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第6918号

【主な記事】

「チームJP」が合言葉
日本郵政長門社長 グループ一体感を強固に


 日本郵政の長門正貢社長は12月21日の定例記者会見で、2017年を表わす漢字として「構」を挙げた。「物事は“構え”が大切。これを整え攻守柔軟に対応できるようにしていく」という思いを選んだ理由とした。また、日本郵政グループの一体感を強固にするため、象徴的な言葉として「チームJP」をスローガンに制定したことを明らかにした。「2万4000局の郵便局を中心とした、日本郵政グループで働く約40万人の全員が、枠を越えて一つのチームとして、お客さまの一生をトータルで支えていこうという決意を表す合言葉。連携、一体感が求められるあらゆる場面で使用して、意識を高めていきたい」と強調した。

 長門社長は2017年を振り返り、日本郵政グループの1年を表す漢字を「構」とした。「物事は“構え”が大切」とし、「全ては構え、準備から始まるという意味で、構えを整え攻守柔軟に対応できるようにしていく」という思いで「構」を選んだとした。
 17年の主な出来事として、日本郵便についてはトール社の4000億円の減損処理、さらに6月1日から23年ぶりのはがき10円の値上げ、18年3月1日から実施される宅配便の平均12%の値上げ発表といった売上げ面での対応策、経費の面では実験段階だがドローンを活用しての効率的な配送の検討などを挙げた。
 ゆうちょ銀行では、連結ベース収益の約8割を担っているが、低金利が続く中にあって金融業界は厳しい環境にあるとし、「運用の深掘りをするため、オルタナティブ投資など着々と準備を進めている。手数料収入も増やしたいということで、ATM、投信などについても抜本的に営業推進体制を整える。投信は233の直営店と約1300の郵便局で取り扱っていた体制を、郵便局は100増やして1400強にし、紹介できる郵便局を1万800に増やすなど手数料収入のアップを図った」とした。また「地銀と連携し地方創生への貢献に取り組むため、すでに九つのファンドを作った」ことを強調した。
 かんぽ生命では「貯蓄型より保障型のプランをより一層磨き、保険業務の深掘りをしたい。また、投資の深掘りを行う」ことを挙げた。
 また、ゆうちょ銀行が「アジアインベスターから運用機関として優れた功績を出したということで表彰された」ことを報告、運用についての対応が評価されたものと思う」と述べた。
 さらに、日本郵政グループの一体感について「17年の大きな出来事の一つとして、9月に政府による日本郵政株式の第2次売却があった。これに続き金融2社の株式も今後、段階的に売却して次のステップに進むことになるが、グループ一体感をこれまで以上に意識していくことの重要性を感じている」ことを明らかにした。
 日本郵政グループは「郵便局ネットワークを中心に一丸となってトータル生活サポート企業として、全国津々浦々のお客さまにあまねくサービスを提供する。ゆうちょ銀行も貯金の約9割を2万400の郵便局で集めている。かんぽ生命も郵便局にいる1万8000人のセールスパーソンに保険を売ってもらっている。こうしたビジネスモデルなので、郵便局ネットワークと一体感を持っていかなければいけない業態と考えている」ことを改めて強調した。
 一体感の醸成には「具体的な仕事を通じて行っていくのが一番だが、象徴的な言葉を検討し、(10月24日の)経営会議で『チームJP』というスローガンをグループ社員向けに制定した。2万4000局の郵便局を中心とした、日本郵政グループで働く約40万人の社員全員が、枠を越えて一つのチームとして、お客さまの一生をトータルで支えていこうという決意を表す合言葉。日本郵政グループとしての連携、一体感が求められるあらゆる場面で使用して、意識を高めていきたいと思う」とした。
 この合言葉を「日本郵政グループ社員がより強く意識することによって、ゆうちょ銀行やかんぽ生命による郵便局のサポート体制や連携営業体制のより一層の充実などを図り、お客さまにより良いサービスを提供していく。また、一体感を内外に示すものとして、例えば各社のテレビコマーシャルの前に共通のサウンドを流すことも検討しており、近々発表したい」との考えを示した。
 自民党の郵政事業に関する特命委員会が、ユニバーサルサービスの確保のために、新たな交付金の制度についての法制化を検討していることについて、通信文化新報の質問には「ユニバーサルサービスを担っていることについてのコスト負担に関する制度を工夫していただいていると思っている。ユニバーサルサービスを履行することは義務だが、業務に理解いただいていることは大変に嬉しい」と歓迎の意向を改めて述べた。
 チームJPとして一体感を醸成する具体策はとの質問には「17年は民営化から10年だった。会社が分かれたので、どうしても意思疎通が少し薄くなる懸念がある。郵便局長から見ても問題と思えるようなことがあったと思う。15年11月には東証1部に日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命が3社同時上場したので、ガバナンス上では独立した企業としてやってくれという言葉も出てくる。しかし、元々は一体でゆうちょ銀行もかんぽ生命も郵便局ネットワークを基にビジネスモデルが成立している。もっと一体化すべきだという方向に推進する」とした。
 さらに「勝ち味を社員が覚えていくこと。郵便局と協力しての成功経験を味わい、やはり一体感を持ってやる方が良い、これが日本郵政グループの価値だというのを本気で分かってもらいたいと思っており、具体的な案件を多く仕掛けていきたい。スローガンも必要なので、JPは1チームとして一体となってまい進するとの思いを込め『チームJP』とした」と強調した。


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