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2019年9月30日号 第7007号 

【主な記事】

滋賀県社会福祉協議会と包括協定
都道府県で初 県内郵便局


 滋賀県内郵便局(井上純夫代表/大津中央)と滋賀県社会福祉協議会(渡邉光春会長)は9月10日、「子どもを真ん中に置いた地域作りおよび地域福祉の向上」を目的として、それぞれの人的・物的資源を有効に活用し連携を促進する包括的連携に関する協定を締結した。滋賀県内郵便局は昨年、滋賀県社会福祉協議会から包括的連携の提案を受けて検討してきた。滋賀県社会福祉協議会によると、都道府県レベルでの包括的連携協定は初の試みという。

 滋賀県社会福祉協議会は、だれもが「おめでとう」と誕生を祝福され、「ありがとう」と看取られる社会を目指して、子どもを真ん中に置いて地域作りに取り組んでいる。人と人とがつながる地域の居場所である子ども食堂の設置に尽力し、現在では120か所までの広がりを見せている。
 県内230局のネットワークと地域密着の強みを持つ郵便局は、地域の豊かな暮らしに役立ちたいとの思いから、子どもたちの支援、子ども食堂の応援をしていこうと考え、今回の協定締結に至った。両者が連携することによって滋賀県ならではの実践を実現していく考えだ。
 包括的連携協定の締結式が同日、滋賀県公館で開催され、日本郵便から近畿支社の荒若仁支社長、中辻庸雄経営管理部長、滋賀県から三日月大造知事、健康医療福祉部子ども・青少年局の大岡紳浩局長、園田三惠副局長が立ち会い、滋賀県内郵便局代表の井上局長(大津中央)、滋賀県東部地区連絡会の服部眞亀雄統括局長(長浜東上坂)、滋賀県中部地区連絡会の田井中成夫統括局長(赤野井)、滋賀県西部地区連絡会の土田茂樹統括局長(浜大津)、滋賀県社会福祉協議会の渡邉会長、北川肇常務理事、谷口郁美事務局長が出席した。
 井上局長と渡邉会長が協定書に署名した後、記念撮影が行われた。井上局長は「滋賀県と近畿支社、大津市と市内郵便局が包括的連携協定を結んできたが、社会福祉協議会との包括的連携協定は初めてとなる。子どもを真ん中に置いた地域作りに関することの取組みの一つめは、子どもの笑顔のスポンサーへの登録。協定締結をもって滋賀県内郵便局の登録とさせていただく」と述べた。
 また「二つめは、各郵便局における子ども食堂のサポート。滋賀県内230の郵便局の窓口に子ども食堂のチラシなどを配架し、大いに子ども食堂をPRしてまいりたい。三つめは、児童養護施設の子どもの仕事体験および職場見学受け入れを(県内単独マネジメント15局と調整の上)行う」とした。
 さらに「四つめは、子ども食堂実施の際にイベントを開催する。郵便局の社員が講師となって絵手紙教室やオリジナルの消印ハンコ作りなど、手紙文化に関係する郵便局らしい取組みを行い、皆さまに喜んでいただけたら幸いだ。その他の地域福祉の向上に関することについては、滋賀県社会福祉協議会と検討を進めて具体的なものを詰めていくのでよろしくお願いしたい」と今後の計画について語った。
 渡邉会長は「滋賀県社会福祉協議会は、滋賀ならではの共生社会に向けて、さまざまな個人・団体と協同して地域福祉に取り組んでいる。今回の包括的連携協定の意義は『ひたすらなるつながり』の輪が広がり、滋賀ならではの共生社会に向けて、地域福祉の充実や一層の向上が図れるものと考えている」と強調した。
 具体的には「子どもを真ん中に置いた地域作りへの取組み。これが、私どもの子どもの笑顔をはぐくむプロジェクトの量と質を高めていく実効的なものになると考えている。郵便局とは、まさしく温もりのある地域の拠点として、さらなる双方のウィンウィンの関係を作ることを期待」と語った。
 そして「目指すところは、すべての県内郵便局が子どものスポンサーとして、温もりのある地域の拠点として、少子高齢社会における中で、滋賀県の特色のある地域社会像というものを示していただきたいと願っている。包括的連携協定が相対的に不利な立場にある人々への温かいまなざしのある地域社会の一助となるように、密なる連携をお願いしたい」と期待を示した。
 荒若支社長は「滋賀県と2016年に包括的連携協定を締結して以来、県民サービスの向上について様々な面で協力させていただいている。今回、社会福祉協議会と包括的連携協定を締結し、滋賀県とは切っても切れない仲になるものと思う」と連携の強化を表明。
 「日本郵便は、地域の皆さまと共にしっかりと生きることが一番の使命と考えている。その社会的使命を全うできない限りは、日本郵便が持続的に成長することができないと常々思っている。子どもを真ん中に置いた地域作りを基軸として、地域の課題や要請を我々ができることをつぶさに協力していくという志を持ってしっかりとやっていきたい。今回を機に、いろいろな連携ができていくと思う。しっかりと検討を重ねてより良いものにしていきたい」と意欲を語った。
 三日月知事は「『ひたすらなるつながり』を渡邉会長から説明いただいた。いろいろなところに人と人のつながり、そして滋賀ならではの共生社会を作っていく、これは渡邉会長が滋賀県の社会福祉協議会の新たなテーマとして大事に広げようとしているところで、強く感動し一緒に取組みを進めていきたいと思っている」と語った。
 全特会歌の第二番(都に鄙にまた山に)を諳んじ、「この歌の『あまねく人に幸せと』という歌詞の思いで、県下230の郵便局の皆さまが津々浦々、日夜ご尽力いただいている。この精神は、まさに『ひたすらなるつながり』を所望される社会福祉協議会とも、そして皆さまと一緒に新しい福祉を作っていこうという我々とも一致する」とした。
 さらに「どうかこの精神を具体的に進めることによって、県内に広げるとともに、全国に発信していきたい。こういうところに住みたいなと思っていただける地域を一緒に作っていきたい」と強調した。
 「子どもの笑顔はぐくみプロジェクト」は、県内100か所以上に広がる「遊べる・学べる 淡海子ども食堂」の継続的な運営のバックアップなど、子どもを真ん中に置いた地域作りをさらに進めるための応援団を作るもの。目的は①子どもを真ん中に置いた地域作り②「遊べる・学べる 淡海子ども食堂」の安定的・継続的な運営をサポート③地産地消で食育・子どもの健康づくり④虐待から子どもを守る⑤児童養護施設等で暮らす子どもたちの社会への架け橋作り―となっている。


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