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第6935号

【主な記事】

日本郵政グループ新社屋
本社機能を集約
8月から移転開始


 日本郵政グループ各社は、本社機能を集約・移転する。移転先は、旧逓信ビル・旧東京国際郵便局などがあった跡地の再開発に伴い、建設中の大手町プレイスのウエストタワー(東京都千代田区大手町二丁目1番17から34)の3階と6階から24階。東京メトロ大手町駅A5出口から徒歩1分、JR東京駅丸の内北口徒歩7分と交通アクセスが便利な立地にある。大手町プレイスの竣工予定は8月で、グループ各社は同月末から順次移転し11月末までに完了する見込みだ。

 郵政省時代の1969年に現在の場所(千代田区霞が関)に庁舎を構えて以来、半世紀ぶりの移転となる。本社機能の集約により効率化を図るとともに、最新ビルによるBCP(事業継続計画)対応の強化に加え、グループシナジーの発揮を目指す。
 4月22日の定例会見で、日本郵政の長門正貢社長は「今後チームJPとしてグループ一丸となって移転を実現することで、グループ各社が連携しシナジーを発揮することによって、グループが提供するサービスやお客さま利便性の向上、更なるグループ企業価値の向上を図っていきたいと考えている」と述べた。
 現在のグループ本社機能の拠点は、日本郵政ビル(千代田区霞が関)に日本郵政を含めたグループ4社、飯野ビル(同内幸町)にゆうちょ銀行・かんぽ生命、日土地ビル(同霞が関)に日本郵政・かんぽ生命、飯倉ビル(港区麻布台)に日本郵便、虎ノ門三丁目ビル(同虎ノ門)にゆうちょ銀行となっているうえ、その他3拠点に分散している。
 「グループ本社機能が複数の周辺ビルに分散していたため、業務遂行上、移動やコミュニケーション面でのロスがあったが、大手町プレイス ウエストタワーに集約することによって効率化を図る」(長門社長)。ウエストタワー完成後に日本郵政が8月末から9月中旬頃、日本郵便が9月中旬頃から10月初旬頃、ゆうちょ銀行、かんぽ生命が11月中に移転する。
 グループシナジー発揮の一環として新ビル内にワークプレイスを構築する。グループ社員の横断的なコラボレーションスペースの設置や各種イベント・打ち合わせなどでも活用できる食堂(14階)を整備するほか、大規模な会議が開催できる大会議室を設置。グループ各社およびフロントラインとの連携やコラボレーションを促す場を創り出していく。

 保育所も設置
 ダイバーシティやワークライフバランス実現に向けた保育所(B棟2階)はじめ、さまざまな機能を有しグループ社員の活動を支援するシェアードサービスセンターやコンビニの設置などによって、グループ社員の満足度を高める業務支援・福利厚生施設を実現する。保育所は社員だけではなく、地域に開かれたものとする予定。
 耐震性能や自立性の高い電源導入、危機管理対応など、最新ビルの機能を活かしBCP(事業継続計画)対応の強化も図る。地震時の柱や梁などの構造体の損傷を抑える耐震安全性を確保。震度6強から7程度の大地震に対しても構造骨組みにはほとんど変形が残らずに構造強度に影響が出ない設計とした。
 停電時に72時間稼働する非常用発電機に加え、ガスコージェネレーションシステム(熱電併給設備)によって非常用電源のバックアップを多重化し、災害時の業務継続を可能とする。これに加えてグループ独自に非常用発電機を用意して、一層の安定性を確保。必要な電力量の80%をカバーする。
 このほかにも、グループでの危機管理対応を行うために常設の危機管理委員会室を用意する。
 大手町プレイスの敷地面積は1万9900平方メートル、延べ面積35万4000平方メートル(ウエストタワーは約20万2000平方メートル)。ウエストタワーは地上35階で地下3階、建物の高さ178メートル。
▼低層部=郵便局、コンビニ、保育所、店舗、貸会議室▼3階=グループ共用ゾーン(オフィスロビー、社外共用応接室・会議室、入札室、記者クラブなど)▼6階~9階=日本郵便▼10階~13階=かんぽ生命▼14・15階=グループ共用ゾーン(食堂、社内外共用会議室、休養室、健康管理センター、コンビニ、サービスセンターなど)▼16・17階=日本郵政▼18階~21階=ゆうちょ銀行▼22階=グループ共用ゾーン(社内外大会議室、社内外共用会議室)▼23階=ゆうちょ銀行▼24階=日本郵政

「前島ホール」を設置
日本郵政グループ新社屋に

 日本郵政グループの本社機能が集約・移転される「大手町プレイス ウエストタワー」の22階に、近代郵便制度の創始者である前島密翁の姓を冠した会議室「前島ホール」が開設されることが分かった。グループ最大の収容人員500人を誇る会議室で、床面積はおよそ600平方メートルに及ぶ。グループ内外の情報交流の場として活用していく考え。
 現本社ビルでは、大きな会議を行うための部屋がないことから、新社屋には、郵便局長や店長の会議など、大人数での催しにふさわしい会議室が必要と判断。大ホールの設置が決まった。新ビルの22階は、グループ共用ゾーンとされており、前島ホールは社内外大会議室として位置付けられている。外部のお客さま等を招き、サービスや商品の説明、あるいは展示会なども行える施設になっている。2分割あるいは3分割して使用することが可能。記者会見場として、あるいは社内・社外への情報発信の場として利用していく。
 昨年の10月2日から本社の社員を対象にネーミングの公募を開始。約1か月間の期間を設けたうえで、新ビルの大会議室のネーミングを募集した。最終的には、大きく分けてコンセプト、郵政関連の固有名詞、立地(大手町)の三つの要素を意識した複数の有力なネーミングが集まった。
 一番大きな会議室には、歴史を重んじ先達の偉業を把握したうえで、日々の業務に取り組むべきという考えを踏まえた結果、最終的には「前島ホール」の名前が冠せられることに決まった。今年8月の竣工時には「前島ホール」というネーミングプレートが設置されることになる。
 来年2019年4月には没後100周年を迎える前島密翁の偉業を評価する機運が高まる中、時宜に適ったネーミングとなった。


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