「通信文化新報」特集記事詳細

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第6961号

【主な記事】

モデル郵便局の取組み共有
「仕事の仕方」見直しを


 日本郵便の「2018年度仕事の仕方見直しモデルプロジェクト最終取組共有会」が、本社ビル(大手町プレイスウエストタワー)の前島ホールで、10月25日に開催された。諫山親執行役員副社長はじめ大澤誠専務執行役員、樋口良行専務執行役員、山本龍太郎常務執行役員、山崎勝代執行役員、丸山元彦人事部長ほか経営幹部が列席するなか、東北、近畿、南関東、東京支社の局長・社員、日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命のグループ各社ほか80人超が参加した。

 2018年度のモデル局に選抜されたのは、東北支社の仙台中央局(宮城県)、福島中央局(福島県)、利府局(宮城県)、近畿支社の生野局(大阪府)、泉南局(大阪府)。各局チームが発表を行い、質疑・講評の場が設けられた。後半の部では、2017年度モデル局である東京支社の豊島局(東京都)と関東支社の川崎大師局(神奈川県)の代表によるパネルディスカッションが行われた。
 谷合美恵人事部ダイバーシティ推進室課長の司会のもと、山崎執行役員が「皆さんの働き方がより楽しく、より効率的、効果的になることがスキルアップにつながり、お客さまにも伝わるはず。さまざまな社員がチームとなって取り組むことがダイバーシティと密接につながっていく」と述べた上で、「いろいろな課題をチームで乗り越えていくことを、このモデルプロジェクトを機に広げていきたい」と語りかけた。
 続いて、モデル局の発表が行われた。概要は以下の通り。
▽仙台中央局(伊藤宏之第一集配営業部長・白取正和第二集配営業部課長代理・齋藤舞優第一集配営業部社員)
〇中間共有会までの取組み(契約社員チーム=疑問・意見を集約し業務リストを作成→全員参加の会議で業務改善/正社員チーム=業務の棚卸・リスト化で共有→やり方・業務体制を再検討し役割分担→業務を3つに大別)〇最終共有会までのアクション=業務の見直し等による集配計画の体制固め・業務分担等でスピード向上〇最終共有会までの取組み(契約社員チーム=①販売品交付方法の変更▼交付フローの見直しにより毎日30分間短縮②業務時間の削減▼削減・改善リスト作成により月104時間削減/正社員チーム=業務を3つに大別しタイムスケジュールを比較・共有時間をねん出)
▽生野局(嶋田裕美第二集配営業部課長・北村奈美郵便部社員)
〇片付け=デスク引き出し整理/集配事務室キャビネット整理→各パートの後ろに専用キャビネットを設置▼動線が大幅に短縮〇業務の共有化=①誰が何をやっているか②緊急時の対応③連休の取得の3つの課題を克服→ⅰ見える化を推進=正社員(業務の属人化解消)▼超勤時間月平均2時間削減ⅱ楽しむ=連休の取得・手紙振興(出前授業)〇働き方改革=仕事の仕方見直しプロジェクト発足(22班)
▽福島中央局(平原功樹第二集配営業部長・市川正幸第一集配営業部課長・本田順二第二集配営業部課長・須田智法第一集配営業部課長代理)
〇外務課長が抱えている仕事の問題を議論〇取組みスケジュールと役割分担を決定=取組み◎集配エリア調整▼1か月あたり10時間削減◎集配計画との業務共有▼同約7時間の削減◎点呼の共有▼一人当たり約5分間の削減◎車両の一元化と共有▼意識の向上〇集荷センターの点呼の改善◎定例ミーティング活用▼繁忙期スタートの11月をめどに応援体制構築〇車両稼働ボードの活用(車両一元化の代替案)
▽泉南局(上野好美総務部主任・中野幸二郎郵便部課長代理)
〇毎週金曜日にカエル会議実施→アクションプラン策定①班ミーティング②チーム対抗戦③元気なあいさつ・会話④知りたい仕事書き出し・グループごと研修◎付箋とボードを活用した班ミーティング(かもめ~るの班目標達成を目指す)=自分の意見が活かされる喜びや責任感を班全体に→試行錯誤の結果、班内に意識の変化▼かもめ~る販売実績が対前年比で72・4%増に◎チーム対抗戦の実施(誤配対策)=誤配件数がもっとも少ない班を推賞▼対抗戦実施前比80%減
▽利府局(小熊陽一局長・秋元良介課長代理)・窓口チーム目標「全員が同じ目標を持ち、全員が何でもでき 阿吽の呼吸で連携を取ることで すべての目標を達成するチーム」
〇カエル会議の実施(全員による意見出し・総意)→課題の洗い出し①整理整頓②事務分担に偏り③超過勤務が多い④営業目標未達がある◎整理整頓=事務室・倉庫の見取り図作成/退社時のカウンター上の整理整頓など◎事務分担に偏り=事務分担を明確化▼事務処理スムーズに◎超過勤務が多い▼半年で約60時間削減◎営業目標未達=カエル会議で話し合いと深掘り▼成果がん保険=目標達成/物販=ロビーセールス《カボスドリンク》3か月で460パック完売
 各局の発表後には、出席者からの質疑に加え、外部コンサルタントと本社幹部による講評が行われた。泉南局の発表に対して樋口専務執行役員は「自分のアイデアが会社の中に取り入れられ、生産性アップが実感されれば、一人ひとりの充実感や達成感は間違いなく得られる」と評した。
 利府局の講評の中で大澤専務執行役員は「営業現場で困っていることを見つけて本社、支社がサポートし、現場をしっかり支援していく体制を構築しているところだ」と述べた。
 後半のパネルディスカッションでは、若松忠秀人事部ダイバーシティ推進室係長を進行役として、2017年度モデル局の豊島局から五十嵐浩二郵便部長、川崎大師局から小野沢剛局長を迎えた。
 「チームが得たもの」という若松係長の問いに対して、小野沢局長は「とりあえずやってみようという雰囲気があり、良い循環が生まれている」と手ごたえを語った。五十嵐部長は「社員が自発的に発言する姿勢になり、社員の意識は確実に変わった」と評価した。
 最後に諫山副社長は「仕事が楽しいと思える瞬間を増やしていけば仕事が楽しくなっていくのだと思う。仕事を見直す努力の先に仕事を楽しくするというものがあって欲しい」と要望。「仕事はやらされるのではなく自発的、自主的に行うもの。各職場で自発的、自主的な取組みが行われ、それが試行錯誤を経た上で、職場に一番合った手法を編み出せば、社員の皆さんが仕事を楽しいと思えるようになる。そして余暇が充実して、業務の効率化や営業推進が図れるという一連の流れが各職場で生まれることが重要になると考えている」と締めくくった。


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