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2021年3月15日 第7083号

【主な記事】

デジタル社会、郵政事業、消費者行政
[参院予算委]徳茂雅之議員が質問


 2021(令和3)年度予算案が衆院本会議で3月2日に可決され、参院での審議が始まり、3日から予算委員会(山本順三委員長)で菅義偉総理大臣をはじめ全ての閣僚が出席して基本的質疑が行われた。4日には自由民主党・国民の声を代表して徳茂雅之議員が質問に立った。目指す社会像、デジタル社会、地方分権、郵政事業、国土問題、消費者行政について、菅義偉総理大臣、武田良太総務大臣らに質した。

 徳茂議員はまず「東日本大震災から10年。人と人の心を通い合わせ、支え合い、助け合う絆が流行した。コロナ禍において、人と人同士の直接のコミュニケーションが取りづらくなっている。日々の生活にも困っている人々の不安に寄り添い、温かい手を差し伸べる、今こそ公助の出番。一方で、自らの創意工夫で新たなサービスや商品を生み出し、業績を伸ばしている企業もある。総理は自助、共助、公助、そして絆が目指すべき社会像であると発言された。改めてその考えに変わりはないか」と質問した。
 菅総理は「まずは自分でできることについてやって見る。それができなくなったら家族や地域で助け合う。それでもできなくなれば政府が必ずセーフティネットで支える。そうした全体が絆で結ばれ、支え合いながら一人ひとりの力が発揮できる社会でありたいと思う」と応じた。
 デジタル社会の構築に関しては「デジタル化はそれ自体が目的ではない。社会や国民生活の仕組み、慣習を変え、新たなビジネスを生み、国民の生活を豊かにすることが目的。最近のはやりの言葉で言えば、社会全体のDX、デジタルトランスフォーメーションを巻き起こすことが重要」とし、目指すべきデジタル社会について平井卓也大臣(デジタル改革担当)に質した。
 平井大臣は「徹底した国民目線で、ユーザーの利便性の向上を図ることによる人に優しいデジタル化、そしてアクセシビリティの確保や格差の是正等による誰一人取り残さないデジタル化、国際競争力の強化、持続、健全な経済発展、個性豊かで活力に満ちた社会の実現等が重要」と答えた。
 徳茂議員は「恩恵を受ける人はますます便利になる一方で、新たな格差の拡大につながる恐れもある。デジタル化に伴う影の部分についてもしっかりと焦点を当て、国民の不安を取り除き、安心・安全なデジタル社会を構築していただきたい」と注文した。
 また、徳茂議員はマイナンバーカードについても聞いた。平井大臣は「国民の利便性向上と行政の効率化を実現することだ」とし、「カードの電子証明書の機能を令和4年中を目指してスマートフォンに搭載、あらゆる行政手続きを60秒以内に完結できるようにしたい」との考えを示し、「電子証明書の更新等を郵便局でできるようにする。国民の一番身近な郵便局で手続きができる。国民のために郵便局が使えるようにできたらいい」と述べた。
 農業に関するデジタル化では、徳茂議員は「少子高齢化の進展に伴い長期的に労働力不足が懸念される中で、単位面積当たりの収穫量を引き上げるとともに、農作業の効率化、省力化を行う上でスマート農業は不可欠。とりわけローカル5Gの技術は我が国の農業のスマート化にとって切り札とも言える」と質問した。
 野上浩太郎農林水産大臣は「2025年までに農業の担い手のほぼ全てがデータを活用した農業を実践することを目指して、総合的に取組みを推進してまいりたい」との考えを示した。
 地方分権では、徳茂議員が「東京圏への一極集中の是正に向けて地方創生の取組みをどのように進めていくのか」との質問に対し、坂本哲志大臣(まち・ひと・しごと創生担当)は「地域、移住してきた皆さんが一体になって地方創生に取り組んでいく姿勢が大事。それぞれの地域に郵便局をはじめ、地域でなくてはならない安心できるインフラがある。こうしたものをしっかり活用しながら、東京にはない新たな人生観を求めるような住みやすさができるのか、考えていくことが地方創生につながると思う」と答えた。
 郵政事業では、徳茂議員は「本年は前島密が成し遂げた最大の業績と言われる近代郵便創業から150周年を迎える。郵便局は明治4年の創業以来、山間、離島を含め全国あまねく地域住民の生活を支える重要な役割を果たしてきた。少子高齢化や人口減少が進み、地域社会において住民の暮らしを支えてきた担い手が減少する中で、来るべきデジタル社会を見据えて、郵便局が果たすべき役割についてどのように考えるのか」と武田良太総務大臣に問うた。
 武田総務大臣は「郵便事業は経済社会の発展に重要な役割を果たしてきた。過疎化が進む地域の郵便局で、市町村や地方銀行が支所などを閉鎖するに当たり、窓口業務を受託したり、新型コロナ感染症の影響を受けた方に対する緊急小口資金貸付けの受付事務を受託するなどの取組みを行っており、これからも積極的に地域社会を支えていただきたい。郵便局が経済、社会において基盤となる役割を果たせるようしっかり取り組んでまいりたい」と答えた。
 このほか国土問題では小此木八郎大臣(領土問題担当)、費者行政については井上信治大臣(消費者及び食品安全担当)に質した。消費者行政では、徳茂議員が「少子高齢化、デジタル化が進展し、ライフスタイルも大きく変わり、その都度、次々と新たな消費者問題が発生してきた。特に近年では電話だけでなくインターネット取引の利用拡大に伴うトラブル、SNS等を利用した詐欺被害など、デジタル化の進展に伴う消費者被害が急増している」とした。
 これに対して、井上大臣は「デジタル化への対応は、消費者行政においても取り組まなければならない最優先課題。デジタル分野における新たな消費者トラブルを抑止し、消費者の利便性を向上する制度の構築を進める。全ての消費者が社会のデジタル化に取り残されず、そのメリットを最大限に享受し、安全・安心な消費生活を送ることができるよう取り組む」と応じた。


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