「通信文化新報」特集記事詳細

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第6742号

【主な記事】

郵政専用がん保険10月に発売
年賀はがき ネットで予約開始

 日本郵政の西室泰三社長は8月27日の記者会見で、昨年7月のアフラックとの業務提携で柱の一つになっていた郵政グループ向けのがん保険「新・生きるためのがん保険Days(JPオリジナルプラン)」が完成し、10月1日から販売を開始すると発表した。当面は、がん保険を取り扱う2980局と、かんぽ生命79支店で販売する。西室社長はまた、平成27年用年賀はがきについて、「本日からインターネットで予約を受け付ける」と意欲を示し、世界的に加入者が増加している通話アプリ「LINE」との連携や、その他にも「ハローキティ」などを使った楽しさあふれる年賀はがきの販売にグループを挙げて取り組む姿勢を強調した。さらに、日本郵便が9月3、4の両日に上海で開催する「中国・アジア販路開拓チャレンジ2014“日本商品商談会IN上海”に「約40社の企業が参加することになった」と語った。




 西室社長は冒頭で、「昨今の自然災害で亡くなられた方々のご冥福を祈りたい。郵政グループとしても、災害義援金の無料送金サービスや非常取り扱いなどを実施している」と見舞いの言葉を述べた。
 また、平成27年用年賀はがきについて「総発行枚数(予定)は約34億2000万枚で、10月30日から窓口で販売する。新しい取り組みで年賀状の楽しさを実感してもらえればありがたい。ますます便利になったので、ぜひ活用していただきたい」と強調。「キャラクター年賀の拡販、SNSを使ってスマホで出す年賀も進化させた。喪中はがきにお返しする『お線香たより』や一定の地域を指定するとその地域の全世帯に届く『年賀タウン』もぜひご利用を願いたい」と意欲を示した。
 アフラックが郵政グループ向けに開発したがん保険「JPオリジナルプラン」については「かんぽ生命の入院特約などと重複する部分を抑え、一方、がんと診断された場合の保障を手厚くした」とかんぽ生命商品の補完的商品であることを説明。「既にかんぽ生命の保険に加入しているお客さまが、JPオリジナルプランを追加したい場合に使いやすい。従来から郵便局を利用していない新しいお客さまにもアプローチできる可能性がある」と期待感を示した。
 JPオリジナルプランは、がん治療に対する基本保障を備えられる商品内容で、がん診断時に受け取れる一時金は入退院のみならず、治療費以外の様々な費用として活用できる。近年のがん治療は通院が増加傾向にあるが、三大治療(手術・放射線・抗がん剤)のための通院が日数無制限で保障されるなど安心感のある商品設計となっている。経済的な負担の大きい抗がん剤治療も月ごとの給付金を支給。保険料は終身払い(抗がん剤治療特約10年更新)の場合、30歳男性月額1578円、30歳女性1645円、50歳男性3881円、50歳女性3186円などとされる。
 記者団から「JPオリジナルプランの取り扱い局の拡大計画やアフラック以外の保険会社の商品の取り扱いは」との質問には「郵便局ネットワークを維持していくためには郵便局でできる仕事を増やし、利益が上がるようにするのが一つの方法。地固めをしながら広げていく。その他の保険会社も一歩ずつ進めていきたい。保険代理店という分野で郵便局ネットワークが必ず役に立つことを実証する時期になったと考える」と語った。
 「JPオリジナルプランでは、かんぽ生命の顧客でない人をどう取り込んでいくのか」については「JPオリジナルプランは、従来からご契約いただいているお客さまに加えて学資保険など、新たにご加入いただいたお客さまにも加入しやすい商品と考える。新規のお客さまに対しては、かんぽの保険と併せて総合的に魅力的なものとしてご提案していきたい」と強調した。
 「JPオリジナルプランは収益面で直接的に高い貢献を発揮すると考えているか」との質問に「中期経営計画『〜新郵政ネットワーク創造プラン2016〜』に記される目標のさらに上のターゲットに持って行けると思っている。来年3月には中期経営計画を見直そうと思っているが、収益の表現をどうするかはまだ決めていない」と語った。
 「年賀状で様々な新しい取り組みを導入する背景などは」については「自然体に任せておくと年賀状を出すという習慣は下火になる。昨年、予定通りの販売枚数を確保できたのは新しい切り口のアプリケーションを追加しながら販売したことがある。売れる手段をたくさん準備することで、フロントラインを手伝いたい」と説明した。
 「大宮と札幌でJPビルがグランドオープンするが、今後の不動産事業の展開は」には「名古屋と博多も進めているが、我々の持つ資産となる郵便局を再開発をすることにより、地域に貢献することが郵政グループとしての基盤にもなる」と強調した。
 上場に関して「財務省が検討する主幹事証券会社への見解は」に対しては「来年度の上場は、我々の新しい生き方。その第一歩として大切な部分だ。何とか来年の上場は実現したいが、最終的には財務省理財局が決めること」との見解を示した。
 通信文化新報の「上場に向けて、企業価値向上をどのように説明されていくのか」には「金融の新規事業や限度額、会社間窓口の委託手数料に係る消費税などがすべて解決するとの夢物語を描くわけにはいかないため、規制が続いていることを前提とし、着実にできることでストーリーを作っていくしかない。将来、株式の保有状況が変化する中で、自由度が増すことを期待する」と語った。
(年賀状の取り組みは次号9月8日付に掲載)


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