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2020年10月5日 第7060号

【主な記事】

空き家対策で市と連携
[奈良県生駒市の郵便局]利用申込を窓口で受付
いこま空き家流通促進プラットホームに協力


 奈良県生駒市内の11郵便局では、生駒市(小紫雅史市長)が独自に実施している「いこま空き家流通促進プラットホーム」の利用申し込みを、9月1日から郵便局窓口で開始した。生駒市と郵便局は包括的連携に関する協定を締結しており、地域活性化と市民サービスの質の向上を目指す取組みの一環である。

地域密着型サービスを展開

 「いこま空き家流通促進プラットホーム」とは、空き家所有者支援の仕組みで、不動産や建築、法律などの専門家7業種8団体と生駒市が協定を締結。生駒市が空き家所有者の同意を得てプラットホームに情報提供し、参画事業者が空き家の状況や所有者の意向に合わせて、個別の流通支援策を検討して実施する仕組み。
 利用の流れとしては、プラットホームの利用希望者が郵便局窓口へ申込書を提出、郵便局は生駒市に申込書を送付する。生駒市は1週間以内に利用希望者へヒアリング日程を連絡。生駒市によるヒアリングが行われた後、利活用希望者から得た空き家情報をプラットホームへ提供し、参画事業者がオーダーメイドの支援を実施していく。
 生駒市内全11郵便局と生駒市は、今年3月25日に包括的連携協定を締結しており、地域活性化と市民サービスの質の向上を目指して、具体的な取組みを進めている。
 協定には、空き家対策に関することとして、「来局者へのプラットホームからの事務委託に関する提案・協議を行い、空き家の発生予防及び流通促進を図る相談受付取次事務の検討、チラシ等の配架協力により、空き家セミナーや個別相談会等の案内協力を行う」とある。
 今回の空き家対策連携業務開始により、「市内11か所に窓口が点在している」「長年にわたり地域に密着したサービスを提供している」といった郵便局の特徴を生かし、現役世代から高齢者まで幅広い層にプラットホームの制度を伝え、市民が利用しやすい体制を整えていくことで、空き家状態の早期解消を目指していく。
 なお、郵便局と市町村が空き家に関する業務について連携する取組みは、関西では初となる。
9月1日に生駒市役所で行われた定例記者会見の中で、小紫市長は「この事業は3年間、国土交通省の空き家解消のモデル事業に選定されている。プラットホームに情報を提供していただかないと、その活動ができないことが課題だが、郵便局からプラットホームを紹介していただくことで、事業をさらに進めていくことができる」と強調。
 「郵便局は転出する人が来たり、連絡を取ることによって空き家についての情報も持っている。地域密着型のサービスを通じて、利用者との信頼関係も築いているので、空き家に関して紹介していただきやすい」とした。
 そして「現在、プラットホームの事業は順調に進んでいるが、空き家所有者からの情報提供をいただくことになる。市でもこまめに努力しているが、郵便局に協力いただけるということで、たいへんありがたいと思っている」と大きな期待を述べている。
 3月に行われた包括連携協定の締結式の場で、奈良県北和地区連絡会の阪本善昌統括局長(天理親里館)は「生駒市のみならず、日本が抱えている問題についてまで踏み込んだ協定を締結できた」と語っている。市内11郵便局では今後も引き続き、環境問題に関する取組みをはじめ、市との連携を図っていくことにしている。


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