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2020年 1月6日 第7021号

【主な記事】

持続可能な社会に貢献
[日本郵政グループ]SDGs達成に取り組む

 日本郵政グループは、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に積極的に取り組んでいる。地域に寄り添い、生活を支えるサービスを提供、約40万人もの働く人のいる日本郵政グループ、地域社会の課題解決に貢献する役割が期待されている。2万4000の郵便局を中心とした拠点、多くの車両も持ち、気候変動や地球温暖化への対応は責務でもある。また、事業活動に関わる人々が、安全に生き生きと働くことのできる職場環境の整備などに取り組んでいる。こうしたSDGsの取組みは、全国郵便局長会、日本郵政グループ労働組合も同様に力を入れている。

 SDGs(持続可能な開発目標)は2015年9月に「貧困に終止符を打ち、持続可能な未来を追求する」ことを掲げて、国連総会で採択された世界共通の目標。2030年までに地球環境の課題を解決するために、17の目標と、それらを達成するための具体的な169のターゲットが示されている。
 日本郵政グループは「CSR基本方針」で掲げる「社会から必要とされる企業グループであり続ける」との視点で、「地域社会」「地域環境」「人(従業員)」の3分野について、「CSR重点課題(マテリアリティ)」を選定し、SDGsの各目標と連動した活動を推進している。
 さらに、経営戦略とSDGsへの統合を図るため、2018年5月に発表した「日本郵政グループ中期経営計画2020」において、SDGsを経営戦略の枠組みに取り入れている。
 SDGsの達成に寄与する事業を展開するとし、重点課題として「ユニバ―サルサービスの提供」とともに、「健康的な暮らしの促進」「次世代育成」「地域社会の発展・活性化」〈地域社会〉、「温室効果ガス排出量の削減」「資源の有効活用と廃棄物の削減」〈地域環境〉、「人材の育成」「働き方改革」〈人(従業員)〉などに取り組んでいる。

 温室効果ガス排出量削減
 日本郵政グループは、気候変動や地球温暖化に配慮し、持続可能な社会を実現するため、事業から排出される温室効果ガス(CO2)の削減に取り組んでいる。CO2排出量は2016年度比で、2020年度に4.7万トンの減(4.4%減)、2030年度には16.9万トン減(16%減)を日本郵政グループとしての目標としている。
 日本郵便は、郵便物や荷物の配達に低排出ガス車両を導入しているほか、電気自動車の増配備や郵便局のLED化などを進めている。また、身近な場所で荷物を受け取れるサービスの改善を促進し、再配達を削減することでCO2削減を目指している。
 昨年11月13日には電気自動車の新デザインをお披露目した。赤をベースにぽすくまがデザインされた新車両は、2020年度末までに首都圏を中心に全国で1200台が配備される予定。
 電気自動車は走行中にCO2を排出せず、使用する電気量を考慮しても1台当たりのCO2排出量をガソリン車より50%削減することができる。今回、1200台を電気自動車にすることにより、約0.27万トンのCO2削減効果を見込んでいる。
 また、日本郵便のCO2排出量の8割は建物で使用する電気が占めており、これまで、高効率空調やLED照明など省エネにつながる機器を導入するなどにより、2016年から2018年までに、約8%のCO2を削減した。

 地方創生の取組み
 日本郵便は、地域経済の活性化を図るために、多くの自治体と「包括連携協定」を締結している。過疎化や高齢化が進む地方の活性化を目的に、地域振興物産展などを東京のKITTEや郵便局で開催している。
 また、地域住民が安心して暮らせる社会を実現するため、全国の約9割の市区町村と防災協定を締結し、災害時の協力を行っている。さらに、郵便局見学や職場体験の実施により、未来を担う子どもの育成に取り組んでいる。

 「日本型郵便インフラ輸出」の推進
 日本郵便は、世界トップクラスの品質を誇る郵便サービスのノウハウや関連技術をミャンマーやベトナムに提供し、現地におけるビジネス機会の創出等に貢献している。

 「手紙の書き方体験授業」支援
 日本郵便は、学校教育の場で、「実際の手紙のやり取り」を通して、手紙を書く楽しみや受け取ったときの喜びを体験して欲しいという願いから、「手紙の書き方体験授業」支援に取り組んでいる。
 2018年度は、全国の小学校の65%、中学校の41%、高等学校の30%の学校で体験授業が実施された。

