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2021年10月4日第7112号

【主な記事】

ワクチン接種予約を受託
[全国初]石川県小松市10郵便局


 北陸支社(加納聡支社長)は9月27日、石川県小松市から新型コロナワクチン接種予約受付業務を受託した。小松市民の利便性向上を目的とし、市内の郵便局(10局)で同日から業務を開始した。郵便局での新型コロナワクチン接種予約受付業務の受託は、全国で初めてとなる。今後はブースター接種と呼ばれる3回目の接種も始まる予定で、地域に根付いた拠点としての郵便局で受付業務を開始することによって、インターネットに不慣れな対象者や交通手段を持たない市民への予約支援を行い、円滑な接種に繋げていく。

 取扱局は小松郵便局、安宅郵便局、国府郵便局、小松軽海郵便局、小松今江郵便局、小松本江郵便局、御幸郵便局、月津郵便局、金野郵便局、那谷郵便局の10局。いずれの郵便局も、地理的には市の中心部から離れた山側と海側に所在する。
 郵便局の窓口ロビーに設置した小松市の電子申請パソコンを利用して、新型コロナワクチン接種の予約・変更・キャンセルの受付を行う。
 10局には今年の4月末から、小松市からの依頼によって電子申請パソコンが設置され、お客さま自身が行う予約等の入力を社員が支援していた。小松市との行政事務受託の際に研修を受けているため、ほぼすべての社員が対応できる態勢が整っており、これまでに350件の支援実績を誇る。今後は社員が代行入力を行うことになる。
 民間企業が行政事務の代行入力を行うには法律の規制等があるため、各関係省庁と十分に協議した上で、今回の業務受託に結びつけた。
 石川県加賀南部地区連絡会の北野泰右副統括局長(保険担当/小松今江)は「郵便局には高齢者のお客さまも来局する。多くの高齢者はいわゆるIT弱者。現代社会ではITは必要不可欠になっているため、郵便局で支援できないかという思いがきっかけとなった」とし、「今後はがん検診等の予約業務など支援を拡充できれば幸い」と抱負を語る。
 9月26日現在の小松市民の全人口比でみた接種状況は、第1回接種が70.6%、2回目が60.9%。65歳以上では、2回以上の接種が92%に達している。今年1月1日現在の小松市の人口は10万7722人。
 小松市は高齢者接種がスタートした4月から、コールセンター、インターネット、窓口開設(市役所エントランス、駅前サービスセンター、こまつドーム、10郵便局)の3種類の予約方法を用意して対応してきた。60歳~64歳の予約開始日の6月30日をもって、原則的には、10郵便局、市役所・市施設以外の窓口、コールセンター、インターネットでの受付となっている。
 業務委託契約の締結に合わせ、同日に小松市役所で締結式が実施され、小松市から宮橋勝栄市長、越田幸宏副市長、山本周予防先進部長、日本郵便からは小松郵便局の三井亨局長、石川県加賀南部地区連絡会の新谷真志統括局長(川北)、北野副統括局長をはじめ小松西部会の南雅志部会長(小松大文字)、小松東部会の石田聡部会長(小松打越)が出席、宮橋市長と三井局長が署名調印のうえ協定書を取り交わした。
 新谷統括局長は「地方創生、地域貢献の中で、郵便局のネットワークが自治体と連携することによって、地域の高齢者の方々、それにデジタル難民といわれる方々を支援できる、そうした社会基盤を作る第一歩になったと考えている」と評価。
「さまざまな新たな仕組みを小松市から全国に発信できる、その先駆けになることを切に願っている。これからも、郵便局はお客さまに心から温かく接していきたいと思う」とあいさつした。
 宮橋市長は「小松市においてもワクチンの円滑な接種を進めてきた。65歳以上の接種については、デジタルに疎遠な方、あるいは市役所まで来るのが大変という方がいる中で、着実に郵便局の皆さんには包括連携協定の枠組みで担っていただいた。おかげさまで好評をいただいており、第3回目の接種に向けて協定を取り交わして、しっかりと進めていきたいと考えている」と経緯を説明した。
 そして「市の窓口だけではできないことがたくさんあるため、新たなパートナーシップにおいて多様な窓口を築いていく中で、地域に根差した行政サービスを展開してまいりたい」と強調した。


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