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第6959号

【主な記事】

交付金、算定方法決まる
[総務省令改正]郵便局ネットを維持


 総務省の第11回情報通信行政・郵政行政審議会(多賀谷一照会長)の総会が10月19日に開かれ、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律(交付金・拠出金制度)に関する省令の改正は答申案どおり了承された。日本郵便と金融2社間の手数料のうち、ユニバーサルサービスにかかる費用を算定するとともに、その費用分は非課税になるというもの。パブリックコメントで日本郵政は「コストは実費にしてきた実態があり、配慮してもらいたい」との意見を出したが、総務省は「最小限規模の不可欠な費用で実際の費用とは異なる」として修正はしない方針を示した。

 交付金・拠出金の算定方法については、全国の郵便局で「郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済並びに簡易に利用できる生命保険の役務が利用できるようにすることを確保するために不可欠な費用」とし、「人件費」「賃借料、工事費その他の郵便局の維持に要する費用」「現金の輸送・管理に要する費用」「固定資産税・事業所税」に加え、「簡易郵便局の費用で、郵政事業のユニバーサルサービスが利用できるようにすることを確保するための最小限度の委託に要する費用」としている。
 これに郵便貯金・簡易生命保険管理機構の事務経費を加える。窓口業務において見込まれる郵便局ネットワークの利用度合に応じて日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命にて按分される。ゆうちょ銀行、かんぽ生命の按分が拠出金となる。
 同省令の改正に当たり、総務省では8月25日から9月25日まで、広く意見を募集した。その結果、全国郵便局長会、日本郵政、日本郵政グループ労働組合、簡易郵便局受託者から意見が寄せられた。
 全国郵便局長会と日本郵政グループ労働組合は、それぞれ「郵政事業のユニバーサルサービスの安定的な提供の確保を図る観点から、時宜を得ている」「多角的な視点から郵便局を構成している費用を分析されており、日本郵便に係る按分額を控除した額を交付金とする考え方は、郵便局で働く労働者の立場からも納得性が得られる」という理由から賛成意見を出した。
 日本郵政は「10年間にわたって委託手数料の算出の過程において、郵便局ネットワークを維持するために、実際に係る費用を順次見直してきた実績があり、それを勘案して、各事業の負担割合にも配慮すること等により、結果的にユニバーサルサービス提供の確保という制度の趣旨にそぐわないものとなることのないよう配慮してもらいたい」と要望した。
 さらに「交付金・拠出金の具体的な算定方法は、社会経済情勢の変化に応じて、柔軟に変更できるようにすることによって、将来にわたって日本郵政グループがユニバーサルサービス提供を確保するための基礎的な費用を賄えるようにしてもらいたい」という内容の意見。
 簡易郵便局受託者は、ユニバーサルサービスのためにATMの設置を求めるとともに「簡易局の実態を把握して、利用者も受託者も納得できる結果を導き出してほしい」と要望した。
 日本郵政の意見に対して総務省は「交付金・拠出金はグループ内の委託手数料の算定過程で算出されてきた郵便局ネットワークを維持するために係る実際の費用とは異なる。郵便局ネットワークを最小限度の規模の郵便局により構成するものとした場合の費用の額、および簡易郵便局への最小限度の委託に要する費用の額をユニバーサルサービス確保の不可欠な費用とし、業務ごとに見込まれる利用者の度合等により按分して算定する」との考えを示した。
 また「社会経済情勢の変化については、必要があれば措置が講じられるものと考える」としている。
 総会で総務省は「修正は不要」との意見を述べた。委員らからは意見や質問はなく、答申案は全員一致で承認された。 
 この後、多賀谷会長から佐藤ゆかり副大臣に答申が手渡された。佐藤副大臣は「交付金制度を適切に運営し、郵政事業のユニバーサルサービスの安定確保に努めたい」とあいさつした。
 12月1日付で改正省令が施行され、これに基づき機構が交付金・拠出金の金額を算定する。総務省の認可を経て、来年4月からゆうちょ銀行、かんぽ生命から拠出金が徴収され、日本郵便に交付されることになる。


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