「通信文化新報」特集記事詳細

 年/月

第6941号

【主な記事】

持続的な地域運営組織を
総務省が研究会 郵便局と連携も

 総務省の「地域運営組織の形成及び持続的な運営に関する研究会」(小田切徳美・座長=明治大学農学部教授)が6月1日に発足した。人口減少や過疎化で生活機能が低下する地域が増えている中、地域の課題を解決するための組織・団体を持続的に運営していくための調査・研究を行う。地域運営組織の連携先として郵便局を同調査研究の対象とする予定。
NPOの代表者ら10人。地域運営組織は自治会や町内会、PTAなど地域で活動する団体や個人が集まったもので、まちづくり協議会やコミュニティ協議会などの名称で活動している。
 地域運営組織は、買い物難民やみまもりなど、地域の暮らしの中で発生する課題を住民自らが解決するための組織として立ち上げられ、全国で4177(昨年度の調査)あるが、担い手や活動資金不足などの課題があり、存続が危ぶまれている組織もある。
 「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(昨年12月に閣議決定)では「2020年までに地域運営組織の形成数5000団体」を目指しているが、立ち上げの一方で解散する組織や実質的な活動ができていない組織もある。
 10年前に立ち上げたものの、その時のメンバーがほぼ入れ替わることなく活動した結果、高齢化してしまった組織や活力を失っている組織もあるという。また、活動資金の多くは、地方自治体からの補助金に頼っており、自治体の持続的な経済支援なしでは活動の継続が難しいのが現状だ。
 総務省地域力創生グループ地域振興室が3月に発表した研究調査によると、同組織が継続して活動を続けていくための支援策(複数選択)として、81.5%が「活動の担い手となる人材不足」、58%が「リーダーとなる人材不足」、47.8%が「活動資金不足」を挙げている。
 同研究会では組織を持続・発展させていくにはどのようにすればよいのかについて、成功事例などを調査し、段階的発展のモデル化を模索する。
 成功事例については、現地視察を行い、持続させるために直面した課題や課題克服のために工夫したことなどを調査する。昨年に続き地方自治体や地域運営組織にアンケート調査を実施する。
 地域運営組織には「事務局運営で困っていること」や「活動収支額・人件費」「主な収入源」「活動拠点施設」「持続的な活動に向けた課題」「連携している組織の数や具体的組織」(新規項目)「リーダー交代の回数」(同)「後継者の確保・育成」(同)などについて質問する。
 小田切座長は、地域運営組織の連携先についても同調査・研究テーマにしており、「連携先として、農協の話があったが郵便局という話も出てきている。今回の調査研究は連携組織も含めた全体像まで考えていきたい」と話している。


>戻る

ページTOPへ