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2020年5月4日 第7038・7039合併号

【主な記事】

直接投資態勢を強化
かんぽ資産運用 人材の強化も

 かんぽ生命保険は4月24日、今年度の資産運用方針を発表した。円金利資産を中心にした運用方針は変わらないが、資産運用の多様化を着実に進める。今年度はハイリスクに分類される「オルタナティブ投資」を内製化するため、社内態勢を整える。社内外に人材を求め、夏以降の運用を目指す。

 かんぽ生命保険では、リスク資産の運用は外部委託してきたが、国内株式(2016年11月~)とヘッジ付外債・社債(2018年4月~)については、社内での運用を行っている。今年度からはオルタナティブ投資(ヘッジファンド、プライベートエクイティファング、インフラファンド、不動産ファンド)についても直接投資する。「直接投資態勢を強化しながら、中長期的にも残高を積み増す」という方針。
 その態勢強化には、システム整備や投資のプロフェッショナル人材の確保が必要で、同社では「中途採用や内部人材の異動も含めて人材を強化したい。外部人材の採用も含めて、夏以降には態勢を整えられるようにしたい」と話している。
 内製化について、同社では「グローバルに資産運用を行っている大手生保に並ぶことができる態勢づくりを目標にしており、高みに向かっていくための一歩」と位置付けている。「目利きを働かせながら投資を行っていきたい」とする。
 オルタナティブ直接投資のほかにも、ESG投資、ALM・リスク管理の高度化などを進め、資産運用態勢の強化を図る。今年度の運用資産における収益追求資産の割合は、昨年度より1%程度増やし15%とする計画。
 資産運用に当たり「市場の先行きに対する不確実性の高まりから、これまで以上に市場環境を注視し、慎重にリスクテイクを行う」という方針を示している。今年度は、ヘッジ付き外債、国内株式、オルタナティブへの投資を増やす。
 市場環境の見通しについては「リーマン・ショック以降、株式市場は、堅調に推移してきたが、足元では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により中長期的に割安な領域まで下落。短期間で感染拡大が終息しない限り、経済活動停滞の影響を受けて、調整局面は長期化する見込み」という見方を示している。
 特に新型コロナウイルスの終息時期は未確定で、同社では複数の投資シナリオを想定しているという。同社では「テレワークなど働き方やESG投資に対する捉え方も大きく変化することも踏まえ、投資枠の中でアップサイドも想定している。慎重なメーンシナリオに、複数のシナリオにも対応していきたい」としている。


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