「通信文化新報」特集記事詳細

 年/月

第6736・6737合併号

【主な記事】

新藤総務大臣
郵便システム チェコから輸入要請
人口減対策は地域活性化


  新藤義孝総務大臣は7月15日の会見で、1~11日まで中央ヨーロッパを中心に各国を視察し、意見交換を行う中でチェコの情報通信担当大臣から「日本の郵便インフラシステム輸出」について要請があったことを明らかにした。新藤大臣は昨年のミャンマーに続き「中身をよく検討しながら、前に進めようとしている」との方針を示した。
 また14~16日まで佐賀県で開催される全国知事会議に出席した後、長崎県の壱岐市を視察すると報告。記者団からの「人口減少問題について」との質問に、「対策は地域の活性化と分権の推進。郵便局は地域の活性化やコミュニティーに資する事業展開を社会的使命として持つ」と強調した。郵便局ネットワークについては「事業性プラス地域コミュニティーとしての役割を加えた慎重な判断が必要」と語った。
 新藤大臣の海外出張は、総務省としてICTの展開をヨーロッパや一部中東に根付かせる目的で英国、オランダ、チェコ、イスラエル、トルコを訪問。主に情報通信担当大臣と面談する中で、「チェコの大臣から日本の優れた郵便システムの輸入について申し出があった」と語った。「郵便のインフラシステム輸出」は政府が昨年閣議決定した成長戦略の一環。日本の郵便が万国郵便連合(UPU)でも高い評価を受けていることも背景にある。
 一方、新藤大臣は「国家戦略特別区域会議が18日に新潟市、23日に養父市で開催される。民間事業者の代表と国家戦略担当大臣の私が、区域計画の素案を話し合う。18日から特区の第2次募集を始めたい。現在指定される6か所に追加し、新たに認定を受けたい自治体の要望を受ける。認定状況を見ながら戦略特区のワーキンググループ(WG)でヒアリングや関係省庁の選定をして、諮問会議を通じて作業を進める」との方針を示した。
 さらに、佐賀県の全国知事会議と壱岐市への出張について「全国の知事と率直な意見交換を行う。壱岐市では“地域おこし協力隊”を激励し、様々な地域活性化の取り組みを視察したい。対馬に続き、壱岐という離島で協力隊が大きく活躍をしている。壱岐では『過疎集落自立再生緊急対策事業』を公募したところ、柚子加工場が選定された。収穫シーズン以外にも新商品開発や出荷が可能になった。総務省の地域活性化プラットフォームの地域資源活用型モデル都市としても壱岐市のプロジェクトが採用されている」と語った。
 毎回の地方視察で「行政相談員や郵便局長の皆さんと必ず懇談させていただいている。地域の実情と活性化の取り組みの様子を教えてもらいたい」と強調した。
 記者団から「全国知事会議の主要テーマは人口減少問題ということだが」との質問に、新藤大臣は「人口減少とさらに目前にある少子高齢化は国家的命題。自治体の先頭に立つ知事と総務省の共通の関心事項だ。人口減少社会への対策は地域活性化と分権の推進だ。施策の真っただ中に我々の仕事がある。今後、総務省が考える政策や事業の方向性を知事の皆さんに話したい。コミュニケーションをとりながら、多くの意見を伺い、意志を共有する場にしたい」と述べた。
 さらに「これからの日本を持続可能なものにするには、地域の活性化だ。地域の発意と多様性で個性ある自立した地方自治への確立を進めていきたい」と意欲を示した。
 通信文化新報の「人口減少時代で生活の場も変化すると思われるが、今後の郵便局の配置の在り方や役割はどう変化するのだろうか」との質問には、「人口が減少する過疎地などで郵便局はコミュニティーの重要な拠点になっている。郵便局があることで地域の生活が維持でき、集落もできる。それが三事業のユニバーサルサービスたるゆえんだ」と指摘。
 また「郵便局は、地域の活性化やコミュニティーに資するような事業展開を社会的使命、企業の使命として持つ。維持できる事業を作っていくことも大切で、双方からの検討が必要とされている」と強調した。


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