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2019年 9月16日 第7005号

【主な記事】

「原点に戻り難局を乗り越えよう」
[日本郵便]近畿でフロントラインセッション

 



 日本郵便は「フロントラインセッション」として、横山邦男社長と社員との率直な対話集会を行っているが、9月6日には近畿支社で開催した。「日々お客さまに接している社員一人ひとりの声を経営に活かすため、本社役員等とフロントライン社員が直接、お客さまの要望から日ごろ負担に感じている事柄まで意見を交換、働き方改革をはじめ各種改革につなげていく」ことが趣旨。今回は近畿支社管内の社員を対象に開催、約300人が参加した。

 横山社長は「日頃誠実に、真摯にお客さま対応に取り組んでいる皆さん、それは金融に携わる社員の皆さんだけでなく、郵便関係の社員の皆さんも含めて、一連のかんぽ営業の事案に関して深くお詫びしたい」と陳謝した。
 また「お客さまとの接点である皆さんには、日々のお客さま対応への尽力に加え、プラスαで負担をかけており心苦しい。今日は率直に対話したい。皆さんの不満もぶつけてほしい」と呼びかけた。
 経営に関しては「軸は現場・現物・現実。経営を成長させていく上では、経営環境の変化への対応、社会構造の変革、顧客志向の変化といった様々な視点が必要。現場にいる皆さんが一番感じているからこそ、皆さんの考えや意見が重要」と改めて強調した。
 そして「外に目を向けて、商品サービス、ルールが世の中に対応できているかどうか、世の中のスピードに対応できているかどうかを常に見極めることが必要」との考えを示した。
 さらに「着任以来、企業の社会的使命を果たすことを言い続けてきた。社会との関わりなしでは、企業は生きていけない。社会的使命を果たすことは企業が存続する上で不可欠。社会的使命の全うなくして成長はない」と述べ、「2万4千の郵便局ネットワークは、我々にとっても国にとっても唯一無二の存在。相対的な価値ではなく、絶対的な価値であり、最大の強み」と郵便局の意義を語った。
 こうした郵便局の強みを活かし、「郵便・貯金・保険のサービスを全国に安定的に提供することがわが社の普遍的な社会的使命。社会的使命には、この普遍的な社会的使命に加え、時代の要請に基づく社会的使命がある。これらの社会的使命を踏まえ、時代と共に成長していく」とした。
 人材の育成についても「人材なくして企業は成り立たない。理想の組織とは、社員の皆さんが目標意識を持って働くこと、そして個性のある社員が集まることで組織はより強固になる。お客さまの幸せ・社員の幸せ、これが会社の発展につながる」と述べた。
 最後に「現在は大変な難局。しかしながら、お客さま本位の原点に戻れば、難局は乗り越えられる。ほとんどの社員はお客さま本位を実践している。全社員が一丸となって、お客さまの信頼の回復に向け、真摯に誠実に、そして、郵便局で働いているという誇りを持ってお客さまに向き合ってほしい」と訴えた。
 参加した社員からは「10月1日から段階的に営業の再開ということだが、この状況でどうやって再開ということになるのか」「今までも様々な場面で危機感を持って真剣に取り組んでいれば、こうした現状は避けられたのではないか」「会社をどういった方向に向けていきたいのか」「社員の声がなかなか届かない」などの意見が出された。

【フロントラインセッションでの主なやり取り】
■ほとんどの情報は新聞などが先。本社が信じられない。
 本社からの情報送付が後手後手で申し訳ない。ただ、公の情報でないこともある。会社として決めたことは、社員の皆さんに最優先でお知らせしていく。

■10月1日から段階的に営業の再開ということだが、この状況でどうやって再開ということになるのか。
 やみくもに全て再開というわけではない。個々の郵便局の実情も踏まえてできるところから段階的に再開していく。

■今までも様々な場面で危機感を持って真剣に取り組んでいれば、こうした現状は避けられたのではないか。今回のことでまさに営業のスタイルの変更の時が来ているのではないか。今やらなければ、200年を迎えられないのではないか。勇気を持って取り組んでほしい。
 個別の事例として対応はしてきたところ。しかしながら改善しきれなかった。今回を機に、営業のスタイルも含めて、私の代で全てを変える。それが私の覚悟。

■今の状況をどう変えて、会社をどういった方向に向けていきたいのか。
 私は以前、ゆうパック戦略を公表したときに、低賃金や過重労働を強要するような企業は長続きしないと主張した。これは私の持論でもある。
 皆さんが働きやすい職場創りに向けて色々な見直しを実施しているところだ。

■経営の軸に「人材」を言われていたが、現場では管理者になりたくない社員が増えるなど人材が育たない状況になっている。何とかしてほしい。
 専門性を重視していく体制作りをしてきたが、現実にワークしていくかが大きな問題。抜本的に改める。やりがいを持って、しっかりした目標に向かって働いていける体制をしっかり創る。


■社員の声がなかなか届かない。この現状をぜひ何とかしてほしい。
 社員の本当の声を聞くことは必要。今までも、本社から現場の声を聞きに行く場面はたくさんあった。しかし、局長などの幹部からしっかりやっているといった話を聞くことで納得していた。社員の声をしっかり聞き、それが本社にまでしっかり届く組織にしていきたい。

■今後のお客さま対応について、正直どうやって取り組んだらいいのか分からない。やってはいけないことは、色々言われて分かるのだが、能動的にはどうしたらいいのか。
 転換制度など制度的に劣っている部分もあったのは事実。劣っているところはどんどん改善していきたい。また、商品の提案ではなく、総合的なコンサルをやって、その中でお客さまにかんぽを提供していきたいと考えている。


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