「通信文化新報」特集記事詳細

 年/月

第6916・6917合併号

【主な記事】

「チームJP」で挑戦
経済社会環境は大きく変化
持続的発展・成長の道筋を
日本郵政 長門正貢社長


 通信文化新報の読者の皆さま、あけましておめでとうございます。皆さま、つつがなく新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
 2018年を迎えるにあたりまして、日本郵政グループを代表して、グループを取り巻く環境と本年のグループ運営に関する抱負を申し上げます。
 日本郵政グループは昨年10月に民営化から10周年を迎えました。振り返ると、当初民営分社化した日本郵政㈱、郵便事業㈱、郵便局㈱、㈱ゆうちょ銀行、㈱かんぽ生命保険の5社体制から、郵便事業㈱と郵便局㈱の統合により日本郵便㈱が誕生して4社体制となり、その後、日本郵政㈱、㈱ゆうちょ銀行、㈱かんぽ生命保険の3社が東京証券取引所の市場第一部に上場するなど、当社グループにとって大きな変革が起こった10年でした。
 昨今の経済社会環境を見ると超低金利の継続、超高齢社会の進展、また、インターネットの発展とeコマースの飛躍的拡大など日本郵政グループを取り巻く環境は大きく変化しています。我々がこうした経済社会の変化に対して、グループとして、より柔軟で大胆ともいえる対応を行っていくことが、今後の事業の成否につながると考えております。
 旧年の取り組みを振り返ります。2017年度は、グループ中期経営計画の最終年度です。日本郵政グループは、計画を達成した上で、真のトータル生活サポート企業として、次なる持続的成長・発展への道筋を描くことを目指しております。
 今年度上半期はこの方針に基づき、郵便局ネットワークを基盤とし、郵便・貯金・保険をはじめとして、お客さまや地域・社会の様々なニーズにお応えすべく各種サービスの提供に努めました。
 日本郵便においては、郵便・物流事業を取り巻く環境が年々厳しくなる中、苦渋の決断ではありましたが、郵便料金の一部を改定いたしました。また、本年3月からはゆうパックの基本運賃の見直しを行います。一方で、ただ料金を改定するだけではなく、はこぽすの増設による受取拠点の拡大など、お客さまの利便性向上施策に尽力し、再配達問題等の解決にも取り組みました。
 ゆうちょ銀行においては、適切なリスク管理の下、資産運用の一層の高度化・多様化を進めてまいりました。また、手数料収入についても、上半期は投資信託の販売額が民営化以降過去最大となるなど、手数料ビジネスを拡大していくという経営の方向性が数字にも現れはじめてきました。地域活性化ファンドへも積極的に参加し、地域経済への貢献や地域金融機関との連携を引き続き実施しました。
 かんぽ生命においては、入院日数の短期化や平均寿命の延伸等、経営を取り巻く環境が変化する中で、年々高まるお客さまの保障性ニーズにお応えするため、10月に新商品の販売を開始いたしました。
 中間決算では、歴史的な超低金利が継続する厳しい経営環境下でありましたが、社員一人一人の努力のおかげで、グループ連結の中間純利益は対前年同期比で20・3%増益の1801億円となりました。また、通期見通しに対する純利益の進捗状況は45%とおおよそ計画どおりとなっており、グループ全体の経営状況としてはまずまず堅調に推移していると考えております。グループ中期経営計画の完遂に向け、引き続き取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 しかしながら、超低金利の継続をはじめとした今後の金融市場の動向や、人件費の高騰など、グループを取り巻く経営環境は引き続き厳しい状況が続くと考えております。
 こうした状況下において、日本郵政グループの強みを活かした成長戦略を描いていくべく、現在、次期グループ中期経営計画の策定に向けた検討を進めております。現状に関する問題意識としては、郵便・物流事業について、昨今のeコマースの急速な発展に伴う荷物の拡大にどのように対応していくのか、また、日本郵政グループの財産である約2万4千の郵便局ネットワークをどう活用していくのか。金融分野においては、長期化する低金利環境への対応やかんぽ生命の保有契約の早期底打ち・反転に向けてどのように対応していくのか等があります。
こうした課題に対応し、グループ全体として明るい将来が展望できるよう、しっかりと議論をして、具体的な方向性を打ち出していきたいと思っております。
 また、今後のグループの成長・発展には「働き方改革」への取り組みが必須であると考えています。これまでも多様な働き方として変型労働時間制や介護を行うための短時間勤務制度、育児介護等を理由に離職した社員の再採用制度などの施策を順次導入してきました。今後も、働く社員のニーズをしっかり把握し、社員が力を最大限に発揮できる職場作りを進めてまいります。
 このような取り組みを通して、「そばにいるから、できることがある。」のスローガンの下、「チームJP」、グループ一丸でお客さまのご期待に応えられる「トータル生活サポート企業」としての成長・発展を遂げられるよう挑戦を続けてまいります。
 皆さまにおかれましては、これまで以上に、日本郵政グループへのご支援・ご鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。最後になりますが、皆さまにとって本年が輝かしい一年となりますことを祈念して、新年のご挨拶とさせていただきます。


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