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2019年9月23日 第7006号

【主な記事】

ICT活用 郵便局活性化モデル事業
みまもり、農作物配送支援など3事業
遠野市、藤枝市、津南町で実施

 総務省の郵便局活性化事業「郵便局×地方自治体等×ICT」のモデル事業が9月20日、公表された。決定したのは「岩手県遠野市のICTを活用したみまもりサービス」「静岡県藤枝市の農家の農作物配送支援」「新潟県津南町の買い物支援サービス」の3事業。新規事業で、実施期間は2021年までの3か年。郵便局と自治体などが連携し、地域の課題解決に役立つモデルケースを創り出す。

 遠野市のICTを活用したみまもりサービスは、郵便局のみまもりサービスをベースに音声で対話できる「スマートスピーカー」やセンサーを組み合わせ、高齢者の見守りをレベルアップさせた新サービス。
 高齢者とその家族宅にスマートスピーカーを設置。郵便局から高齢者への呼び掛けや自治体からの防災情報のお知らせなどに活用する。家族からもスマートスピーカーを通して、会話することができる。
 また、郵便局や役場、駅にセンサーを設置。外出時には、出かけた場所が分かるよう、高齢者にICタグを取り付け、センサー通過時には家族のスマートフォンにその場所を知らせる。
 すでに郵便局のみまもりサービスを受けている高齢者を対象に、モニターを募る。高齢者の見守りサービスの需要や課題について検証する。
 農業生産者の高齢化により、農作物の集荷が課題となっている中、静岡県藤枝市では農家の農作物配送支援を実施する。 タブレット端末を活用することで、定時配送が効率よくできるかどうかを実証する。
 農家はタブレットで郵便局に集荷を依頼。郵便局ではいくつかの農家を効率よく回り、一定の時間にJA直売所に届ける。コスト負担も含めて、郵便局、自治体、JAのバランスの取れた役割分担などの課題を探る。
 中山間地では近くにスーパーがなく、特に高齢者は日常品の買い物が課題だ。新潟県津南町の買い物支援サービスは、買い物難民といわれる高齢者向けに、地元スーパーと提携し、ゆうパックで届けるというサービス。受発注はタブレット端末を活用する。高齢者がタブレットの操作ができるかなども含めて課題を整理する。
 予算は各事業それぞれ500万円が上限。同事業の発注を受けたNTTデータ経営研究所が、ICTを活用した郵便局と地方自治体の連携のあり方についての調査報告を取りまとめる。サービスの需要や役割分担、課題などを整理し、来年以降は規模を拡大し、さらに調査を進める。
 成果の上がった事業は、横展開できるよう、これら実証事業の成果は、郵便局と地方自治体連携に関するガイドラインとして、まとめる。


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