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2021年7月19日第7101・7102合併号

【主な記事】

「頭文字D」の聖地を巡る
群馬県中部連絡会 フレーム切手も
渋川市アニメツーリズムに参画


 群馬県渋川市(髙木勉市長)が、JTBと協力して推進している「渋川市のアニメツーリズム」施策で、群馬県中部地区連絡会(黒岩伸一統括局長/草津)が一翼を担い、地域の活性化に取り組んでいる。渋川市は以前から人気漫画・アニメ「頭文字D」の舞台になった場所をファンが訪れる「アニメツーリズム」を推進している。連絡会と渋川市が今年1月に締結した包括連携協定の項目の中に「地域経済の活性化」が盛り込まれていることから、市との協議を重ねアニメツーリズムに参画することになった。

 講談社「ヤングマガジン」で連載された漫画「頭文字D」(1995年~2013年)は、アマチュアドライバーの主人公が関東各地の猛者との対戦を重ねながら、“公道最速”を目指していく姿をテーマにしている。2005年にアジア各国で実写版の映画が公開されるなど海外でも人気が高い。台湾では同年の映画の最大動員数を記録している。
 県内には数多くの「頭文字D」の舞台地が存在し、その中でも多くを有しているのが渋川市。バトルが行われた峠、主人公の実家、デート場所など渋川市全体にモデルとなったスポットが点在している。
 アニメツーリズムの柱は①オリジナルマンホール②デジタルスタンプラリー③ラッピングバス④オリジナルフレーム切手の販売⑤コラボ宿泊プラン―の5つ。
 連絡会はアニメツーリズムが始動する3年前から、「頭文字D」をテーマとしたフレーム切手の発行を通じて、渋川市と密接な連携を図ってきた。荒井千寿局長(現副統括局長/赤城三原田)が中心となって構想が練られ、2018年10月1日には、フレーム切手「頭文字D ようこそ 渋川市へ」を発行。同日、渋川市のふるさと納税の返礼品に採用された。
 ファン層へのアピール度も高く、市内の郵便局で限定販売された分は、販売開始後2時間で完売となるなど、県内外のファン層の話題を集めた。切手の絵柄は講談社発刊の「頭文字D」シリーズの1~10巻の表紙を採用した。
 フレーム切手セットは、その他にA3二つ折りの台紙1枚、ステッカー1枚、ポストカード1枚で構成され、ファン心理に深くアピールする出来栄え。購入できなかったファンからは、追加販売についての問い合わせが相次いだという。
 ファンの要望に応える形で、フレーム切手はシリーズ化され、昨年10月12日には第4弾が発行された。7月5日にはシリーズ特別号としてフレーム切手「渋川市 頭文字Dマンホール巡り」が販売開始された。
 アニメツーリズムの柱の一つ、オリジナルマンホールを巡る体験の魅力を訴求する試みの一環。渋川市内7か所に「頭文字D」のキャラクターたちが描かれたマンホール蓋が設置され、新劇場版シリーズ作画担当の横山愛氏による描き下ろしイラストがデザインされている。
 フレーム切手は7種類のマンホール蓋の切手に加え、「頭文字D」のオリジナルロゴがデザインされた3種類の切手で構成。いずれも63円切手で1シート1500円。渋川市内の郵便局(14局)での限定販売。台紙には「渋川市には『アニメツーリズム推進事業』の一環で制作された『頭文字D』のキャラクターが描かれたマンホールが市内7か所に設置されている」と、アニメツーリズムをPRする文言が記されている。
 昨年の8月1日にはデジタルスタンプラリーの第1弾として、マンホールを巡るラリーがスタート。全チェックポイントを巡ると、頭文字Dのオリジナル壁紙が贈呈される特典付き(クリアファイル、ポストカードの配布は終了)。
 7月3日には、エリアを渋川市内全域に広げた第2弾のデジタルスタンプラリーが始動した。各チェックポイントでは、キャラクターのAR(オーグメンテッド・リアリティ)を獲得することができる。全チェックポイントを巡ると特性マウスパッド(先着2000人)&特製マイARがプレゼントされる。
 ARは、知覚する現実環境をスマホなどのデジタルデバイスによって拡張する技術。スマートフォンを通して見る風景上に、その場所に関する情報が被されて映し出される。
 5日発売のフレーム切手は、2018年の第1弾の販売開始以来、信頼関係を築いてきたファン層に対して、「第2弾デジタルスタンプラリー」を広くアピールする効果が期待されている。
 フレーム切手販売前の7月2日に、渋川市役所で贈呈式が開かれたほか、3日開催のJR渋川駅開設100周年記念イベントには、臨時出張所が設けられ、同切手が先行販売されるなど、群馬県中部地区連絡会は取組みに注力している。

