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2019年9月2日 第7003号

【主な記事】

金融営業の見直しを
[JP労組]定期全国大会


 日本郵政グループ労働組合(JP労組/増田光儀委員長、組合員約24万人)は8月20、21日の2日間、熊本市の熊本市民会館大ホールで第12回定期全国大会を開いた。
 連合の逢見直人会長代行、枝野幸男立憲民主党代表、玉木雄一郎国民民主党代表、奥野総一郎衆院議員、山花郁夫衆院議員、難波奨二参院議員、小沢雅仁参院議員、熊本県の蒲島郁夫知事、郵政グループから長門正貢社長をはじめ各社社長や幹部、全国郵便局長会の山本利郎会長らを招いた。
 増田委員長はあいさつの冒頭で「事業の存在に関わる極めて重大な事態という認識から、かんぽ営業に関するJP労組としての考え方を示し、中央執行委員会を代表してのあいさつに代えたい」と述べた。そして「お客さまに対して、日本郵政グループで働く者を代表し、心からお詫び申し上げる」と陳謝した。
 「お客さまの意向に沿わず、不利益が生じるような営業やサービスが行われることがないよう、そしてより良い郵政サービスを利用いただけるよう、労働組合の立場から経営に対する意見提起等の取組みをさらに強化してまいる所存」と決意を述べた。
 「正しい情報が経営トップに伝わりにくい組織構造やマネジメントの手法を抜本的に改革してこなかった経営陣の責任は極めて重い」と指摘。「不適正営業を招いた背景や原因は単純ではなく、構造的な問題などが複合的に絡み合っている」との認識を示した。
 増田委員長は①分社化による構造的な問題②民営化に伴う制度的な問題③官僚的で柔軟性に欠ける企業風土の問題④マネジメントの問題⑤ユニバーサルサービスを担う公共性と事業を成り立たせるための企業性との両立の問題—の5つを挙げ、「問題が複合的に絡み合い、社会・経済環境の変化に伴う経営環境の厳しさが増していく状況とも相まって、目標の達成が至上命題となってしまった」と分析。
 「5つの問題を個別に検証しつつ、渉外営業社員の配置等についても検討を進めた上で、金融営業のあり方について抜本的な見直しに臨んでいきたい」と述べた。  その上で「企業風土の改革を実現していくためには、各機関の連携と機能の発揮が不可欠。組織の総力を挙げて取り組んでいこう」と呼びかけた。
 連合の逢見会長代行は「連合の結成30年に当たる今年は、新たなビジョン作りに注力してきた。人口減少、超少子高齢化、新たな技術革新が進んでくる。こうした新たな課題の中で働き方を見直し、みんなが豊かに暮らせるような社会作りに向けて今後も取り組んでいきたい」と述べた。
 枝野立憲民主党代表は「(熊本地震で)被害に遭われた県民の皆さまに改めてお見舞いを申し上げるとともに、復興に尽力されていることに敬意を表し、復興に向けた後押しをさせていただきたい」とあいさつ。小沢雅仁候補の参院議員当選を報告し、「皆さまに感謝申し上げたい」と述べた。「地域において郵便局ネットワークに対する期待はますます大きくなっている。その公的な役割をしっかりと位置付けて、役割が果たされるような形に変えていく一歩としたい」と語った。
 玉木国民民主党代表は「被災して今なお苦しい生活をされている方々がいる。心からお見舞いを申し上げたい。JP労組の皆さまが全国から復興復旧に向けて尽力されたことに改めて敬意を表したい」と述べた。
 続いて「小沢参院議員の誕生に心からお祝いを申し上げたい。現場の皆さまの声が分かる議員が国会に登院され、難波先生はじめ、わが党の奥野衆院議員と共に皆さまのために力を合わせることを期待している」と語った。
 長門社長は顧客への陳謝と共に、従業員に対して「日々、お客さま本位の営業に真摯、誠実に奮闘していただいている社員、組合員の皆さまにも本当に迷惑と心配をおかけした。深くお詫び申し上げる」と述べた。
 そして「オール郵政、チームJP全員の力で全国のお客さまの信頼を取り戻し、日々、真摯誠実に働いている社員の皆さまが意気に感じられる職場にしていくよう、しっかりと取り組んでまいりたいと思う。引き続き協力のほどをお願い申し上げる」と語った。
 山本全特会長は「誤解を恐れずに申し上げたいと思う。かんぽ生命の問題を捉えて、さまざまな論点がある中で、148年間、組合の皆さま方の先輩方が築いてきた、安心・安全・信頼という郵便局ブランドが大きく壊れかけている」と述べ、「郵便局ブランドを引き継いだ我々が次の世代のために、我々の力で再度復活させるという気概を持ちたいと思う。そして現場を支える管理者、組合員、社員の皆さんと一緒になって、再度このブランドを復活させていきたい」と強調した。
 奥野衆院議員は、小沢参院議員の誕生を祝し「難波先生、山花先生、赤松先生と一緒に、この厳しい時期だからこそ、しっかりと郵政事業のため国会でがんばっていきたい」と抱負を語った。
 山花衆院議員は「資本の論理に従えば、採算の合わないところから撤退するのが正しいのかもしれないが、郵便局は地域の唯一の拠りどころであるから2万4000のネットワークが維持されている。これからの日本にとって郵便局の存在は本当に大事なライフラインであり国民の共有財産となる」と語った。
 難波参院議員は「先の参議院選挙はたいへん難しい戦いだったと感じたが、多くの先生方からはJP労組が連合の中で一番よく頑張ってくれたとの評価をいただいている。私からもお礼申し上げたい」と述べた。
 初当選した小沢参院議員は「足掛け2年間の取組みに苦労いただいた本当に多くの皆さまに、心より感謝とお礼を申し上げたい」と謝意を述べた。
 熊本県のゆるキャラ、くまモンと共に登壇した蒲島知事は「熊本地震から3年と4か月が経った。この間、全国のJP労組の皆さまから多大な支援をいただき、心から感謝を申し上げたい」と語った。
 大会では「かんぽ商品に係る当面の業務運営を踏まえた給与・手当に係る対応と金融営業の抜本的な見直しに向けた取組方針」などを議題に、熱心な議論が行われた。


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