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第6919号

【主な記事】

全国郵便局長会「新春の集い」
郵便局ネットの価値向上

 全国郵便局長会(青木進会長)は「平成30年新春の集い」を1月10日、東京都千代田区のグランドアーク半蔵門で開催した。昨年に郵政民営化から10年、改正法成立による見直しから5年を経過して迎えた新年。青木会長は「全国郵便局長会は地域社会と郵政事業の発展を目的に活動してきたが、10年前の民営化によって地域との関係や郵便局の使い勝手が損なわれた。地域との関係の再構築や郵便局の利便性の向上への取組みを展開してきた」とし、「郵政事業のユニバーサルサービス確保、限度額の更なる見直しの実現、金融2社と日本郵便の取引に係る消費税については、税の減免ではない新たな措置が検討されており、一刻も早い実現を期待」と強調した。

 「新春の集い」には参議院の伊達忠一議長、自民党の二階俊博幹事長、公明党の山口那津男代表、自民党の郵便局の新たな利活用を推進する議員連盟(郵活連)の野田毅会長、公明党の郵政問題議員懇話会の斉藤鉄夫会長、参院自民党の橋本聖子会長、自民党の郵政事業に関する特命委員会の細田博之委員長、奥野信亮総務副大臣ら多くの国会議員、日本郵政の長門正貢社長、JP労組の増田光儀委員長、全国郵便局長会顧問の柘植芳文参院議員、徳茂雅之参院議員らが招かれた。
 青木会長は「全国郵便局長会は地域社会と郵政事業の発展を目的に組成され、地域社会に密着して活動してきた。10年前の郵政民営化によって、残念ながら地域との関係や郵便局の使い勝手が損なわれたことから、一貫して地域との関係の再構築や郵便局の利便性の向上に向けた取組みを展開してきた」とし、「郵政事業のユニバーサルサービス確保、限度額の更なる見直しの実現、また、金融2社と日本郵便の取引に係る消費税については、税の減免ではない新たな措置が検討されている。一刻も早い実現を期待する」と強調した。
 さらに「局長会では地域貢献活動に加え地方創生に取り組んでいる。地方創生は地方公共団体との連携強化、地域経済の活性化支援が二つの柱。こうした取組みを本格化してまいりたい」との考えを示し、「局長会では238の地区会がある。江戸時代には各藩が切磋琢磨したことが明治維新の原動力になった。これになぞらえ地区会長が創意工夫しつつ、競争しながら郵便局ネットワークの価値向上を目指していこう」と呼びかけた。
 伊達参院議長は「厳しい時代だが、郵政事業を一生懸命に支援したいと思っている。これから皆さまの力でますます発展することを期待」と祝辞を述べた。
 自民党の二階幹事長は「(郵政事業に関する)要望にもしっかりと応えていく。一致協力して、国全体においても郵便局の役割というものを認識して発展に力を尽くしたい」。
 公明党の山口代表は「国がユニバーサルサービスをお願いする以上、それに相応しい仕組みというものを発展させていかなければならない」。
 郵活連の野田会長は「郵政改革という言葉でどれだけ揺れ動いてきたか、その度に現場が混乱を重ねてきた。新たな時代を先取りしながら、国民的資産である郵便局ネットワークとユニバーサルサービスをしっかりと維持することだ。この義務を果たしていくためには経営基盤の強化だ。ネットワークを維持するために、消費税の減免ではなく交付金という形で通常国会での成立に鋭意努力する。これは必ず果たしていきたい」と語った。
 公明党郵政問題懇話会の斉藤会長は「改正民営化法が成立してまもなく6年になる。民営化法の改正という形はとったが、三事業一体のユニバーサルサービスを法律の中にしっかり位置づけるという面で抜本的に方向性を変えたと自負している。懇話会も自民党郵活連と一緒になって頑張ってまいる」。
 参院自民党の橋本会長は「2020年東京オリンピック・パラリンピックのスポンサーに郵政グループがなり、子どもたちに日本の素晴らしい手紙文化を郵便局長と共に力を合わせ呼び戻していきたい。子どもたちに選手への応援のメッセージのはがきを書いてもらう展開を準備してもらっている。コンクールもJOCが行う壮大なイベントを考えている」。
 郵政特命委の細田委員長は「ユニバーサルサービスの長期的なコストについて懸念しているが特命委員会で協議してきた。交付金を活用する案をまとめて政府に要請している。議員立法として通常国会で成立させたい」とあいさつした。
 奥野総務副大臣は「民営化をいま一度見直す姿勢があり、郵便局の役割も変化。みまもりサービスをはじめ、国民に民営化の成果を実感してもらえる利用者の目線に立った事業や利便性の向上に期待」と述べた。
 日本郵政の長門社長は「日本郵政グループは昨年に民営化10年を迎え、新たな中期経営計画を策定している。マイナス金利政策による未曾有の低金利、あるいは差し迫っている労働需給の問題やIoT、AIなど時代は音を立てて動く状況だが、日本郵政グループの大きな力は全国2万4000局のネットワークと働いている素晴らしい従業員。『チームJP』一丸となって困難を乗り切っていきたい。前向きな未来志向の元気の出る中期経営計画を練り上げていきたい」とあいさつした。
 JP労組の増田委員長は「日本郵政グループの最大の強みは郵便局ネットワークと郵便局長や社員。多くの社員が働いており、長時間労働の是正、同一労働同一賃金などの働き方改革に取り組んでいく。人口減少、少子高齢化社会に直面し、人材確保や育成が課題で、働き甲斐、働きやすい職場環境に努力」。
 柘植参院議員は「これからは地域、地方コミュニティーを作っていくのがたいへん重要。特に地方や地域社会を支えているのは全国津々浦々で働く郵便局長。郵便制度が確立して147年間、地域を支え地域コミュニティーを作り上げてきたのは局長。とりわけどんな離島・地域でも24時間365日働く局長と郵便局が存在することで、人口減少の地域が存続できている。人と人の気持ちを大事にできるのは郵便局であり、少子高齢化社会の中で人とのつながりや気持ちを大事にし、日本を支えるという強い気概と誇りをもって頑張ってもらうことを心から願っている」と改めて期待を込めた。
 徳茂参院議員は「戌年の平成30年は実りや収穫など次につながる年。これからの全国郵便局長会が成長し発展する種まきの年でもあるよう尽力していく。今後の郵政事業の発展を祈念」と語った。
 また、山本利郎副会長が「地域社会の更なる発展に貢献しよう」と呼びかけて締めくくった。


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