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2019年 11月11日 第7013号

【主な記事】

全員営業で全種目達成を目指す
唯一の金融機関、地域の期待に応える
岩科郵便局(静岡県)
福與 静局長

 郵政事業を取り巻く環境が厳しい中、年賀はがきの販売も始まり、今年も余すところ2か月足らずとなった。各地の郵便局では局長と社員が一丸となり、持ち味を発揮して一人でも多くのお客さまに来局してもらえるように努めている。そのような中、平成30年度実績でV7を達成した東海支社管内の静岡県伊豆地区連絡会(古屋範夫統括局長/原保)の岩科郵便局(福與静局長)を訪ねた。
 同局のある静岡県賀茂郡松崎町は、伊豆半島の南西の海岸沿いに位置する。町のキャッチフレーズは「花とロマンの里」で64%が山林。中心部を流れる邦賀川と岩科川により、流域に約500ヘクタールの耕地を持つ伊豆半島西側最大の平野となっており、人口は約6200人。主な見どころは「なまこ壁」「長八記念館」「岩科学校」「ときわ大橋」「室岩洞」などがある。

 東海道新幹線熱海駅で伊東線に乗り換え、伊豆急下田駅で下車。路線バスで松崎方面へ向かい約50分、松崎バス停で下車。車で松木山方面へ約5分進むと、右手前方に岩科局が見えてきた。
 福與局長は平成3年6月17日付で下田朝日局に採用となり、数局転勤後、松崎局の課長を経て28年4月1日付で熱海和田木局長に就任。その後、30年4月1日付で岩科局長に異動、2年目を迎えている。
 スタッフは局長、社員、期間雇用社員の3人。利用世帯は約350で、人口は約900人。1日当たりの来局者は20~30人である。
 局周は山と田んぼに囲まれた自然あふれる温暖でのどかな地域、高齢化や過疎化が進んでいる。近くにあったJAは撤退し、金融部門を週に1度、半日ほど移動店舗車を設置するのみとなっており、郵便局が唯一の金融機関と言える。最寄局は松崎局で、約2キロの距離にある。
 2017年度は東海支社営業表彰(総合部門)を受賞し、18年度は本社営業表彰団体部門(特別表彰)を受賞した。

 経営方針に「存在感を示す」
 岩科局では「一人でも多くの郵便局ファンを増やし、事業として、地域として存在感を示す」を19年度のポリシーとし、全員で取り組むことにしている。
 具体的には「郵便局があって助かる」というお客さまの声を重く受け止め、「お客さまのお役に立てる仕事をしたい」という気持ちを常に持っている。
 また、「高齢の方が気軽に郵便局に立ち寄って世間話ができる所」「心配事を気やすく尋ねることができる所」でありたいと願い、来局したお客さまの顔と名前をしっかり覚え、「〇〇さん、お元気ですか?変わったことはないですか?」などの声かけをしている。
 このほか「心のこもった対応」や「お客さまが気分良くお帰りいただける対応」などを全員で確認するなどしている。

 共通認識を深める
 営業目標については、事業運営上、与えられた数字を達成するのは当たり前のことと考えて取り組んでいる。福與局長は採算の合わない山間僻地の局でも、少しでもプラスになるよう営業努力をするのは必要だと考え、「いつまでに・何を・どのくらいしなければならないのか」をホワイトボードに明記し、全員が共通認識を持って取り組むことにしている。
 具体的には、全員が日々推進状況を把握し、柔軟な方法で対処することにしている。来局者数には限りがあり、業務に支障のない範囲で訪問活動を行っている。万一、ガイドラインを割りそうな場合には、全員で打ち合わせを行っている。
 
 人材育成に努める
 昨年の年度末、局長と社員が共に退職したため、4月早々、社員と打ち合わせをして営業推進、お客さま対応などについて意識統一を図った。社員は期間雇用社員からの任用であり、基礎的なことは身に付けていたので、あらゆる経験を積んで成長し、エリア局の社員としての必要な業務知識やカウンターセールスの心得、スキルなどを身に付けるように指導している。
 新規の期間雇用社員を含め、社員は意識も相応にあり、自己啓発にも前向きで、常に3人が共通認識を持ってお客さま対応をするようにした。局長不在時のことも時々あるので、その際の対応も早めにやったり、月に数日、近隣の繁忙局へ出向させ、スキルを磨くようにさせ、「次の転勤のときには、自信を持って活躍できるように準備させている」。
 
 ミーティングや会議
 ミーティングは形式的でなく、短時間であるが日々行うことにしている。進行役は局長で、周知・伝達をするほか、問題提起をする形でざっくばらんに意見交換をするようにしている。
 また週一研修をしながら、その週の取組みを確認し合っている。夕方5時以降は、1日の反省を含めた会話を行い、翌日の取組みや士気高揚になるような話題で気持ちを盛り上げている。
 
 地域活動の実施
 限られたエリアであり、町内の事業者や商店のほか、団体とのつながりを持つために、役場主催の会合などには積極的に出席するようにしている。
 また、ボランティア活動として「介護施設の清掃」にも、部会内の局長と共に参加している。
 今後の課題は社員でも無理なくできる地域活動があれば、積極的に取り組むように指導していきたいと言う。


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