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第6971号

【主な記事】

改善効果625億円
土曜休配と昼間作業で試算

 総務省の情報通信審議会郵政政策部会の第14回郵便局活性化委員会(米山高生・主査=東京経済大学経営学部教授)が昨年12月27日に開かれ、通常郵便物の週5日配達(土曜休配)や送達日数の1日繰り下げによる改善効果、速達の料金値下げした場合の影響などを検討した。日本郵便では、これら制度の見直しによる郵便事業単体の改善見込み額を約625億円と試算した。

 日本郵便によると、週5日配達による改善効果として約535億円、送達日数繰り下げにより内務作業を深夜から昼間に移行できる効果として約90億円、郵便事業はトータルで約625億円の削減が見込まれる。
 配達の約535億円の内訳は、人件費が約530億円、配達用バイクの燃料費などの物件費が約5億円。人件費は土曜配達人員の削減と超過勤務手当が減る一方で、月曜日に郵便物が増えることから増員のための人件費が増加する。燃料費も同様で土曜日の走行距離が減る一方で、月曜日は増える。
 全体では郵便と荷物を一緒に配達するケースもあり、郵便・物流全体での削減効果はこれより低くなるという。
 総務省でも2016年度の数値を基に土曜配達休止による郵便のユニバーサルコストを、PA法で試算した。
 それによると、損益改善額は約456億円から約588億円となる。日本郵便の試算と大きく変わらない結果となった。
 深夜内務作業の昼間へのシフト効果・約90億円の内訳は、夜勤・深夜勤務手当や作業の平準化による人件費の削減により約75億円、翌日配達のために組まれていた地域区分局から集配局への運送便は本数を減らすことが可能となり、約15億円を削減。
 土曜休配と深夜の内務作業の昼間へのシフトにより、配置人員は郵便・物流事業全体では約5割の削減が見込まれる。
 土曜日の配達員は現在約9万人だが、休配により約4万800人になる。深夜の内務勤務者は1日当たり約1万1000人(郵便8700人、物流2300人)で、送達を1日繰り下げて昼間の勤務にすることで約6000人になる見込み。このうち速達や書留の発着業務を担当するのは約3100人で、残らざるを得ないという。
 土曜休配と送達日数の1日繰り下げにより、普通郵便物は、その週に届くには水曜日までに投函しなければならないため(木金土日曜日投函なら月曜日配達)、速達のニーズが増えることが予想される。
 日本郵便では、速達の料金を値下げする方向で検討している。値下げに当たっては、速達郵便の需要や増収額、値下げによる減収額の試算などを考慮する方針だ。
 同委員会ではこの日、郵便サービス利用者として「生命保険協会」と「国民生活センター」のヒアリングが行われた。国民生活センターは「郵便サービスは国民生活に直結する可能性があるため、制度の改正内容や改正時期については周知が必要」と広報を要請。
 生命保険協会も「見直しの影響を最小限にとどめるよう、お客さまへの説明や業務運営の見直しを行うことで、できる限りの協力をしたい。日本郵便でも広く理解いただけるよう、徹底した周知をお願いしたい」という意見や要望等を述べた。


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