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第6946号

【主な記事】

券売機で現金引出し
東急とゆうちょ銀行、横浜銀行


 ゆうちょ銀行と横浜銀行は来年春を目途に東急沿線の駅の券売機を活用したキャッシュアウトサービスを開始する。日本初の試みで、両行と東急電鉄、GMOペイメントゲートウェイ間で7月13日に基本合意した。キャッシュレス化は進んでいるものの、現金のニーズが高い現状に対応したサービス。サービス開始に向けて実証実験を行う。
 同サービスは、身近な駅とスマートフォン(スマホ)、電子マネーを組み合わせたもので、スマホに引出し情報を載せたQRコードを送り、画面を駅の券売機にかざすと現金が引き出せる。東急電鉄の社内事業家育成制度で、駅機能の向上の一環として提案された。
 東急電鉄には、QRコード読み取り機能の付いた新型の券売機が317台(2015年に導入/世田谷線にはない)が設置されており、新サービス開始に当たっては、ソフトウェアの変更だけで済むという。
 GMOペイメントゲートウェイは銀行口座と連動したスマホ決済システム「銀行Pay」を提供しており、ゆうちょ銀行は2019年2月を目途にスマホ決済サービス「ゆうちょPay」を開始予定。横浜銀行は昨年7月からスマホ決済サービス「はまPay」を提供している。券売機での新サービスはこれを活用する。
 利用は商店街での買い物や昼食、宴会で、現金が必要になったケースを想定している。横浜銀行の前迫静美常務執行役員は「はまPayを普及させる中でわかったことだが、日本は現金決済が多く、手元に現金がないと不安で不便という文化が根強くある」と開発に至った理由を話す。
 同サービス発表記者会見で、ゆうちょ銀行の村島正浩専務執行役は「ゆうちょPayをより便利に活用してもらうサービスメニューの一つと考えている。4社でこのサービスを大いに盛り上げて、1人でも多くのお客さまに新しい便利を使ってもらいたい」と抱負を述べている。
 前迫常務執行役員は「キャッレス決済の環境を整える一方で、スマホを使い手軽に現金を引き出せる環境を提供する。新しいテクノロジーを迅速に地域社会に。お客さまの利便性向上のためにタッグを組んだ」。東急電鉄の髙橋和夫社長は「生活導線上にある駅の機能を向上させ、更なるイノベーションやクリエーションを生み、便利で実用性の高いビジネスになると期待している」とあいさつした。
 今後の展開についてサービスを提案した東急電鉄の八巻善行イノベーション推進課プロジェクトリーダーは「他の事業者にも使いやすいサービスに仕上げて、他の鉄道事業者にも参画してもらいたい」と輪を広げる方針だ。GMOペイメントゲートウェイも銀行Payの営業を積極的に行い、利用者を増やす。
 実証実験では、利用状況や引出し金額上限、セキュリティ、スムーズな引出がなされているかなどについて検証する。
 利用者の手数料について前迫常務執行役員は「コンビニのATMと比較して割高感のないようにしたい」と有料でのサービスを想定。「1駅・1日平均の利用件数・100人」を目標にしている。
 キャッシュアウトサービスは銀行法施行規則の改正により昨年4月から条件付き(上限金額を定めるなど)で認められた。イオンは4月からJデビットサービスを使ったレジでのキャッシュアウトサービスを一部の店舗で実施している。


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