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第6979/6980合併号

【主な記事】

ゆうちょ限度額引上げ
4月実施 政令改正案を閣議決定

 政府はゆうちょ銀行の限度額を引き上げる政令改正案を3月8日、閣議決定した。郵政民営化法施行令の一部が改正され、4月1日からは通常貯金、定期性貯金ともに別枠でそれぞれ1300万円の貯金が可能となる。ゆうちょ銀行の限度額については、2017年8月の野田聖子前大臣就任時から議論が始まり、約1年8か月かけて、ようやく改正にこぎつけた。
 ゆうちょ銀行の限度額の引き上げについては、利用者の利便性向上や公正競争の観点から郵政民営化委員会の「郵政民営化の進捗状況の総合的な検証」の中で議論が進められてきた。
 同検証のとりまとめについて、民営化委員会では当初は昨年春を予定していたが、大きくずれ込み、安倍晋三本部長に提出されたのは昨年12月26日だった。
 現行の1300万円の限度額では超える人もあり、超えれば振替貯金にオートスイングしてしまう。その仕組みが国民に理解されにくいことや、日本郵便からのお知らせの手間、限度額そのものが国民に不便をかけているなど、国民の利用者の利便の向上という観点から、日本郵政や全国局長会から引き上げや撤廃の要望がなされた。
 反対する金融庁や業界との話し合いに長い時間がかかったというが、地域金融機関が支店を撤退させる中で、全国津々浦々で金融業務を取り扱う郵便局の役割は増している。国民生活への利便性向上への改善が、それだけ遅れたことになる。
 同日開かれた閣議後の大臣会見で、通信文化新報は「ゆうちょ銀行の引き上げは、野田大臣の頃からずっと長きにわたって検討されてきて、ようやく政令の改正にこぎつけた。民営化のたったワンステップなのに、このように長く時間がかかったことについてどのように考えるか」と質問。
 石田大臣は「これは私も自民党の中で、メンバーとして議論してきたが、いろいろな関係の方もおられる。そういう方々の意見もお伺いしながら、一つひとつエビデンスとか、そういうことに基づいてやってきた。そういう中ではやむを得なかったのかなと感じている」と答えた。
 また「利用者の利便性が高まる一方で、いまだに民間の金融機関からは預金の流出への警戒感が強いままだが、これについて大臣の見解は」という記者の質問には、「過去に限度額を引き上げてからこれまでの間、預金のシフトが発生していないというエビデンスを踏まえたもので、昨年12月の郵政民営化委員会の意見には、金融業界の懸念の声に対して、貯金獲得などに関する一定の要求事項が付されており、日本郵政グループにはしっかりと取り組んでいただきたい」と答えた。


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