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2019年 10月21日 第7010号

【主な記事】

「一丸で難局を乗り越えよう」
日本郵便 北海道でフロントラインセッション

 社員との率直な対話集会「フロントラインセッション」を開催している日本郵便は、10月9日に横山邦男社長が出席して北海道支社で開催、約100人の社員が参加した。

 横山社長が「誠実に、真摯にお客さま対応に取り組んでいる皆さん、お客さまに一連のかんぽ営業の事案に関して深くお詫びしたい」と陳謝、「今日は率直に対話したい。皆さんの不満もぶつけて欲しい」と呼びかけた。
 日ごろから考えている経営の基軸について「現場・現物・現実主義」の重要性を挙げるとともに、「社会構造や顧客志向の変化などに商品、ルールが合っているか、常に検証が必要で、現場にいる皆さんの考えや意見が求められる」と強調した。
 また「企業は社会的使命を全うする必要がある。社会との関わり無しでは企業は生きていけない。社会的使命を果たすことは企業が存続する上で不可欠」とし、「日本郵便は社会的使命の塊。2万4000の郵便局ネットワークは唯一無二の存在。絶対的な価値であり、最大の強み。この強みを活かし、郵便・貯金・保険のサービスを全国に安定的に提供することが普遍的な社会的使命」と述べた。
 そして「社会的使命には、普遍的な社会的使命に加え、時代の要請に基づく社会的使命がある。これら2つの使命を踏まえなければ成長できない」との考えを改めて示した。
 さらに「人材なくして、企業は成り立たない。理想の組織とは社員が目標意識を持って働くこと。そして個性のある社員が集まることで組織は強固になる。お客さまの幸せを考えることで、社員も幸せになるという好循環をつくることで組織は強くなる」とし、「現在は大変な難局だが、お客さま本位の原点に戻れば乗り越えられる。一丸となって信頼の回復に向け、今やるべきことを真摯に実施して欲しい」と訴えた。

【フロントラインセッションでの主なやり取り】

■目標について、フローからストック重視に変えていくということになったが、ストックは今回の件で減っていく可能性があり、結局フロー重視に戻り、同じような事案が起こるのではないかと危惧している。また、郵便局規模、達成時の評価についても、不公平感がないようにして欲しい。
 ストック重視の趣旨は長く持っていただくこと。お客さまの意向にもよるが、解約・新規ではお客さまのメリットにならないことも多い。青壮年層・新規といったところを重視していきたい。目標は、会社として必要だと考えており、その達成度合いを測る評価制度についてもしっかりしたものを作っていきたい。
■社内の営業表彰について、メンツをかけて社内で競い過ぎていて、無理な数字を追いかけている。また、海外研修も無駄と思える。競うべきは他社ではないか。
 立地や顧客構成に応じて、目標を立てていく必要がある。前年実績がベースとなっていてはだめ。表彰についても、新しい目標に即したものにしていく。
■給与制度について、手当ありきの給与制度にしたことが問題と考えている。営業ができない中で、給与が減っており、非常に不安。給与制度、評価制度の見直しが必要ではないか。
 保険だけを全ての人に販売していくのは無理。よろず金融コンサルタントを実施する中で、それに即した、給与制度に変えていく。
■自粛が続いているが、何か新しいこともできるのではないかと、新入社員として入社して思っている。
 お客さまに不安を与えてしまっているが、誠実に対応していくしかないと考えている。我々が扱っているのは家電と違って、すぐに良さが分かるものではない。押しつけになってはいけないが、お客さまにきっちりと提案をして、必要性に気づいていただく必要がある。また、立地条件に応じた郵便局の在り方といったものも検討していきたい。
■年賀について、考え方が昨年から変わったにも関わらず、実態上は年賀の枚数を追いかけている。また、ゆうパックについて、北海道では他社と比べて高くなっており営業が難しい。さらに、郵便の集荷をしなくなったことから営業しづらくなっている。
 年賀については、意識改革が進んでいないということ、徹底させていきたい。ゆうパックについては、仕組み上、一律で地域別の価格設定というのは難しいが、丁寧さなど価格以外の部分を訴求することも一つ。集荷の見直しについては、ただ働きになっており、お客さまにご理解いただくことが必要。一連の見直しの結果、起こっている事象についてはきっちりレビューする。
■信頼回復の取組みについて、認知症サポーターの研修や手話の研修があったが、その後あまり活用されていない。こういったものを使って地域貢献はできないか。
 現在、日本郵便では地方公共団体と連携に力を入れており、社員の負担も考慮しながら、今の時代にふさわしい連携の仕方を考えていきたい。
■北海道では冬の寒さのため、冬季の配達などについては敬遠されがちであり、要員の確保に苦慮している。
 まずは土曜休配等の郵便法改正をお願いしており、現状の要員配置を最適化することで、要員確保にも一定の効果があるものと期待している。採用については、地道な採用活動をしていくしかないが、策は考えていきたい。


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