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2019年 11月18日 第7014・7015合併号

【主な記事】

「お客さま本位の原点に」
[日本郵便]四国でフロントラインセッション

 社員との率直な対話集会「フロントラインセッション」を開催している日本郵便は、11月6日に米澤友宏上級副社長が出席して四国支社で開催、約200人の社員が参加した。

 米澤上級副社長は「8月23日に第1回目を開催(本社)、本日の四国、次の九州で一巡する。誠実に真摯に、お客さま対応に取り組んでいる皆さんに感謝。お客さまはもちろんのこと社員の皆さんに、一連のかんぽ営業の事案に関して深くお詫びしたい」と陳謝、「率直に対話したい。不満もぶつけてほしい」と呼びかけた。
 横山邦男社長の考えている経営の軸について説明。「経営を成長させていくには、経営環境の変化への対応、社会構造の変革、顧客志向の変化といった様々な視点が必要。現場にいる皆さんが一番感じているからこそ、その考えや意見が非常に重要」という「現場、現物、現実主義」、「企業は社会との関わり無しでは生きていけない。社会的使命を果たすことは企業が存続する上で不可欠」、そして「2万4000の郵便局ネットワークは唯一無二の絶対的な価値。日本郵便の最大の強み」との考えを改めて示した。
 また「人材無くして企業は成り立たない。理想の組織とは、社員の皆さんが目標意識を持って働くこと。お客さまの幸せ・社員の幸せが会社の発展につながる」と強調した。
 そして「現在は大変な難局。お客さま本位の原点に立ち戻って、立て直しを図っていきたい。お客さまと最前線で接する皆さんの力を借りて全力で取り組んでいきたい。一丸となって、この難局を乗り切りたい」と訴えた。

【フロントラインセッションでの主なやり取り】

■集配部門の人手不足は深刻かつ慢性的な状態。現場が疲弊している。
 労働力不足は日本全国どこでも同じ状況で、容易に解決するものではない。これらを解決するために、人で解決が難しいような問題にテクノロジーを入れたり、また、制度改正のために法改正をお願いしたりして、機械化や制度改正によって少ない人数でユニバーサルサービスを確保していくこととしている。

■いつも報道が先。また、会社の説明も報道向けであって現場向けではない。現場は、いつもお客さまに喜んでもらえるよう行動してきた。今はどうしていいのか分からない。また、現場の声がなかなか伝わらない。現場のナマの声を聴いてくれる組織があってもいいのではないか。
 会社のことはまず社員が知るべき。報道が先んじ、お客さまと同時というのはよくない状況。普通の状態に早く戻したい。いきなり組織ということは難しいが、皆さんの意見を吸い上げる仕組み作りは必要と考えている。

■商品を扱っている会社なので、目標がないというのは疑問。スピード感を持って地域に合った営業方針のようなものを示してほしい。
 目標については、フローベースからストックベースに直すこととしている。ゆうちょでは純増といった考え方で実施しており、お客さまと長い付き合いの中で事業を発展させるといった考え方で目標を考えていこうというもの。

■今回の問題で渉外社員の研修などは充実しているが、窓口社員はどうなのか。渉外と窓口を区別するべきではないと思うが。また、社員教育をどのようにやっていくのか。
 これからは、コンサルティングセールスをやっていく。そのためには、まず知識は必要。将来的には全員でコンサルティングセールスをやっていくこととしているので、窓口社員も知識は必要。いずれは全員にという方向性もあるが、すぐに全員というわけにもいかないので、まずは渉外社員からというもの。
 社員を育てるのにまず必要なことは、研修での知識の付与。そして、職場でどう育てていくか。知識の付与は画一的でいいが、職場での経験は画一的にはいかず、難しい。ただ、人材の育成は最重要課題の一つ。今後ともより一層力を入れていきたい。

■営業の再開は何時になるのか。また、再開後すぐに元のように営業ができるかどうかは疑問で不安に思っている。これについてどう考えているのか。
 まず、再開に当たっては調査の状況など諸々考慮した上で再開しようとしている。お客さま、関係機関などの理解が得られるよう努力していきたいと考えている。営業の再開後、すぐに以前と同様というわけにはいかないのではないかと思っている。最初の一歩をどうやって踏み出すのか。一歩一歩確かめながら少しずつ進んでいくことになる。無理なことを言うつもりはない。

■70歳以上は実績計上しないとなっているが、山間部などは若いお客さまはほとんどいない。地域の実情も考慮してほしい。
 70歳以上は一律に実績計上しないということは多くの議論があるところ。しかしながら、今回報道された様々な事例は、高齢者の契約に関するものがほとんど。我々の置かれた現状は厳しい。もし、今回と同じことがあったら、郵便局の信頼回復はできないのではないかと考えている。この点を理解してほしい。

■郵便局のネットワーク、これをどのように活かしていこうとしているのか。郵便局が過剰にあり過ぎて、同じ地域で郵便局が競い合っているような地域もある。
 地域のニーズを見極め、地域ごとの多様性があってもいいのではないかと考えている。千葉県では駅と郵便局の合築、長野県の泰阜村では公共事務を郵便局で実施といったこともやっている。
 地域によっては郵便局が足りないところもある。大規模なショッピンングモールなどお客さまのいるところに開局するような取組みも行っている。今後は、人の配置も、サービスも、店舗も弾力的に運用していくことで郵便局の強みである2万4000のネットワークを更に強固なものにしていきたい。

■郵便局で扱う商品、サービスが多すぎる。4月に始まるサービスの研修が9月だったり、1回の研修で全てまとめてほしいと思っているような部分もあるので、もう少し考えてほしい。
 扱う商品、サービスが増えて覚えるのが大変だという声は多い。整理するものは整理するということで考えている。めったに取り扱わない商品やサービスなどを他のものと同列で取り扱う必要はなく、事実、取り扱いの多い郵便局に集約化したサービスなどもある。また、研修についても、時期を早めたり、複数回実施するなど充実を図っていきたい。


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