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2021年10月18日第7114号

【主な記事】

日本郵政株を売出し
政府保有は33.33%に

 財務省は10月6日、日本郵政株式の第3次売出しを実施すると発表した。最終売出しとなり、株式の10億2747万7400株(発行済株式総数の約27%)を国内外に販売する。売却後は政府の保有率は60.6%から郵政民営化法に定められた保有義務の3分の1(33.33%)となり、議決権の過半数を所有する支配株主から筆頭株主になる。郵政民営化のプロセスも節目を迎える。

 売出し価格は10月25日から27日までの何れかの日の東京証券取引所の終値。申込期間は売出し価格決定日の翌営業日から2営業日後の日まで。国内は7億7060万8100株、海外は2億5686万9300株を売却予定。
 主幹事会社は、国内では大和証券、みずほ証券、ゴールドマン・サックス証券、JPモルガン証券、SMBC日興証券。
 海外は「GoldmanSachsInternational」「J.P. Morgan Securities plc」「DaiwaCapitalMarkets Europe Limited」「Mizuho International plc」 「Merrill Lynch International」 が共同主幹事引受会社兼ジョイント・ブックランナーとなる。
 日本郵政株式の売却益は、東日本大震災の復興財源に充てられる。目標額は総額で4兆円。2015年11月の新規上場で約1.4兆円、2017年9月の第2次売出しで約1.4兆円の売却益を得て、合わせて約2.8兆円が確保された。
 残りの約1.2兆円のうち、今年6月に実施された日本郵政の自己株買い(発行株式の6.83%、株価905.5円で2億7609万500株)で約2500億円の収益があった。第3次売出しでは9500億円を確保できれば目標達成となる。
 日本郵政は自己買い分と手元の約4億5600万株の合わせて7億3212万9771株を消却(6月)、政府の保有割合は50.7%から60.6%に上がり、売却できる株数も増えた。
 第3次売出しについて財務省は当初、2019年5月に主幹事証券会社を選定(国内3社、海外3社)、同年秋頃には売り出す予定で準備を進めていたが、かんぽの問題が起きて株価が下落。売り出し時機を逸した。
 日本郵政が6月に自己株買いをした時の価格は1株905.5円だった。その後、日経平均株価は上昇したものの、日本郵政株式は低迷が続いており、現在も930円台と自社株買いの時と比べてわずかに上がっただけとなっている。

【日本郵政株式の売却状況】
<1次売却2015年>8.7億株、1兆4109億円=▽市中売却4.9億株、6890億円▽日本郵政の自己株買い3.8億円、7301億円(金融2社の株式売却益を活用)
<2次売却2017年> 10・6億株、1兆3984億円=▽市中売却=9.9億株、1兆2989億円▽日本郵政の自己株買い0.7億株、995億円
<日本郵政の自己株買い2021年>2.7億株、2499億円
<2021年までの累計売却> 22.1億株、3兆591億円

 自己株買いを実施 100億円上限
 株式の需給調整のため、日本郵政は10月6日、自己株式の取得について取締役会で決議した。
 日本郵政は取得価額1000億円、株数1億3300万株を上限に市場で自己株を取得する。
 買い付け期間は、売り出しの受け渡し日の翌営業日から来年4月28日まで。取得した株式は消却する方針。


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