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第6953号

【主な記事】

新時代のサービス検討
[郵便局活性化委]安定提供を

 情報通信審議会・郵政行政部会・第9回郵便局活性化委員会(米山高生主査=東京経済大学経営学部教授)が8月30日に開かれ、郵便サービスの安定的な提供に向けた議論が始まった。社会環境や利用者ニーズの変化、働き方改革が進む中で、郵便サービスの在り方を検討する。

 同委員会では、まず小林史明総務大臣政務官が「郵便を取り巻く環境やユーザーの郵便サービスへのニーズも変わっている。求められているニーズは何なのか。事業の運営状況、人材の確保を含めて、持続可能なのかを早目に考えておきたい。トータルで考えて、新しい時代の郵便サービスを作っていくため、ご協力いただきたい」とあいさつ。
 委員会では今後、日本郵便の具体的な取組みや提案、有識者・利用者・現場で働く人からのヒアリング、諸外国の状況調査などを基に議論を進める。
 また、日本郵便に対する利用者ニーズの変化の状況や、利用者ニーズの変化を踏まえたサービスや取組み、安定的な郵便サービスの提供、日本郵便社員の働き方に合わせた郵便サービスの在り方をポイントに検討する。
 この日は日本郵便の諫山親執行役員副社長が「郵便事業の現状について」資料を基に説明した。 主な内容は、事業の状況や郵便ニーズの変化、現場からの意見、新サービスや機械化などによる経営努力、郵便事業の課題など。
 この中で日本郵便は、郵便事業の課題として▽郵便事業は週末や深夜労働に依存する労働環境で、働き方改革が求められており、改善が必要▽郵便物は減少し売上は減っているが、費用は固定的性質が強いことから減少しにくく、増収努力や効率化などによりかろうじて黒字を維持している状況▽郵便物の減少は今後も続くことは必至で、一方で人件費の増加も続くことが見込まれることを挙げた。
 課題解決には「約20万人の社員の労働環境の改善を進めるとともに、利用者ニーズにも留意しつつ郵便サービスを将来にわたって安定的に提供するための方策の検討が急務」と結論付けた。
 労働環境については、郵便・荷物の配達が土曜日もあるため、14万6000人が土曜勤務をしている現状や内務勤務者の56%が夜勤・深夜勤務をしている実態を報告。働き方改革が急務であることを訴えた。
 事務局からも「社員の福祉の向上を進め、魅力ある職場づくりをすることは、安定的な雇用の維持につながる。日本郵便のような代表的企業が積極的に取り組むことは地元をはじめ、日本全体の貴重な労働力が活性化する」と働き方改革への取組みを求める発言があった。
 今後のサービス改善として、2020年までには窓口でクレジットカードや電子マネーが使えるようにすることや、返信依頼郵便については来年1月から本格サービスに移行することも明らかにした。


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