「通信文化新報」特集記事詳細

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第6985・6986合併号

【主な記事】

第86回郵政記念日中央式典
「総務大臣表彰」を新設
ユニバーサルサービス維持に功績


 第86回郵政記念日中央式典が4月22日、東京都千代田区の帝国ホテルで行われた。ユニバーサルサービスの維持に顕著な功績を果たした社員を称える「総務大臣表彰」が創設され、日本郵便から4人が選ばれた。式典には、これらの表彰者や永年勤続30年表彰者とその家族、総務省関係者、郵政事業で要職にあったOBら約850人が出席。郵政記念日を祝った。

 総務大臣表彰は、長年(20年以上)にわたり、ユニバーサルサービスの維持のために顕著な功績があった社員を対象にしている。具体的には▽山間辺地や離島など、困難な条件の中で日常業務を遂行し、事業の発展に大きな貢献をした▽地道な努力を積み重ね、他の社員の模範として大きく貢献した▽地域への貢献活動を通じ、事業の存在基盤を高め、郵便局ネットワークの維持発展とともに地域社会の活性化に大きく貢献したなど。対象となる会社は日本郵政と日本郵便で、毎年、若干名(4人程度)を選定する。総務省の承認を経て決定される。
 総務大臣表彰を受けたのは、豪雪地帯(旧芦別集配センター)で、長く地道に集配業務に従事した北海道支社内の滝川郵便局集配営業部の永井和彦課長、震災復興のため福島県との包括連携協定締結に尽力した東北支社内の大玉郵便局の髙島貞邦局長、静岡県内の郵便局で管理社員として県内の複数の自治体との地域協力協定の締結に尽力した東海支社内の沼津郵便局の小林正弘局長、離島で地域に溶け込み長く窓口業務に従事した九州支社内の喜界郵便局の廣瀬信子課長代理の4人。石田真敏総務大臣から一人ひとりに表彰状が手渡された。
 郵政事業に協力のあった個人3人と6団体には、各社社長から感謝状が贈られた。日本郵便からは、個人1人と5団体。被災地絵手紙教室の講師として手紙・郵便文化に貢献した南生清子さん(青少年ペンフレンドクラブアドバイザー)、ふるさと納税の返礼品で地元の郵便局と連携して郵政事業の発展に貢献した「いすみ市」、包括連携協定を締結し良好な関係を確実にし、郵便局が取り組む地方創生に多大な貢献があった「石川県」、日本郵便が共同運営するふるさと納税サイト「ふるさとぷらす」を全国で初めて導入し、全国での導入拡大につなげるなど地方創生に多大な貢献があった「加賀市」、全国で2番目に包括連携協定を結び、手紙・郵便文化の普及や郵便局が取り組む観光キャンペーンへの理解など郵便事業に貢献した「滋賀県」、四国地域における協力に関する協定を締結し、日本郵便のPRや郵便局のあり方を提言するなど郵便事業に貢献した「四国電力」。
 ゆうちょ銀行は1団体で、全国のファミリーマートにATM約2700台を設置し、今後も約2900台を置き換えるなどビジネスパートナーとして利便性向上や手数料収益の拡大に貢献した「ファミリーマート」。
 かんぽ生命保険は、個人2人。奈良県ラジオ体操連盟会長として、「国際ゴールドマスターズ奈良大会」のプログラムにラジオ体操を取り入れた北良夫さん(NPO法人ならスポーツクラブ理事長)と、長年にわたり法令等遵守体制強化に関する諮問会議委員を務め、その強化に貢献した原誠一さん(インテグリティ総合研究所合同会社代表社員)。
 永年勤続30年では、全国で5525人の表彰があり、中央式典にはそのうち364人が出席。代表者に各社社長から表彰状が手渡された。
 式典では日本郵政の長門正貢社長が「今年は新式郵便業務を開始した前島密没後100年。先人の偉業を改めて思い起こすとともに、お客さまの新たなニーズや地域の期待にどう応えていくのか。現役の使命を再確認したい。また勤続30年を迎えた皆さまは平成の時代と重なるが、平成は災害が多くデフレに低成長。いいことばかりではなかったが、ここ数年は株式市場、経済成長は強含みで、郵政グループもこの勢いに乗って、チームJPで、ベテランも若い人も力を合わせて時代の課題にチャレンジして、明るい明日を迎えたい」と式辞を述べた。
 来賓の石田総務大臣は「今年から郵便のユニバーサルサービスの維持に顕著な貢献のあった方々を総務大臣から表彰させていただくことになった。お受けになる方々とご家族に心からお礼申し上げたい。総務省としては今後も、ユニバーサルサービスを支えている皆さまが誇りを持って職務に専念できるようしっかり取り組みたい」とあいさつ。
 江田康幸衆議院総務委員長は「衆議院総務委員会の提案により、交付金制度の法改正がなされたが、郵政事業に更に役立つよう願っている。2万4000局のネットワークを生かし、地域に根差した企業として社会の発展を支え、地域活性化の一翼を担い続けることを願っている」、岩田一政郵政民営化委員会委員長は「世界でも例を見ない、2万4000局の強靭なネットワークの強みを生かしつつ、新たな成長分野の構築に取り組むことを期待している。社員の皆さまの努力を実り多いものとするため、郵政民営化をより良い形で発展・結実するよう全力で臨む所存だ」と述べた。
 小林喜光経済同友会代表幹事は「日本郵政グループは、経済の豊かさ、イノベーション、社会の持続可能性の3つに取り組み、企業価値・国家価値の最大化に努める稀有な企業。大きな環境変化の中、日本全体を見据え、自ら課題を設定し解決するフロントランナーとして、わが国の経済に活力を与えていただくことに大いに期待している」と祝辞を述べた。
 最後に長門社長を前に、表彰者を代表して北見郵便局第一集配営業部の山北圭一課長が「お客さまに郵便局を支える存在であると感じてもらえるよう、グループ社員一同、みんなで知恵を出し合い、自分の役割を理解し、様々な状況の変化に適切に対応できるよう努めてまいりたい。先輩が築いた郵政事業の輝かしい伝統と精神を受け継ぎ、更なる発展のため邁進していくことを誓う」と答辞を述べた。
 郵政記念日は、官営による新式郵便業務が1871(明治4)年4月20日(旧暦の3月1日)に始まったのを記念して定められた。1934年に記念式典が始まった当時は「逓信記念日」だったが、組織再編により「郵政記念日」となった。


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