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　総務省の情報通信審議会（内山田竹志会長）は7月10日、「少子高齢化、人口減少社会等における郵便局の役割と利用者目線に立った郵便局の利便性向上策」の答申を、野田聖子大臣に提出した。答申を受けて野田大臣は「郵便局の利便性向上への取組みを具体的かつ明確にしていただいた。日本郵便にはしっかり取り組んでもらいたい。総務省としても一体となり関係者と調整を図りながら必要な取組みを行いたい」と述べた。答申にある実証事業については来年度の予算化を検討している。

実証事業の予算化を検討

　答申は情報通信審議会郵政政策部会（第22回）の終了後、米山高生・部会長から野田大臣に手渡された。
　野田大臣は「地方の自立をサポートするために郵便局は新たな顔を作っていかなければならない。自治体との連携・協働が今から求められている。答申を活用していただく関係ができればいいと思う」と述べた。
　また「昨年、総務大臣になり、地方に行くほど魅力が増す郵便局の存在と、力をなくしていく地方があり、総務省内でも噛み合っていない不思議な気持ちになっていた。地方の担当課に率直に聞いたところ、地方で取り組む人たちはこれから大変になってくる。これまでは郵便局が何らかの役割を果たせるという議論がなされてこなかったが、どうにかいい形でコンセンサスを取っていけないかと始めた初の試み」と振り返る。
　情報通信審議会では、2月に野田大臣から諮問を受け、郵政政策部会（米山高生・部会長）に郵便局活性化委員会（米山高生・主査）を設置。8回にわたり議論やヒアリングを重ねてきた。短期間で答申を取りまとめたことについて米山部会長は「委員会では幅広く各方面から意見をいただいた。事務局に感謝したい。期間は短かったが、会議はインテンシブにやってきた。具体的な議論が大事だと思う。今後も取組みによっては郵便局活性化委員会で引き続き検討することはある」と同日開かれた会見で述べている。
　郵政政策部会では答申案を6月12日から25日まで意見募集を行った。40の個人や団体から68件の意見が寄せられた。概ね賛成の意見が大半で、特に地方自治体からは「郵便局と連携し、自治体事務の委託や住民生活の拠点、地域の見守りなどを行いたい」と郵便局活用に向けた積極的な意見が多く寄せられた。
　全国郵便局長会（青木進会長）からは「地域に密着した『安心、安全、交流の拠点』である郵便局を『ワンストップで多様なサービスを提供するプラットホーム』として活用願いたい。過疎地で撤退が進む支所の業務などを積極的に受託したい。法改正が必要な事柄については、早急な対応をお願いしたい」との意見が提出された。
　支所の撤退により自治体事務を郵便局に現行法でできる範囲で委託している長野県泰阜村は「このままでは村民の生活機能低下が加速してしまう。自治体業務を郵便局に移管するための法整備を鋭意検討し、実現に向けて措置対応してもらいたい」との法整備を切に要望する意見。
　寄せられた意見について米山部会長は「自治体からの期待が強いと感じた。期待が大きすぎることもあり、日本郵便は無理のない形で取り組むことが大事。答申には郵便局の自主的な取組みを踏まえ、地方の実態の違いや多様性を含めて考えることが書いてある。日本郵便には賛成意見を追い風に取り組んでいってもらいたいと思う」と感想を述べた。
　答申にある実証事業「郵便局×地方自治体等×ICT」について、総務省では来年度の予算化を検討している。実証事業は自治体のニーズが高く郵便局の利便性が高まる事業について、ICTを活用することで効率的、効果的になるようにする。また、その結果をメニュー化し全国展開するというものだ。
【全国郵便局長会の意見（本文以外の意見）】▽ユニバーサルサービスに加え、利便性向上のために必要なコスト負担の在り方についても適切な措置を早急に講じていただくよう希望▽有人国境離島の郵便局については、国策で直営郵便局として設置することは重要な課題。
【東京地方郵便局長会の意見】▽東京都は多くの待機児童を抱えており、郵便局における保育機能の充実の方向に賛成。自治体との協議会を設け積極的に取り組めるよう総務省からも指導していただきたい▽集合住宅などの住民が多くいる地域に「はこぽす」の設置・拡大を推進していくべき。
【日本郵政グループ労働組合】「ユニバーサルサービスの提供に支障がなく持続可能なものとして実施できるようにするためのコスト負担の在り方が重要」という基本的な考え方に立って検討いただいたのは重要なポイントと捉えている。
【意見を提出した自治体】
山形県新庄市、福井県永平寺町、石川県加賀市、福岡県小竹町、福岡県嘉麻市、青森県おいらせ町、長野県泰阜村、兵庫県西脇市、北アルプス広域連合、鳥取県八頭町、鳥取県若桜町、長野県小谷村、山梨県早川町