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2019年 10月28日 第7011号

【主な記事】

「率直な意見を共有していく」
[日本郵便]中国でフロントラインセッション

 社員との率直な対話集会「フロントラインセッション」を開催している日本郵便は、10月16日に長谷川篤執行役員が出席して中国支社で開催、約250人の社員が参加した。

 長谷川執行役員は、まず「一連のかんぽの営業問題でお客さまに迷惑をかけ、社員の皆さんにも不安で嫌な思いをさせていることにお詫びしたい。お客さまからの問合せ、叱責をいただく中、金融窓口業務、そして郵便・物流業務に携わっている皆さんにも真摯に対応していただいていることに心から感謝」と陳謝、「率直な意見をいただき、社長、経営陣と共有し経営を変えていきたい」と呼びかけた。
 さらに、横山邦男社長の考える経営の軸について改めて説明した。「お客さまの変化を肌で感じている現場の考えや意見が社会変化に対応していくために必要不可欠という現場、現物、現実主義」「社会に寄り添って社会に価値を与える企業だけが長く存在し、真の成長を遂げるという社会的使命の全う」「2万4000の郵便局ネットワークという唯一無二の価値を持つ日本郵便は、一番の成長力を持っている」と強調した。
 また「人材なくして企業は成り立たない。様々な個性を持っている社員の力が組み合わさって価値を生み出していくのが強い企業の在り方。社員一人ひとりが、どのように成長していくのかを考えるのが経営にとって非常に重要」との考えを示した。
 そして「皆さんが日々普通にやっている仕事、そのこと自体が実は大変なことで、何にもまして尊いものである。毎日の仕事がお客さま、そして仲間の社員に元気と勇気を与えていることを以前、中国支社長を務めていた私はよく知っている。この機会に心からの感謝の気持ちを伝えたい」と訴えた。

【フロントラインセッションでの主なやり取り】

■このフロントラインセッションでの社員からの質問がうやむやになって検討されていないのではないのか。検討経緯や期限を区切ってしっかり回答して欲しい。はっきりとスピード感を持って対応をして欲しい。
 フロントラインセッションでの意見は、本社でしっかり共有している。フィードバックが追い付いていないのは申し訳ない。また、一連の対応では報道が先んじており、会社の対応が後手後手になってしまった。この点についても申し訳ないと思っている。今後は、社員の皆さんが分かりやすいように、具体的な情報発信をスピード感を持ってしていきたい。

■入社2年目。これからどうしていけばよいのか分からない。モチベーションを維持できる体制を早く整えて欲しい。また、この状態が長く続くのは厳しい。コース転換について、もう少し弾力的にできないものか。
 早く会社としての方向性を社員に伝えていかなければならない。特に、1月目途を予定する営業の再開に向けては、具体的なステップを示していきたい。

■過疎地の郵便局では、渉外社員も一人、営業に回る先も高齢者がほとんどで、ほぼすべての世帯で契約があるもの。契約をした社員は現状そのお客さまを訪問できず、アフターフォローもできていない。お客さまからは、「契約の時だけ来て、問題が起きたら来ないのはおかしい」といったことも言われており、郵便局ファンのお客さまがどんどん逃げている。何とかできないものか。
 郵便局の強みは常にお客さまの一番近くに居ること。今まで苦労して開拓してきたのに、こうした状況で、お客さまに対応ができないのは身を切られるような思いだと思う。まだ、調査が終わらない中で、対応を変えることは難しい。もう少し待って欲しい。皆さんの力があれば、お客さまの信頼は必ずや取り戻せる。頑張って欲しい。

■郵便局では皆一生懸命やっている。真面目に取り組んでいるような社員が正当に評価される職場にして欲しい。数字だけでなく多面的に評価して欲しい。
 頑張っている社員が損をしているというのは身を切られるような思い。営業をしている会社なので、数字で評価するのが一番簡単。個人個人の能力を引き出してしっかり評価することは難しい。少々時間はかかると思うが、実現したい。

■目標の形態を変えるという状況の中で、70歳以上は成績とみなさないといったことだが、過疎地などでは高齢者がほとんど。70歳という年齢で区切られるのはつらい。また、フローからストックベースへとのことだが、どういった形で評価するのか。早く示して欲しい。
 まだ議論は始まったばかり。推進管理が出来やすいようにするということは必要だと思う。もう少し待って欲しい。
 また、このほか、社員から次のような意見があった。
 「青壮年開拓が言われているが、その具体的な取組みは示されていない。今の勤務体系や制度では、日中不在の方への営業は無理がある。また、職域営業についてもノウハウがない。そうしたことができるように、人員配置や営業時間について考えて欲しいし、実践して欲しい」
 「全件の確認調査の訪問活動を実施しているが、エリアや担当をしっかり決めて実施している。お客さまへ重複して訪問することなどない。では、通常の営業はどうであったかといえば、個々の渉外社員が訪問先を決めて実施していたもの。現状ではこうしたゲリラ的な営業はあり得ず、奇しくも今の状況で、しっかりした活動ができているというのも、皮肉なもの。営業の再開後には、こうした営業活動をしっかり実施していきたい」。


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