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2019年 11月18日 第7014・7015合併号

【主な記事】

郵便局の価値を高める
[近畿地方会]地区制度委員研修


 庭崎信之副会長(三木福井)、田井中成夫副会長(赤野井)、土田茂樹副会長(浜大津)、辻井久仁基本問題委員長(藤井寺小山)、片山裕也事務局長(専務理事)、基本問題専門委員、37地区の地区制度委員が出席した。司会は遠藤博二基本問題専門委員(近江宇賀野)が務めた。
 庭崎副会長は「吉城会長が東日本大震災の被災局を訪問しており、代わってあいさつする」とし、「選挙から4か月、総括を重ねるごとに悔しい思い。近畿の課題を見直す機会となる。全国12地方会の中で、4地方会が前回よりマイナスの数字となった。この悔しさを次のバネにしてほしい。お世話になった人や新しい人に、年末に向けて関係を深めてほしい」と呼びかけた。
 そして「本日の大きなテーマは『事業の発展をどのようにしていくのか』。7月以降、大きな逆風が吹いている。各事業に気を引き締めて取り組んでほしい。新聞で日経フォーラム(世界経営者会議)の記事が掲載されており、激動の時代において、激動を味方にするのがこれからのテーマ。郵政グループも同じで、今の激動をピンチと捉えるかチャンスと捉えるかで、大きな差が出る」と指摘。
 また「『今まではCSRだったが、今後はCSV(社会に対して共通価値の創造経営)を求めていく』ともあった。各企業が新しい環境にチャレンジしようとしている。人口減・少子化・村の消滅等の現状で、郵便局が何を果たせるか。現在、包括事業に取り組んでいる。時間はかかるが、今までの三事業だけでは発展はない。局、部会、地区で議論し、全国での取組みも参考にしながら進めてもらいたい」と訴えた。
 さらに「各自が持っている防災士、認知症サポーター等の資格について、会社を挙げてアピールする必要があり、これからのPRポイントだと考えている。今日の研修結果を地区に持ち帰り、地域に合わせた取組みをしてほしい」とあいさつした。
 辻井委員長による基調講話が行われた。地域でどう取り組むか、地域の支援者と対話した事例から、次の3点に絞って話をした。
①市会議員の支援者との対話から=各地域の人たちが何を望んでいるかを聞き、問題解決が局で出来なければ、部会、地区、全国へと上げていき、結果を説明するスタンスが必要。
②独居老人の支援者との会話から=地域には何もないと言われるが、地域公共団体とのコネクションと郵便局ネットワークを持っていることを認識してほしい。
③親の住んでいた空き家を民泊とした支援者との話から=少し不便な場所での開業であった。最初は何組か利用したがその後はない。料金は安いが周りに宿泊者が望むようなスーパーや食事のできる店が無いとSNSに書かれていた。地域のことを知るためには、局からどんどん出ていくことが必要。また、今までの本人確認は局まで来てもらっているが、今はe―KYCの時代。本人がその場で画像を送ることで完結する。ネットも物からコトの時代になっている。局長や社員が地域に出て、自分たちの個性を知ってもらい、理解してもらうことが事業の維持拡大には欠かせない。
 辻井委員長は「地域の方々と話をする上で148年の歴史がバックボーンになっていることを理解し、地域で周知してほしい」と述べるとともに、郵便局ネットワークの将来像について「ネットワークとは人、局舎、商品サービス、お客さま、地域との信頼。これに対してどのような取組みができるか。身の回りのことから地区で議論し、必要なことを見つけて地域に訴えかけなければ郵便局が必要ないと思われる」と指摘。
 そして「私たちの組織が将来の人たちに何を残してほしいのかという観点で、全ての局長が地域に出てお客さまに話を聞いてまとめ、何が必要かを見つけて局、部会、地区、近特へと上げてほしい」と語った。
 片山事務局長は講話の中で「改正郵政民営化法は本当に郵便局、郵便局長、地域のためになっているのかということに向き合う時期」と指摘。ネットワークの将来像について、これまでの議論の流れを振り返り、「この研修で将来の郵便局サービスについて、地域のお客さまが使いやすいように、地域で価値があるように、何をやればよいかを我々が真に中心になって考え、パネルディスカッションで議論してほしい」と期待を込めた。
 続いて、「郵便局ネットワークの将来像の『将来の郵便局サービス』について」をテーマに、「地域で郵便局の価値を認めてもらうために何ができるのか」をサブテーマにパネルディスカッションが行われ、基本問題専門委員の河村義弘局長(枚方牧野駅前)がコーディネーター、藤田智浩局長(草津玉川)、河嶋洋文局長(天橋立)、篠本裕浩局長(大阪夕凪橋)、出野裕樹局長(平野加美北)、小原敏靖局長(尼崎三反田)、阿山栄二局長(佐用)、宮西敬司局長(天理三昧田)、南方慎一朗局長(新宮中央通)がパネラーを務めた。
 まず、各地区での議論が進んでいない状況の原因を分析。「局長、会員に危機感がない、本気で考えていない」「実現可能かを考え、議論が前に進まない」「局長が地域に出て声を拾い切れていない」という3点に集約され、各地域で危機感を持って議論を深めることとした。
 地域で郵便局の価値を認めてもらうために「行政、地域公共団体とのタイアップ」「対面接客、局長の不転勤を含めて郵便局は安心・安全、情報・交流の拠点」「郵便局は良い商品(新商品を含む)を考えることが大事」「2万4000のネットワークを維持しつつ、各局は地域に密着している」という4点に分類。各項目を掘り下げるため、現場の状況を含めた議論が真剣に行われ、各局長が地域に出てお客さまと繋がることが大事である、との共通認識を図った。
 閉講にあたり、土田副会長が「将来のネットワークは祖業だけでは維持できない。少子高齢化や人口減少社会、IT化、色々な世界的激変の中で、どのようして祖業以外で維持拡大するのかが、ネットワーク将来像の具体的議論に入る前提。都市部と過疎地は当然環境が違うし、郵便局の求められるものも、新たな商品、サービスも地域によって違うはず。具体的には、地域の意見を聞くことしか答えはない」と強調。
 「包括連携協定は、結ぶことが目的でなく、協議会を立ち上げながら、地方公共団体や地域の要望を聞くことから始まる。本来、特定局長の持つDNAは、自らが良いと思うものはやりきる力であり、その能力がある。全地区会とも議論をしようという気持ちと、一定のベースができ上がっていることが確認できた。自分たちの未来は自分たちで切り拓く気概を持ってやり切ってほしい」と講評して終了した。


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