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2019年8月5日付 第6999号

【主な記事】

放射線量をモニタリング
[東北支社]郵便集配車両で開始


 東北支社(古屋正昭支社長)は、福島県から配備されたGPS連動型空間線量率自動記録システム「KURAMA-Ⅱ」を郵便集配車両(軽四)の助手席に固定し、放射線量モニタリングを実施する取組み(走行サーベイ)を7月11日に開始した。東京電力福島第1原発事故で被災した福島県浪江町など5市町村で行う。昨年2月に福島県と結んだ包括連携協定に基づく取組み。福島県はモニタリングを実施することによって住民帰還を促したい考えだ。

 同日、福島県南相馬市にある原町郵便局で出発セレモニーが開催され、福島県からは成田良洋危機管理部長、日本郵便からは古屋支社長、福島県北部地区連絡会の髙島貞邦地区統括局長(福島県代表地区統括局長/大玉)、福島県東部地区連絡会の神谷栄作地区統括局長(神谷)、渡邉隆局長(原町)が出席した。
 古屋支社長は「昨年2月に福島県とは包括連携協定を締結させていただいた。その中で『東日本大震災の復興に関すること』という事項があり、それに基づいて今回の放射線量モニタリングに着手することになった」と経緯を説明した。
 続いて「福島県では、いまだに避難地域になっているところがある。そうした地域の線量のモニタリングをすることによって、なお一層の住民帰還に向けて私どももお手伝いさせていただければ幸い。福島県とは今後ますます連携を深めて、いろいろな分野で施策を展開していきたい」と抱負を述べた。
 成田危機管理部長は「震災から8年が過ぎて各市町村の復興が進んでいるが、住民の皆さんは放射線に対する不安というものも感じている。そんな中で、郵便集配業務を通じて面的にきめ細かなデータの収集ができる今回の取組みは画期的なことと思っている」と高く評価。
 「住民の安心安全のために取組みを丁寧に行っていただければありがたい。福島県としては引き続き、日本郵便はじめ関係各機関と連携を図りながらさまざまな形で復興が更に進むように取り組んで参りたい」と述べた。
 今回の放射線量モニタリングでは、福島県が選定した5地域の配達を受け持つ郵便局が業務を担う。具体的には、南相馬市(原町区)の原町郵便局、楢葉町のいわき郵便局富岡旧集配センター(楢葉集配分室)、富岡町のいわき郵便局富岡旧集配センター、浪江町の原町郵便局小高旧集配センター(浪江集配分室)、飯舘村の福島中央郵便局川俣集配センター(飯館集配分室)でそれぞれ1台ずつ(計5台)配備された「KURAMA-Ⅱ」でモニタリングを実施している。
 走行サーベイ(実地調査)では、車両に搭載された線量率測定器で空間線量率を測定すると同時に位置情報を自動的に記録。3秒間隔で線量率と位置情報を測定し送信し続ける。
 データは福島県が委託した分析機関に自動転送され、2週間後に分析結果が県のホームページで公表される仕組み。


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