 フレーム切手で活性化にも貢献
 フレーム切手「渋川市頭文字Dマンホール巡り」の贈呈式が7月2日、渋川市役所で開かれ、黒岩統括局長から髙木市長に贈られた。日本郵便からは黒岩統括局長はじめ新井秀治局長(渋川)、関口博文副統括局長(郵便・物販担当/沢渡)、荒井千寿副統括局長(ゆうちょ担当/赤城三原田)、関東支社の市村直己地区スタッフが出席した。
 市村スタッフが司会を務め、黒岩統括局長が「髙木市長はじめ渋川市の皆さまには日ごろより大変お世話になっている。1月に包括連携協定を締結するなどさまざまな面でご協力をいただき、郵便局としても本当に助かっている。今回のフレーム切手作製に当たっても、下水道課および観光課の皆さまにご協力をいただき感謝」と謝意を表明。
 続いて「今回は頭文字Dシリーズの特別号としての位置付け。マンホールを題材にした非常に珍しい切手になっており、人気が出るものと期待している。今後も渋川市と連携しながら、一緒にさまざまな施策に取り組んでいきたいと思っている」と語った。
 髙木市長は「新しいフレーム切手の作製はありがたい。これまでにも頭文字Dの切手を4弾にわたってシリーズ化していただいた。いろいろな形で、頭文字Dのフレーム切手を日本、世界に向けて発信し、そして多くの方々が渋川に来ていただいている」と評価した。
 そして「渋川市をアニメツーリズムの発祥地にしようと取り組み、頭文字Dの聖地として多くの方々に親しまれている。コロナ禍が収束したら、再び観光客を渋川にお迎えしたいと思っている。その一つの大きな力に、フレーム切手がなってくれることと期待。地域の活性化のために、これからも力をいただきたい」と期待を寄せた。

 渋川駅100周年 臨時出張所で販売
 渋川駅開業100周年記念イベントが7月3日に駅構内・駅前で開始され、群馬県中部地区連絡会は臨時出張所を開設し、フレーム切手「渋川市 頭文字Dマンホール巡り」(7月5日販売開始)を先行販売した。
 荒井副統括局長はじめ、赤城三原田郵便局に勤務の藤倉徳人ゆうちょCAD、木村悟課長代理、狩野竜之介課長代理が担当した。新しいフレーム切手のほか、「頭文字D」シリーズの第3弾、第4弾も用意。ブース脇には郵便ポストが置かれた。
 イベント開場前から人だかりができ、フレーム切手の質問をする来場者が目立った。開場後は購入者が相次いだ。
 記念行事の主催はJR東日本高崎支社、渋川駅。協力は渋川市、一般社団法人渋川伊香保温泉観光協会、渋川警察署、渋川広域消防本部ほか。
 県立渋川女子高校のブラスバンドによる演奏により開幕した。来賓として髙木市長ほかが招かれスピーチした。
 正午過ぎに髙木市長、中曽根康隆衆議院議員、渡辺光義渋川駅長が臨時出張所を激励に訪れた。
 また同日、渋川市のアニメツーリズム施策の一環として、「頭文字D」を題材としたラッピングバスが運行(関越バス・群馬バス)、「頭文字D」のイラストが描かれたマンホールを巡るデジタルスタンプラリーが始動し、話題を集めた。


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