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第6924号

【主な記事】

交付金制度は完成ではない
[柘植参院議員]ユニバ維持は国の責務

 2月12日に開かれた静岡県伊豆地区郵便局長会の通常総会で、柘植芳文参院議員(全特顧問)は来賓のあいさつで、交付金制度やゆうちょ銀行の限度額の引き上げについての取り組み状況などを語った。
《交付金制度》
 ユニバーサルサービスには多くのコストがかかる。全国どこでも同じ料金で同じサービスを提供しなければならないため、民間企業ではできない。そのことを国も分かって責務を課した。国が責任をもって課したことだから、法的に担保するのは大事。国はユニバーサルサービスコストを責任もって明示すべきだ。
 ユニバーサルサービスのコストを賄うには三つの方法がある。①日本郵便の企業努力で利益を上げる②サービスの利用者にも一定の負担をしてもらう③国が税制面でコストをみていく。日本郵便、利用者、国の3者が力を合わせることで、サービスをいつまでも続けていく。それが日本の社会づくりにとって、また国の政策でも大事なことだ。
 ユニバーサルサービスは政治が課した責任がある。政治が責任をもって安定した道を作っていかなければならない。ゆうちょ銀行、かんぽ生命の手数料を負担金として第三者機関に預けて、第三者機関から日本郵便に交付金として支払われる「交付金制度」の法案が議員立法で進んでいる。交付金には消費税がかからない。
 財務省も毎回、消費税の減免では困るのでどこかで終止符を打ちたい、ということでかなりの案があった中、野田聖子総務大臣と知恵を出し合ってできた制度だ。「これは素晴らしいから、ぜひ出しましょう」ということになり、同法案の話が急速に進んだ。
 消費税を支払う分を回すだけでは、ユニバーサルコストは賄えない。交付金制度は仕組みを作っただけで完成ではない。 ユニバーサルサービスの提供は、ネットワークを守り郵便局窓口を介して提供することが法律に書いてある。ネットワークの維持にはかなりのコストがかかる。現状は足りていないと思う。
 国が交付金としてコストを負担するという話も出したが、今回は枠組みだけ作ろうということになった。5月の福島県郡山市で開催される全特総会までには法案を成立させたい。
《ゆうちょ銀行の限度額の再引上げ》
 3年前に自民党の総務会で約束したことは「限度額を段階的に引き上げていくこと」。自民党には約束を守ってもらいたいと思っている。
 金額は1300万円がベストなのか、普通貯金の限度額を撤廃し管理を別にするのか。現場の郵便局、利用者にとって何がベストなのかを選択しながら協議していきたい。
 限度額については郵政民営化委員会(「郵政民営化の進捗状況の総合的な検証」)で、その方向性を出すため、最後の詰めをしている。1300万円で終わってしまっては、自民党との信頼関係が壊れてしまう。ただ、複合的な要素もはらんでいるので慎重に対応したい。全特と腹合わせをしている。
 郵便事業は法体系を直していない。そこから発生する様々な儲からない郵便事業をなお一層儲からなくしているのは事実。ユニバーサルサービスの水準が高いがゆえに経営を圧迫し、社員に負担をかけているという現状はいかがなものか。
 ユニバーサルサービスは現行でよいのか。この水準ならまだまだコストがかかる。郵便事業の現状を政治の場に出して、しっかり知ってもらうのが大切だ。
 自民党内では、郵便局は厚い信頼を得ている。郵政事業は政権与党の政治家から多くの信頼を得ている。しっかりと課題解決していきたい。


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