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第6943号

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[株主総会]郵便・物流で質問
日本郵政 長門社長 企業価値の向上を目指す

 日本郵政の長門正貢社長は6月26日、定例会見で株主総会や海外IR出張の印象として「郵便・物流に関する質問が集中した。効率的な経営に努め、企業価値の向上を目指したい」と述べた。また、ゆうパックのサービス改善やお中元期の人手は確保できたことなどについて語った。

 長門社長は冒頭、大阪府北部の地震での被災者にお見舞いの言葉を述べた。6月18、19、20日の株主総会について「かんぽ生命は284名、ゆうちょ銀行が664名、日本郵政は1382名の参加。昨年と比べてかんぽ生命が65名増、ゆうちょ銀行は57名増、日本郵政は544名増。株主からの質問は株価についてが多かったと思う。もっと選択と集中、効率的な経営をとの声だと謙虚に受け止め、企業価値の向上を目指したい」との感想を語った。
 「同一労働同一賃金などの働き方改革に関する質問もあった。株主は大事なステークホルダーだが、社員の働きがあってこそで、真正面から取り組みたいと補足した」と強調した。
 3年間の新中期経営計画については、海外の投資家に説明しようとIR出張に行ったことを報告したが、「中経は保守的、地味でないかとの指摘があった。例えば郵便だが3年間でマイナス3.6%、宅配便でカバーすると言うが昨年は7億個が8.8億個と26%増えたが、これから3年間で19%しか増えないなど、株主総会と同様に郵便・物流事業についての質問が集中した」と述べた。
 「ゆうちょ銀行、かんぽ生命は低金利下で苦戦をするのは想像できるが、郵便・物流は大きな収益をあげ、今後も期待できるということで質問が集中した。“物流維新”との印象を持った」と語った。
 また「当然だが、株主にリターンが上がってくるのか、仮にゆうちょ銀行、かんぽ生命の株を売った場合、その使い方や株主還元について聞かれた」とし、「株主総会と同様、海外からの株主の声も真摯に聞いて経営にプラスにしていきたい」と述べた。
 ゆうパックのサービス改善、ゆうメール基本運賃などの改定について明らかにし、「ゆうパックについては“身近で差し出し、身近で受け取り”を基本コンセプトに、3月に第1弾として初回配達前に受取り日時の指定、勤務先への無料配送、全国の郵便局で受取りができるサービスを開始した。今回はその第2弾として初回受取り場所を新たにコンビニ、はこぽすが加わる。このほか配達希望時間帯に19時~21時を追加し7区分にする」と説明した。
 さらに「秋ごろにWeb決済型ゆうパック、来年春ごろには配達予告メールの拡充や指定配達先サービスを開始する予定。今後もきめ細かくサービスを提供することで、より身近さを感じていただけるよう取り組む」とした。
 7月からのお中元の業務運行については「お歳暮時期と並んで最繁忙期の一つ。12月は割増し、お中元は2~3割は増える。eコマースの活況、宅配他社の影響などもあり、ゆうパックは昨年9月くらいから好調で、対前年で2割を超えるような高い伸びを示している。その傾向は今年度になっても変わりなく続いている」と述べた。
 そして「労働需給がひっ迫する中での厳しい状況と考えており、要員の確保に努めた。ほぼ確保できたと考えている。社員一丸となって気を引き締めて頑張りたいと思う」とした。「大口のお客さまには差出し時期について調整させていただく場合もある」と理解を求めた。
 また、かんぽ生命のご契約のしおり約款のWeb閲覧数に応じた環境保護団体への寄付の実施について説明。「紙の量を削減できるということから、Web閲覧での確認を利用いただいたお客さまの数に応じて、森林の育成に取り組む環境保護団体への寄付を行うが、今回の寄付は2016年10月から2017年9月までの1年間のデータに基づき、総額で3300万円を寄付」することを明らかにした。
 このほか、ゆうちょ銀行の限度額について「マイナス金利で集めれば集めるほど損をする。十分使い切る運用方法がないという時に、金融にとって大事なテーマなのか。郵便局においても貯蓄より投信などへのインセンティブが圧倒的に厚い。フロントも十分承知して貯金業務に対峙している」とした。
 「日本の金融テーマは(限度額が)主役ではなく、例えばアマゾンが金融機能を持つのではとか、フィンテックになってくると金融機関のウエイトが薄くなるのではないかとか、いろんなテーマがある。おそらくそちらがメインテーマではないか。限度額の報道は少し熱すぎではないか」との感想を述べた。


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