「通信文化新報」特集記事詳細

 年/月

第6892・6893合併号

【主な記事】

日本型の郵便ポスト普及
ミャンマー 広告費で設置


 ミャンマーでは総務省の事業案募集で決まった日本の広告代理店が、同国内の郵便ポストを広告付きにすることで無償提供する事業を進めている。広告主も順調に集まっていることから、「ミャンマーポストの広告付き郵便ポストへのリニューアルセレモニー」が6月27日、ヤンゴン市内のストランドホテルで行われた。総務省や在日本大使、ミャンマーポスト総裁らが出席。設置されたポストの進捗状況などが発表された。

 郵便ポストリニューアル事業は、日本の広告代理店「長田広告」(愛知県津島市、長田一郎社長)の現地法人が行っている。ミャンマーポストの旧来型のポストを、日本の郵便ポストをモデルにした四角で赤いポストに入れ替えている。雨が入らない構造で、間違ってゴミを入れる人がいても郵便物と混ざらないようになっている。
 ヤンゴン、ネピドー、マンダレイの3都市で、合わせて102か所に設置されているが、今後も133か所の切り替えを予定している。1基約58万円の設置費と保全費を広告で捻出し、コスト回収後に利益を出していくというビジネスモデルだ。
 事業を始めるきっかけになったのは、総務省が2014年7月に行った「日本・ミャンマー郵便分野における新ビジネス・新サービスに関するワークショップ」。長田広告もこれに参加し、総務省の事業案募集に応募した。
 長田広告は2014年4月に現地法人を作り、ごみ箱を広告付きにして無償提供するビジネスを展開していた。ミャンマーポストでは2014年5月から、総務省やJICAの事業で、日本郵便が郵便の品質向上のために技術指導を行っている(2014年5月から2015年4月までは総務省、その後はJICAに引き継がれ、2019年5月までの予定)。
 同セレモニーには、樋口建史・在ミャンマー日本大使をはじめ、カムアウン・ミャンマーポスト総裁、総務省からは青木勇司・郵便課国際企画室課長補佐、中川勝司・ミャンマー日本商工会議所会頭らが出席した。
 青木課長補佐は「2014年に日本とミャンマー通信・情報技術省との間で締結した覚書により、日本郵便から専門家を派遣し技術指導を行っている。品質向上に着実な成果が上がっている。手紙やはがきが投函しやすい日本型のポストの切り替えにより、ミャンマーの国民の皆様が郵便を一層利用していただければと願っている。日本で培われた手紙文化をミャンマーにも伝えたい」とあいさつ。テープカットが行われた。
 この後、出席者らは中央郵便局前に設置された広告付き郵便ポストの前で記念撮影を行った。このポストの広告主は富士ゼロックスで、第1号だという。切り替え予定の235の郵便ポストのうち8割はすでに広告が付いている。広告主の8割はミャンマーの企業が占めているという。日系企業は同国に348社進出している。

「地球の歩き方」に紹介記事
日本の技術指導で郵便改善

 旅行ガイドブック「地球の歩き方 ミャンマー編」に「日本の協力でミャンマーの郵便事情改善」という見出しがついて「小包はEMSが確実で便利」と紹介されている。
 以前のガイドブックには「ミャンマーでは郵便は届かないことがあるので、使わないほうがよい」といった内容だったが、日本郵便の技術指導により改善が進んだことから、現在は「JAPANと書いておけば宛先は日本語で届く…日本が技術指導を実施し、サービスの品質が改善、向上している。風景印もあり、切手付き封筒は手ごろなおみやげ」と様変わりしたミャンマーの郵便事情を紹介している。


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