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第6941号

【主な記事】

地域の活性化で連携
日本郵便 JR東日本と協定


 日本郵便は6月12日、JR東日本(深澤祐二社長)と「地域・社会の活性化に関する協定」を締結した。両社が持つネットワークを生かし、地方活性化に貢献するのが目的。郵便局の物流と新幹線を組み合わせて地方の朝採れ野菜を東京で販売することやJR駅業務の郵便局への委託、駅の商業施設に日本郵便の金融コンサルティング施設を開設するなど、お互いのリソースを生かしながら、地方が便利で元気になる事業を展開していく。

朝採れ野菜を新幹線駅へ
駅の業務を郵便局で受託
JR施設で金融コンサル

 協定に基づいて両社は「郵便局と駅機能の連携」「両社のネットワークを活用した物流」「観光振興などでの地域活性化」などで連携する。
 日本郵便とJR東日本は、拠点の多くを地方に置いており、地方が疲弊し人口が減れば、両社ともビジネスが縮小してしまう。
 両社は公共性が高い事業を行っており、赤字でも撤退することは難しく、地方活性化は共通した重要課題でもある。
 会見で、日本郵便の諫山親執行役員副社長は「両社のネットワークや人的資源を組み合わせ活用することで、一層地域社会の活性化が図れると確信している」とあいさつ。JR東日本の石川明彦常務も「“地域に生きる”を経営のコンセプトにしている。郵便局と鉄道のネットワークを生かし、地域活性化に貢献していきたい」と述べた。
 郵便と鉄道ネットワークを組み合わせた事業としては、仙台などの朝採れ野菜を新幹線で輸送し、東京駅で販売するJRの事業「朝採れ新幹線マルシェ」で郵便局は地方の新幹線駅までの配送を担う。
 現在は生産者が新幹線の駅まで配達しなければならないが、日本郵便の物流ネットワークを使うことで、生産者は近くの郵便局に運ぶだけでよくなる。JR東日本では「輸送の負担が軽くなることで参加できる生産者が増えるのではないか」とみている。
 同販売は7月から東京駅の「動輪広場」(丸の内地下・改札外)で不定期に開催している。これまでに山形のサクランボや福島のキュウリなどを販売した。この事業が実施できるのは新幹線の始発駅に限られ、日本郵便とのジョイントは秋をめどにまずは仙台を予定している。
 日本郵便はJR立川駅に隣接する商業施設「エキュート立川」(JR東日本グループが運営)に金融コンサルティング専用店舗を開設する。資産運用や金融相談、金融関連のコンサルティング業務を行う。
 ゆうちょ銀行やかんぽ生命の商品、日本郵便と提携している企業の金融・保険商品は扱うが、郵便窓口は設置しない。シェアオフィスやはこぽすの設置も検討している。
 諌山副社長は「若年層や家族連れなど新たな顧客層の利用が見込める。営業時間もニーズに応じて決め、郵便局の営業時間にこだわらない」と新しいタイプの店舗であることを強調した。
 設置の時期は準備が整い次第で、今年度中となる。はこぽすは差出と受取の両方ができるものの導入も検討している。JR立川駅の乗降客は1日に33万人。
 JR東日本は、駅の利用者が減少し、サービスの維持が難しくなった所を対象に駅業務を郵便局に委託する。
 同委託はJR東日本からの要請で、石川常務は「これから話をするところで具体的なイメージはできていないが、郵便局舎の移転や建て替え、駅舎の建て替えに合わせて、郵便と駅の業務を一体で行ってもらいたい。自治体の協力が得られるところは行政機能も取り入れて、地域の中で魅力を高められるところを検討している。そこがエリアの拠点になればと考えている」と説明する。
 観光の振興も地方創生の課題の一つで、石川常務は「共同で観光のプロモーションや情報発信ができないかを考えている。郵便局のパンフレットラックやデジタルサイネージを活用し情報発信ができるのではないか」と話す。


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