「通信文化新報」特集記事詳細

 年/月

第6989号

【主な記事】

新会長に山本副会長
会員の思い一つに明日に希望を


 全特広島総会の終了後、青木進前会長と山本利郎新会長の記者会見が行われた。青木前会長は「郵政事業の舵取りが厳しい時代だったが、会社と意思疎通をしながら一翼を担い、ゆうちょ銀行の限度額引上げ、交付金・拠出金制度の実現などに取り組んだ。今後も顧問として支援していきたい」と感想を述べた。山本新会長は「令和最初の総会、前島密翁没後100年に就任し、極めて深い思いを感じている。会員が思いを一つにして、明日への希望を持っていただくような組織にしていきたい」と抱負を語った。

■会長の退任に当たって感想を。
 青木前会長 混沌とした郵政事業の舵取りが厳しい時代だった。会社と意思疎通をしながら必死に一翼を担い、様々なことに取り組んできた。2度にわたるゆうちょ銀行の限度額引上げ、交付金・拠出金制度の実現など、会社とはベクトルを合わせながら共同歩調でやってきたが、今後も顧問として支援できることはしていきたい。

■郵便事業は土曜配達の休止などが検討されているが。
 青木前会長 土曜休配は経営的なことだが、時代の流れ、コストのことを考えるとやむを得ないと思う。いろいろなところでアンケートも行われているが、おおむね理解を示していただいていると感じている。

■会長に就任した思いと郵政事業の課題への認識について。
 山本新会長 令和最初の広島総会で会長に就任し、様々と思いを馳せている。令和の意味は、人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育ち、明日への希望を咲かせるというように理解している。同じように全特の組織も会員が思いを一つにして、明日への希望を持っていただくような組織にしていきたい。
 さらに、郵便創業の父であり、日本文明の偉大な大恩人である前島密翁没後100年の年に会長に就任したことも、極めて深い思いを感じている。前島翁の養女が記録されたと言われている寄稿文にある「縁の下の力持ちになることを厭うな。人の為によかれと願う心を常に持てよ」という言葉は、まさしくユニバーサルサービスを展開する全特、あるいは郵政事業にとって崇高な理念だと認識している。
 翁が創り上げた郵政事業が、まさしく地域に根づき、地域と共に郵便局長が生きてきた証だ。148年営々と築いてきた原点だと認識している。
 郵便事業、金融事業それぞれに課題がある。郵便についてはまさしく物数が減っており、今後もどう発展させていくかが大きなテーマ。ゆうパックも料金改定などで利益を上げているが、今後もさらに物数を増やす努力は必要だ。
 金融についても改正郵政民営化法で、ゆうちょとかんぽもユニバーサルサービスを展開することが義務づけられている。金融2社のユニバーサルサービスを展開するに当たっても様々な課題がある。
 会社間の手数料にかかる消費税の問題は、拠出金・交付金制度ができた。ユニバーサルサービスを確保するための郵便局ネットワークを維持する基礎的経費を金融2社から拠出して第3者機関に預け、日本郵便に交付するという新たな制度ができた。
 これにより、約240億円の消費税減免になるが、どのように活用するかは、経営的に大きな課題だと考えている。最終的には三事業のユニバーサルサービスを提供するコストの問題を本質的に解決しない限り、郵政事業にとってはなかなか難しい舵取りになるだろうと認識している。

■自治体の業務受託についての取組みは。
 山本新会長 地域に根差す郵便局は、地域における最後の生活インフラだ。各地公体との関係が非常に密になり、同時に支所の業務も郵便局で受託するという方向性で多くの市町村と話をしている。
 ただ、どうしても法律的な束縛があり、自治体の窓口業務をそのままストレートに郵便局で取り扱うことには、法律の縛りでなかなかできない。法改正も踏まえ、全ての業務を郵便局で取り扱うようにできれば、地域の人たちにとってたいへん大きなメリットがある。今後も、郵便局として地方創生の取組みを積極的に進めていきたい。

■局長会の運営に当たって心していることは。
 山本新会長 局長会としては長年、同一認識同一行動、組織強化に取り組んできた。2万人近い仲間を維持していくのはなかなか大変な努力がいる。多くの会員には考え方を理解していただき、一糸乱れぬ行動ができるような組織になればいい。そのためには会員の声を聴き、議論をして一つの方向性に導き出すという手法が必要だ。民主主義は、議論して一つの結論を出すまでは時間のかかるものだ。手間暇かけて会員の思いを汲み、一緒になってやっていく環境づくりをしていきたい。
 局長会の活動の原点は利用者、国民、地域の皆さまのために良かれと思うことで仕事をしている。会社にも理解を求めてそういう取組みをしている。その一つがまさしく地方創生。様々な法律の規制など壁に当たることもあるだろう。自治体業務の規制緩和についても法律の縛りがあるので、一つひとつ実現に向けて取り組んでいきたい。
 そのためにも柘植先生、徳茂先生をはじめ郵活連の先生方の協力が必要になってくる。あくまで地域あっての郵便局、地域の人たちにとってプラスになることに取り組んでいきたい。

■青木前会長は地方創生に積極的に取り組まれてきた。地公体との連携の現状は。
 青木前会長 包括連携協定は都道府県レベルでは現在31、私が就任してから結んだのが27。また、全国では1741市区町村があるが、昨年末時点では436に上る。包括協定を結ぶのみでなく、中身をしっかりと進めていくことが重要だ。

■金融2社の株式売却が進められているが、日本郵政グループの一体感の確保については。
 山本新会長 株式売却は経営上の問題だが、売却後も郵政グループ間の連携については互いの理解を深めていくことだ。民営化当初は分社化したことで遠心力が働いた一面があったが、もともと同じ会社で働いていた。
 分社化で自分の会社のことしか考えないことでは問題もあり、改正郵政民営化法の成立によって、求心力が働き郵政グループが一体で対応するスキームを作ってきた。今後も作り上げていくことが重要と認識している。グループ間の人事交流も大事と思っている。


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