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2021年7月12日第7100号

【主な記事】

楽天モバイル郵便局店が開設
8月末まで首都圏10か所で
「思った以上の販売効果」全国展開も視野に


 楽天モバイル郵便局店の臨時ブースが6月から首都圏の郵便局10か所で開店した。8月末までのトライアル期間に市場調査を行い、全国展開を目指す。約1か月間の郵便局での販売について同社では「1日平均100人位のお客さまが来店し、思った以上に販売効果が上がっている」と本格展開に向けて仕組みづくりを進めている。

 このトライアルは、楽天と日本郵政・日本郵便の戦略的業務提携に基づき、実施されている。楽天モバイル郵便局店はトライアルの間は、郵便局の一角をイベントスペースとして借り受ける「販売促進メニュー」を利用している。
 店舗はスタッフが相談や手続きを行う「簡易店舗型」とタブレット型の通信端末でスタッフのサポートを受けながらオンライン手続きを行う「リモートブース型」の2種類を用意している。
 簡易店舗での契約なら、端末はその場で手渡される。リモート型で契約した場合は、端末は後日郵送となる。
 同社では2種類の店舗を、郵便局の顧客層によって分けており、簡易店舗型は、深川郵便局、新宿郵便局、豊島郵便局、さいたま中央郵便局、美浜郵便局の5局。リモートブース型は、本郷郵便局、王子郵便局、荒川郵便局、葛飾郵便局、武蔵府中郵便局の5局。
 楽天モバイルの中村礼博ビジネスインキュベーション部長は今後について「8月末までに本格展開に向けてのデータやお客さまの声を取っていきたい。契約数を第一に考えたいが、スタッフを置けば人件費がかかる。集客が取れる所は人を配置し、取れない所はリモートブースにするなど採算ラインを考えながら検討したい。現在は販促スペースを利用しているが、本格サービスを展開する時は日本郵便と相談したい」と話す。本格展開のスケジュールは未定だが、8月末の結果を踏まえて決めたいという。
 スペース貸しをする日本郵便の物販ビジネス部の中山圭子専門役は「今回の取り組みが郵便局窓口の活性化につながればと思う。楽天はデジタルというイメージだが、地域の楽天というイメージにもつながるのではないか」と今後の展開に期待する。
 楽天モバイルでは、販売だけでなく、郵便局の会議室を借りてスマホ教室も展開したいという。
 東京都文京区にある本郷郵便局を訪れた20歳代の会社員は楽天モバイルのブースについて「近くにオフィスがあり、いつも郵便局を利用している。郵便物を出しに来た時に目立つブースがあった。いつも使っている郵便局の用事のついでに立ち寄れ、しかも専門の人がいて相談できるのは便利だと思った」と局内での販売を歓迎している。
 楽天モバイルの通信ネットワークは、5月末現在で4Gが人口カバー率88%、12月末には96%を予定している。5Gは2026年3月までに人口カバー率96%を計画していたが、5年前倒しで進める予定。
 郵便局の5G基地局設置は500を予定しているが、すでに400を設置済み。同社が日本郵政などに第三者割当増資で集めた資金2400億円は12月末までに全額、これら基地局の設置に充当する。


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