるはずがないのだから。ただ、設備投資や備品は三事業で稼いでいる局から優先的に実施する考え方でもよいと思う。
■郵便局長の皆さんも知恵を出していかなければならない。
 約2万の局長全員Aランクということはあり得ないし、求めてはいけない。しかし、過疎地などで収益が厳しくとも懸命に努力している局長も存在する。そうした局長の思いをしっかり汲みとらなければならない。
 部会や地区を一つの単位と考えてもよいが、チームとしてどのように収益を挙げているかが大切だ。極端かもしれないが、過疎地の郵便局の営業目標ははずしてもよいのではないか。会社としては納得できないかもしれないが、地域を守る誇りと共に、第四事業を興して収益を上げる作戦もある。
 また、郵便局を支援する部署は本社では営業セクションに持っているが、そうすると収益が上がる、上がらないという視点だけで郵便局の優劣を見がちになる。例えば経営企画部などに持っていき、経営の観点から新しく事業を見つけるための支援をするなど、どのように一つひとつの郵便局を活かしていくのかを一緒に考えるのも一案だ。各地域ごとの郵便局ネットワークの持つ個性を会社は重視すべきだと思う。
 よちよち歩きの赤子に〝走れ〟は無理。〝損して得とれ〟は商売の鉄則だが、郵政事業は一見損と思える地域貢献活動をしながら多くの利益を挙げてきた歴史を持つ。
 日本郵便の髙橋亨社長はそういう部分にも目を向けているが、会社総体としてはそうした視点が足りないように見える。施策を決める時も過疎地の問題は別枠で後回しだ。しかし、こうした問題こそ事前に問題を抽出し、協議の内容の中心に持ってくるべきだ。
■平成の大合併で自治体はきめ細かい行政サービスを行いにくくなった。郵便局が、そうした行政サービスを的確な手数料を基に代替することなども考えられる。
 大いにやるべきことで、新藤義孝前総務大臣もボランティアではなく、ビジネス化せよと盛んに言われていた。これまでボランティアだった制度も再考してほしい。自治体合併は、政治的に見るとあまり成功例はない。むしろ合併を拒否して残った小さな村や町が大きな収益を生み出している例が多い。広域化された自治体の悲劇は、過疎地の中に格差を生んでいることだ。
 なぜかといえば、後から合併した市町村には7~8年間分の補助金が出るが、旧来の市町村には一銭も出ないため格差が生じる。山口県内の市議から「合併して十分行政サービスができない。何とか昔のように郵便局がやってほしい」との話もあった。
 〝地方創生〟で、自治体と話しながら郵便局にできるものを模索し、一定の手数料をとってビジネスとしてやればよい。手数料がないというならば、政府が過疎地に対する補助金を出しているため、それらを使うこともできるはずだ。
 会社側は、補助金を使うとまた政治が必要以上に関与するとの危機感を持っている。補助金を使い事業を始めると、補助金が止まった時に事業も止まることになり、結局浸透しないことを理由に挙げるが、その思想は間違っていると思う。
 民間企業であるならば、何をすれば1円でも2円でも収益を挙げられるかを考えなければならない。国の補助金だろうと何だろうと金であることには違いないのだから、適正な価格でそうしたものを受けながら進めるのが経営者の発想であるべきだ。都市部の局長にも、過疎地の郵便局も大切だと存在意義に気づかせる仕組みを構築すれば、全体のモチベーションが高まる。(つづく)


 



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