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2020年 5月25日 第7041号

【主な記事】

[日本郵政]増田寛也社長インタビュー


 新型コロナウイルス感染症は、依然として予断を許さない状況が続いている。日本郵政グループは、様々な対策に取り組んでいるが、特に郵便局ではお客さま、社員の安全を確保しながらの業務で苦労も多い。日本郵政の増田寛也社長は「感染リスクに対する自らの安全を確保しながら、社会的使命をもって業務に取り組んでいただいていることに心より感謝。社員の皆さんの奮闘には強く誇りを抱いている」と強調する。そして「日本郵政グループは、全国の郵便局ネットワークを主な拠点として、国民の生活、安心を支えるユニバーサルサービスを提供する企業グループ。経験したことのない困難な事態だが、地域とお客さまの信頼に応え、国民のセーフティネットとしての役割を果たしていくことで、一丸で難局を乗り越えよう」と呼びかける。

コロナ対応 社員の奮闘に誇り
社会的使命を果たす

■最初に、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、日々の業務に取り組んでおられるグループ社員に対するメッセージをお願いします。
 新型コロナウイルス感染症については、政府により出された「緊急事態宣言」が一部解除されたものの、依然として予断を許さない状況が続いています。
 社員の皆さんには、感染拡大の防止の取り組みに加えて、政府の要請を受けて行っておりますマスクの配達や特別定額給付金事業などへの協力、さらに緊急事態宣言が出された後に増加しております、郵便局やゆうちょ銀行店舗等にお越しになられるお客さまや郵便物・荷物へのご対応に、大変なご負担、ご苦労をおかけしています。
 これらは、いずれも、お客さまや地域に根差した全国のフロントラインで懸命に頑張ってくださっている社員の皆さん一人ひとりの働きがあるからこそ、可能なことです。
 日本郵政グループのサービスを支える全ての社員の皆さんに対して、このような厳しい状況にあって、感染リスクに対する自らの安全を確保しながら社会的使命をもってそれぞれの業務に取り組んでいただいておられることに心より感謝申し上げるとともに、社員の皆さんの日々の奮闘には強く誇りを抱いています。
 懸命に業務に取り組んでいただいた結果、残念ながら、少なからぬグループ社員が新型コロナウイルスに罹患しました。罹患された社員、ご家族、関係者の皆さまに心よりお見舞い申し上げるとともに、一日も早い回復を願ってやみません。
 日本郵政グループといたしましても、社員の皆さん、ご家族、お客さまの安全を確保するため、マスク、アルコール消毒液等の物資の入手と配布に全力を挙げるとともに、ホームページ、新聞広告、店頭ポスターなどにより、お客さまに、通常以上にお待ちいただくことがある場合や、必ずしもお急ぎでないお取引につきましては、あらためて時期を変更していただくよう、ご理解・ご協力をお願いしているところでございます。

■次に、新型コロナウイルス感染症に対する日本郵政グループの取り組みについてお聞かせください。
 日本郵政グループにおける新型コロナウイルス感染症に対する取り組みとしては、大きく、お客さまと社員の安全を確保するための取り組みと国民の皆さまへの支援の2つがございます。
 お客さまと社員の安全を確保するための取り組みとしては、一部郵便局・ゆうちょ銀行の営業時間の短縮、ビニールカーテンの設置などに加え、置き配などの対面によらない配達、再配達・集荷の前日予約制、郵便・物流業務に従事する郵便局社員の出勤体制の見直しなどの対応を行っています。
 国民の皆さまへの支援としては、日本郵便が、政府からの要請を受けて、マスクの配布、特別定額給付金の申請書類等の配達を行っているほか、郵便局窓口で都道府県社会福祉協議会が実施している特例貸付の申込みをお受けすることといたしました。
 また、かんぽ生命においては、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた場合も、死亡保険金に加えて「保険金の倍額支払」の対象として、保険金をお支払いするなど、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえた各種取扱いを実施しております。

■布製マスクの全戸配布の状況をお聞かせください。
 政府から、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止策として、全国的に不足が著しいマスクについて、速やかに全国民にいきわたらせるため、全戸に短期間に配布することができる唯一の事業者として日本郵便をご指名いただき、「タウンプラス」で配達することといたしました。
 政府の指示を受けた官公庁や公共施設など、一部を除く全国各戸、約6300万箇所に配達をすることとしており、4月17日に東京都での配達を開始し、5月18日現在、13都道府県で配達しているところです。
 タウンプラスは効率的に対象エリアの全戸に配達を行うオペレーションですが、今回は、国民の皆さまが緊急で必要とされているマスクを配達することから、速やかに配達を行うなど、特別な対応を行う必要があります。
 今回の要請は、国家的な緊急事態において、全国の国民の皆さまが特に必要とされるマスクを配達するものであることから、利益を見込むことなく、ユニバーサルサービスを使命とする日本郵便としてお引き受けしたものです。

■郵便局窓口における特例貸付の申込みについてお聞かせください。
 都道府県社会福祉協議会では、新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少された方を対象に「緊急小口資金の特例貸付」の取扱いを3月から開始しています。
 政府からの要請を受け、関係機関と調整した結果、このたび、5月28日から、都道府県社会福祉協議会と労働金庫に加えて、全国2160の郵便局(お住まいの都道府県の取扱郵便局)の窓口でも、この緊急小口資金の特例貸付のお申込みをお受けすることとなりました。
 地域に不可欠な社会インフラである郵便局ネットワークが、国民の皆さまへの支援に貢献できるものとして、大変意義深いことと考えております。

■最後に、改めて新型コロナウイルスの感染が拡大する状況での日本郵政グループの意義、役割についてお聞かせください。
 我々日本郵政グループは、全国の郵便局ネットワークを主な拠点として、郵便・物流、金融、保障という、社会機能を維持するために必要不可欠であるとともに、国民の皆さまの生活、安心を支えるユニバーサルサービスを提供する企業グループです。
 今までに経験したことのない困難な事態でありますが、引き続き、社員の皆さんの安全を確保しながら、この社会的使命を担い、社会からの要請、地域とお客さまの信頼に応え、国民の皆さまのセーフティネットとしての役割を果たしていくことにより、日本郵政グループ役員・社員一丸となってこの難局を乗り越えてまいりたい、と考えているところです。


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