「通信文化新報」特集記事詳細

 年/月

2021年4月5日 第7086号

【主な記事】

利用者保護の観点で実施を
[民営化委]ゆうちょ銀行の新規事業

 郵政民営化委員会(岩田一政委員長)は3月23日、総務省と金融庁から意見を求められていた「フラット35の直接取扱などのゆうちょ銀行の新規業務」について、調査審議の結果を公表し、同日両省庁に提出した。認可に当たって同委員会は利用者保護の観点から「フラット35を取り扱う41店舗の直営店から取扱店を増やす場合は同委員会に説明する。郵便局で取り扱う場合は認可申請が必要」という条件を付けた。

 ゆうちょ銀行が申請していた新規業務は「フラット35の直接取扱」と同業務に関連する「損害保険募集業務」「信用保証業務を行う子会社の保有」の3つ。
 スルガ銀行の媒介業務として取り扱ってきたフラット35を直接取扱にすることに伴う関連業務。同委員会では、昨年12月から調査審議を行ってきた。
 委員からは「信用保証業務を子会社で行わせることになるが、預金口座の決済情報などこれまでに蓄積された様々なデータを利用して、新たなサービスがより利便性の高いものになることを期待したい。データビジネスは大きな柱になると考えており、個人情報保護や情報セキュリティ保護の確保に留意しつつ、データを分析・活用していけるようにしてもらいたい」という意見があった。
 同委員会の基本的な考え方は「公正・自由な競争を促進し、多様で良質なサービスを提供することで、金融業界との利害調整ではないこと。競争を通じて金融機関のサービス向上が図られ、国民の利便性を向上させること」「適正な競争関係に当たり、手法面では事前の競争制限は極力採るべきでなく、様々な条件付けや段階的実施などの工夫により、できるだけ競争を促す」「サービス提供によるリターンを確保し、日本郵政グループの公益性を含めた企業価値の最大化、国民全体の利益の最大化を中長期に勘案する」「内部監査や顧客保護の業務遂行能力を備えている必要がある」の4点。
 岩田委員長も会見で「利用者の利便性の向上と適正な競争関係が保たれていることがポイントになる。適正な競争関係を通じて金融サービス全体が向上していくことだと思う。事前の競争制限は避け、段階的に実施することで、競争の促進を促していくことが求められている」と発言している。
 総務省と金融庁では、同委員会の意見を基に、4月中の認可を目途に審査を進めている。


>戻る

ページTOPへ