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 年/月

第6973・6974合併号

【主な記事】

過疎地の配達に影響
土曜休配、新聞協会は反対意見

 日本郵便が提案している普通郵便物の土曜休配について、日本新聞協会は1月23日に開催された第15回郵便局活性化委員会(米山高生・主査=東京経済大学経営学部教授)ヒアリングで土曜配達休止に反対する意見を述べた。過疎地の新聞の配達は日本郵便(第三種郵便)に依存しており、土曜日が休配となれば、土曜日と日曜日の新聞が購読者宅に届くのが月曜になってしまうことを挙げている。

 同ヒアリングには日本新聞協会から川田幸雄販売委員長(東京読売新聞社)と畑谷広治同副委員長(信濃毎日新聞社)が出席。
 提出資料によると、同協会加盟社の郵便による宅配は推計で1日約3万部以上(販売店と本社の郵便局への投函の合計)、年間では約1000万部あり、山間部や離島など配達効率が悪い地域で利用されている。
 中山間地の小さな集落では、配達する人の確保が難しく、郵便に頼らざるを得なくなっているという。
 ヒアリングで紹介された第三種郵便利用の代表的な事例では、新聞販売店のスタッフが当日の朝刊を午前2時から9時頃までに帯封を付けて最寄りの郵便局やポストに投函。郵便局では午前中から遅くとも午後5時までには他の郵便物と一緒に届けている。
 日曜日付の新聞は月曜日付とまとめて、月曜日に郵便局に投函している。どうしても日曜日に日曜日の新聞が読みたい顧客もおり、山を下りて新聞販売所に取りに行くケースもあるという。
 離島の事例では、定期船で島の港まで運び、港で郵便局員が新聞を受け取り、当日昼頃までには配達している。土曜日の通常郵便物の配達が無くなれば、月曜日に、土曜日と日曜日分、当日の月曜日付の3日分の新聞が配達されることになる。
 同協会では郵便局活性化委員会に対して、土曜配達継続への意見書を提出した。
 その理由として「郵送でないと配達できない地域は山間地や過疎地で、ネットの情報の入手に慣れていない高齢者が多いと考えられる。土曜日付の新聞が2日遅れて届くことになれば、地域の情報や政治、社会、経済などの公共情報の入手が遅れ、読者に不便を強いることになる」と記載。「新聞は発行日に配達されることに価値がある」と強調する。
 委員からは「郵便料金はだれが負担しているのか」との質問に、川田販売委員長は「読者の支払いを前提にしているが、実際には読者と販売店が負担。地域によっては販売店が全額負担している所もある」と回答。
 東條吉純主査代理は「郵便のネットワークコストが高まっている中、読者、新聞社、新聞販売店、日本郵便でコストを分け合うのはどうか。第三種速達郵便という発想はあり得ないか」と質問。
 川田販売委員長は「読者がそういったサービスが欲しいというのであれば、どのくらいの料金なら我慢してもらえるのか。お客さまがいる限りはどのようにお届けするかを一番に考えたい」。
 また、横田純子委員は「当日配達第一優先ということだが、第三種郵便料金が高くなってもいいか」と質問。川田販売委員長は「販売店の負担も大きくなる。読者負担をどうするか、地域で考えていかなければならない」と発言している。
 米山主査は「新聞の公共性や文化性が重要であることは認識しているが、今回の提案は、日本郵便の働き方改革やコスト削減を通して、信書というユニバーサルサービスを維持することが目的。弱者を切り捨てないために検討している。畑谷副委員長は弱者切り捨てということをおっしゃったが、その点についてはご理解いただきたい」と述べた。
 日本郵便の小池信也執行役員は「委員会でご議論いただいた中で要望させていただいたことは会社としては変わらない。当日配達については、他の郵便物の配達に支障がない中で、どういうことができるのか。関係各署と相談しながら対応したい」と意見を述べた。


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