 JP子どもの森づくり運動
 日本郵政グループは、2008年から特定非営利活動法人「子どもの森づくり推進ネットワーク」が取り組む森づくり体験プログラム「JP子どもの森づくり運動」に賛同している。2012年からは活動の一環として「東北復興グリーンウェイブ」を展開、東日本大震災で被災した東北の森の生物多様性の再生にも寄与している。
 「JP子どもの森づくり運動」は、子どもたちが「森で種(ドングリなど)を拾い」「園で苗木を育て」「森に植える」という一貫した森づくり体験プログラムを通じて、自然や木々の大切さや命の尊さなど「健全な環境意識」と「たくましく生きる力」を育むことを目指す活動。
 また、社会貢献活動の取組みの一環として、2018年度から「JP里山コミュニケーション」の活動を実施している。人手や予算不足などにより、自治体が所有する緑地や公園の整備が行き届かず、景観や環境保全、レクリエーション、防災といった本来の機能を失うことが多くなり社会問題となっている。
 地域に寄り添い、事業を展開する企業グループとして、問題解決に貢献、地域コミュニティの活性化とグループと地域とのつながり・コミュニケーションを深める活動を展開している。

 環境保全・地域貢献活動への支援
 ゆうちょ銀行は、「ゆうちょダイレクト+(プラス)」の利用が拡大することで紙の使用量が削減されることから、「ゆうちょダイレクト+(プラス)」の口座数に応じた額を、環境保全と社会貢献の両面を有する活動に取りむ団体(特定非営利活動法人、認定NPO法人)へ「ゆうちょ エコ・コミュニケーション」として寄附している。
 また、環境課題などに留意した「ESG投資方針」を定めている。ESG投資は環境(environment)、社会(social)、企業統治(governance)に配慮している企業を重視・選別して行うもの。環境では地球温暖化対策や生物多様性の保護活動、社会では人権への対応や地域貢献活動、企業統治では法令遵守、情報開示などを重視する。
 さらに、先進国の企業などが発行するグリーンボンドに投資、持続可能な社会の形成に貢献している。
 かんぽ生命も資産運用においてESGの諸要素を投資判断の際に考慮、持続可能な社会の実現と長期的な投資成果の向上・リスク低減を目指している。

 人材の育成
 日本郵政グループ各社では、キャリアパスに応じた期待役割を果たす人材の育成のため、実際の職場での仕事を通じて指導・育成を行う「OJT」、職場を離れた研修・セミナーに参加して必要な知識やスキルの習得を図る「OFF-JT」(昇進時に階層別に実施する研修、フロントラインのリーダーへの研修など)により人材の育成を行っている。併せて「自己啓発」を支援、自発的な成長をサポートしている。

 ダイバーシティマネジメントの推進
 日本郵政グループは、内閣府男女共同参画局が支援する「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」行動宣言に賛同し、個性や能力を十分に発揮しながら、働きやすく働きがいがあり、働き続けられる職場環境の整備など、女性の活躍を積極的に推進している。
 また、管理者に占める女性割合について目標を掲げ、女性の意識向上に向けた研修、女性のキャリア形成支援、長時間労働抑制に向けた働き方改革の実施などの取組みを推進している。
 さらに、障がい者雇用の推進にも積極的に取り組んでおり、日本郵政グループ全体で約6500人が様々な職場で活躍している。
 
 健康経営の取組み
 従業員一人ひとりが持てる能力を存分に発揮し、生き生きと働くためには、心身の健康が大切となる。
 日本郵政グループ各社では、「社員とその家族の健康・幸せ」「さらなる生産性向上による社会への貢献」を実現するため、「長期間労働の抑制」「生活習慣病の予防・改善に向けた保健指導」「メンタルヘルスケア」などの健康保持・増進施策に従業員と会社が一丸となって取り組んでいる。
 このほか、健康的な暮らしを促進するため、かんぽ生命は、NHK、全国ラジオ体操連盟と共同で、ラジオ体操の普及に努めている。
 毎年、開かれている「1000万人ラジオ体操・みんなの体操祭」では、会場をはじめテレビやラジオを通じて1000万もの人々が一斉にラジオ体操を実施、コミュニケーションの場にもなっている。



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