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2020年 3月30日 第7033号

【主な記事】

203人の募集人が違反
業務改善計画の進捗状況を報告

 日本郵政と日本郵便、かんぽ生命保険の3社は3月13日、総務省と金融庁に業務改善計画の進捗状況(2月末時点)を報告した。特定事案調査については、15.4万人の対象者のうち86%の意向確認が済んだ。募集人調査では174件・203人の法令違反があった。営業再開に向けて、2月には「お客様本位の業務運営に関する基本方針」や「かんぽ営業スタンダード」が策定され、郵便局での研修も実施されている。

 特定事案調査では、顧客の意向確認が取れたのは1月末と比べて1611人増えて、13.4万人となった。契約復元を希望した3万6721人のうち、3万5564人の復元などが完了した(復元希望者と復元など完了者の両方に、保険の空白期間の支払金額などの説明を行った結果、復元を行わなかった4813人が含まれる)。
 詳細説明を希望する人のうち説明を終えていない人が1割いる。3月末までには契約復元の意向確認と復元などを終える予定。
 募集人調査では、対象となった1万3396件のうち、65%に当たる8772件の判定が完了した。法令違反は174件・203人、社内ルール違反は1996件・1522人。
 顧客への再確認が必要な場合を除き、3月末には判定を終える予定。調査を終えた募集人には、調査結果や処分の内容を送付中。その内容に対しての不服申し立ては2週間、受け付ける。
 また4月からは処分を厳格化する。募集人の処分については、従来からある「業務廃止」「厳重注意」という二つの基準に、「不適切募集の状態や程度に応じた一定期間の募集停止」を加えた。
 管理者への処分についても、一人の管理者の下で複数の募集人が不適切販売をしていた場合、その管理者が適切な指導していたかが問われる。かんぽ生命保険は日本郵便に対して、処分が要請できるようになる。また、両社の情報共有も進める。
 2月に出来上がったものとして「お客様本位の業務運営に関する基本方針」と「かんぽ営業スタンダード」がある。郵便局の営業担当者に研修を実施している。通信文化新報は「業務停止終了が3月末に設定された理由の一つとして、研修などの業務改善への取り組みの完了時期が3月末に設定されていることが多いことを挙げられている(金融庁)。新型コロナウイルス対策で大勢の人を集めた研修ができない中、予定通りできるのか」と質問。
 日本郵政の向井理希取締役は募集人に対する研修について「新型コロナウイルスの予防策として、大勢の社員を集めた集合研修は中止し、自局での小規模研修に変えた。説明者用の資料もしっかりと提供し、理解ができているのかについても確認テストを行い、研修の質を高めている。感染防止もしながら研修は継続的に進めたい」と答えた。
 進捗状況について日本郵政は「概ね計画通りに進んでおり、遅れのあるものはない」、日本郵便は「総務省からはできるだけ前倒しにしてもらいたいという要請もあり、計画通りに進んでいる」、かんぽ生命保険は「2月末のものに遅れはなく、長期スパンのものについては前倒ししたい」とコメントしている。
 お客様本位の業務運営の一環として、日本郵便は金融コンサルティングを進めているが、そのマネジメント体制を整えるため、支社に「金融コンサルティング統括本部」を新設する。郵便局の金融渉外部は「金融コンサルティング部」と名称を変える。
 郵便局社員への指導については、総合的なコンサルティングサービスを指導できる「コンサルティング・アドバイザー」を置き、指導の仕方や研修内容も見直す。
 かんぽ生命保険は、適正な募集管理を進めており、調査業務の指揮命令機能を集約するため「コンプライアンス調査室」を4月に新設する。また、経営幹部が支店を訪問し、社員の声を直接聞く「役員ダイアログ(対話)」を2月から実施している。
 保障を見直すための仕組みとして、保険の乗換の際に保障がなくなるのを防ぐため新規契約後に既契約を解約する「条件付解約等制度」は1月に導入。加入している保険を活用することで解約せずに新たな保険に加入できる「契約転換制度」は、システム開発に着手し、10月以降の導入を目指している。
 次回の報告は6月15日。


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