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第6930号

【主な記事】

携帯電話から東京五輪のメダル
郵便局に回収ボックス


携帯電話から東京五輪のメダル
郵便局に回収ボックス

 日本郵便は「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」〈主催=公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(東京2020組織委員会)〉に賛同し、3月28日から全国2954の郵便局に使用済みの携帯電話回収ボックスを設置した。東京中央郵便局で伊藤忠彦環境副大臣、柘植芳文参議院環境委員長、日本郵便の横山邦男社長、東京2020組織委員会の村里敏彰国際局長、一般財団法人日本環境衛生センターの南川秀樹理事長、シドニーオリンピック競泳銅メダリストの田中雅美さんらが出席、郵便局に回収ボックス設置のキックオフイベントが行われた。

柘植参議院環境委員長 国民共有のイベントに

 環境省が進める「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」は、2020年に東京で開催されるオリンピック・パラリンピックでの金・銀・銅メダル約5000個を、日本全国の使用済み携帯電話など小型家電から抽出したリサイクル金属から製作する国民参画型の計画。
 日本郵便が協力、全国の郵便局に回収ボックスを設置するが、初日となる東京中央郵便局でのキックオフイベントは、国民認知度を高め、回収量の増加を図ることを目的として行われた。
 環境省の伊藤副大臣が「今日は日本の郵便事業の拠点となる東京中央局を借りた。全国津々浦々の皆さんの協力をいただき、東京オリンピック・パラリンピックのメダルを小型家電のリサイクルで全部作り上げようというプロジェクト」と述べた。
 そして「実は日本全国で1年間に約65万トン、約840億円の小型家電の廃棄物が出るといわれている。それを集めて加工し、メダルを100%リサイクル金属で作るのは、世界のオリンピック・パラリンピック史上初めてで、日本が実証することになる。幅広い世代、家族みんなが授賞式を見た時に『あのメダルに自分たちの出した小型家電が入っている』『自分も大会に参加した』と共有できる。多くの方に郵便局を通じて参加していただきたい」とあいさつした。
 柘植参議院環境委員長は「2020年オリンピック・パラリンピックは東京のものだけではなく、日本全国の皆さんが共有できるイベントにしたいという思いが強くある。そのためには全国津々浦々にある郵便局を介して貢献できれば一番良い」と強調。
 「全国の窓口に回収ボックスを置いて、どなたでも東京オリンピック・パラリンピックに参加できるチャンスを与えていただいた関係各所、日本郵便の横山社長の英断に心から感謝する。この機会を通じて、東京オリンピック・パラリンピックがますます一人ひとりのイベントとして盛り上がってくることを心から願っている」と意義を語った。
 日本郵便の横山社長は「日本郵便はオフィシャル郵便パートナーとして、今まで寄附金つき年賀はがきや、リオ・平昌両大会でのメダリストフレーム切手の発行など様々な取組みをしてきた。日本の先進技術を駆使して、使用済み携帯電話からメダルを製作するという史上初の取組みの趣旨に賛同し、昨年9月、使用済の業務用携帯電話約3万台を法人第1号として提供した」と述べた。
 「郵便局に回収ボックスを設置することで、身近なネットワークを利用して多くの方に手軽に参加していただく環境を提供できる機会が持てる。一つでも多くのメダルが完成するようプロジェクトの成功を大いに祈念している」とスピーチした。
 東京2020組織委員会の村里国際局長、日本環境衛生センターの南川理事長のあいさつに続き、シドニーオリンピック競泳銅メダリストの田中さんが、今回のプロジェクトについて「率直に素晴らしい取組みだと感じている。アスリートにとっては、獲得のために日々努力をし、それぞれのドラマ、人生がかかったものがメダル」と自身の銅メダルを披露した。
 会場からの拍手を受け、「日本全国から集まった声援、一人ひとりの思いが詰まったメダルを手にした選手たちにとって、感慨はまたひとしおではないか。オリンピック・パラリンピックの長い歴史で、素晴らしい取組みが日本で始まり、新たな伝説・歴史のスタートになるのは誇り」と語りかけた。
 伊藤副大臣から横山社長に回収ボックスの受け渡しが行われ、第1号として柘植環境委員長が田中さんと一緒に使用済み携帯電話を投函した。
 回収は設置局の営業時間内に限る。郵便局以外でも全国のNTTドコモショップとプロジェクト参加自治体などにも回収ボックスが設置されており、回収受付品目はそれぞれ異なる。いずれも設置期間(予定)は2019年3月末日までで、既定の回収数量に達した場合は短縮される。


 


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